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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・ラブラブデート編

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実験に失敗はつきもの

やや下品なネタがあります。苦手な方はスルー推奨。

 ディルクとシュシュさんのお屋敷に戻りました。まぁ、なんだかんだありましたがディルクとイチャイチャできたので私は満足です。


「ディルク、楽しかったね」


「うん」


 手を繋いで、笑いあいました。夕食を済ませ、明日は帰るので荷造り……といっても荷物をひたすらポーチに詰めるだけの簡単作業なのですが…をしているとチャームが目に入りました。


「…ちょっと試してみようかな」


 いや、違うんですよ。ディルクと別れたばかりでまた会いたいとか思ってるわけではなく、あくまでもこれは実験!実験なんです!いきなり実戦で使って作動しなかったら大変だしね!と内心言い訳しつつ、チャームを作動させました。


「がぼっ!?」


 な、何!?水…いやお湯!?転移直後にいきなり周囲が水中で、思い切り水を飲んでしまった。


「………!?………!?」


 息ができない。水で呼吸が妨げられる。強い力でお湯から引っ張りあげられた。


「ロザリンド…!」


「…!?……ん、ふ…」


 何かが水を吸い出してくれたらしく、やっと呼吸ができるようになった。


「ふ…けほっ」


「大丈夫?ゆっくり息をして」


「ら…らいりょうぶ………げほっ」


 ようやく周囲を確認できた。私は両脇に手を入れられた状態で持ち上げられている。


 待て………持ち上げられている?持ち上げているのはたくましい両腕…視界には黒とピンクと肌色………肌色が多いね?…私を持ち上げる心配そうなディルクと目が合ったが、私はそれどころではない。


「お嬢様!?一体何があったんですか!?」


「主?溺れたのか?」


 ここはどうやら風呂場らしいです。最愛のディルクも全裸です。服を着て入浴する馬鹿はいません。しかも、私を持ち上げているから…丸見えですよ!そしてさらに全裸でくるな、従僕達!!ディルクの全裸だけでも私はいっぱいいっぱいなんだからぁぁぁ!!見せるな!隠せ!!チラリどころじゃないぃぃぃ!!


「げほっけほっえほっ」


「ロザリンド、大丈夫!?」


 動揺してさらにむせる私。とりあえず隠せと叫びたいが、焦れば焦るほど上手く呼吸ができない。

 ひあああああ!?抱き締めて背中をさすらないでぇぇ!!あた、当たってるぅぅ!?のぼせかけなのか、本気で頭が働かない!これが噂のラッキーすけべ………いやいや、違うから!!


「けほっ………ふくっげほっ……」


「服?びしょびしょだね…とりあえず脱がさないと……」


 いやいやいや、待って!!服をきて!!ディルクも混乱してるな!?とりあえず脱がすなよ!私が脱いでどうすんの!?自分の危機に、ようやく呼吸が正常化した。私は力の限り叫んだ。


「ふっ服をきてぇぇぇ!!見えてるから!見えたらいけないものまで全部!!しかも脱がすなぁぁ!!」


「「!?」」


 ディルクとジャッシュは私の言葉に反応して、弾かれたかのようなすばやい動きでタオルを腰に巻きました。


「気にするな、俺と主の仲だろう」


 気にしろよ!!気にしないのはジェラルディンさんだけですよ!どんな仲だよ!気になるよ!嫌あああ!?ぶらぶらさせて近寄るなぁぁ!!


「きゃああああああ!!ディルク!ディルク助けてぇぇ!!うわあああああん!!ディルクぅぅ!!ディルクぅぅ!!」


 もはや半狂乱で泣き叫ぶ私。いや、タオル1枚のディルクに抱っこされるのも困る!!みぎゃああああああ!?至近距離の濡れた髪がセクシーすぎる!全力で暴れてるのにびくともしないなんてたくましい…ではなく!ダメだ、頭が働かない!


「ひあああああ!?」


 パニックでマジ泣きする私にスリスリするディルク。鬼畜か!?


「………ロザリンドが可愛い…どうしよう」


「ディルク様、とりあえずお嬢様は本気で泣いてますから解放してあげましょうよ…。お嬢様…父にはよぉく……よぉぉぉく念入りに言っておきますからね。安心してください」


「えぐ………よ、よろしくお願いいたします」


 ジャッシュの背後に般若が見えた気がした。逆らったらいけないやつだね。でも確かによく指導しといてくれ。本気でパニック起こして泣いたから!ジャッシュは英雄にハンドクローをかますと引きずっていきました。あの、息子さん…お父さんの扱いがどんどん雑になってないかな?





「ロザリンド、可愛い…」


「ひっく…ディルクぅぅ怖かったよー。怖かったよー」


「………………うん、よしよし。もう大丈夫だからね」


「ひっく…」




 うん、待てや。





私は今、


男湯の脱衣室で、


タオル1枚のディルク様 の、





お膝に乗っています。






「いやあああああ!?」


「ロザリンド!?」


「ロザリンドじゃないよ!そんな裸…ほぼ裸でひっつかれて落ち着くわけがなぁぁぁい!!ディルクのえっちぃぃ!!」


 いや、落ち着いてましたがね…正気にかえった私は逃亡して服を乾かし客室に立て籠りましたが、どう考えても…何度も考えましたが悪いのは私でした。


 転移は便利ですが、相手方の状況確認してから転移しないといけませんね。

今回はまだ風呂場だったから良かったけど…例えばこう…トイレ中とかウニャウニャ中だと気まずいし、狭い場所とか、ダンジョン内部で罠の中に出たりしたら下手をすれば命にかかわる。通信機能をつけるべきだなと考えていたら、チャームが光りだした。



 ロザリンド=ローゼンベルクはウッカリ星の住人です。立て籠っててもこのチャームがあれば意味がないじゃないか!ディルクは魔力コントロールができるようになって、魔具も使えるようになっているんです。



 ディルクが転移してきてしまいました。


「ロザリンド、怒ってる?ごめんね…すぐに風呂場から出してあげるべきだったのに、俺も混乱してて…」


 優しいディルク。私はほぼ八つ当たりで逃げたというのに、安定の天使です。


「…いや、怒る意味がわからないですよ。むしろ私があまりにも堂々とした覗きをしでかしてしまっただけじゃないですか…ディルクって身体も綺麗ですよね」


「…はぁ!?い、いや俺は結構傷痕残ってるし綺麗ではないよ?」


「いえ、均整のとれた身体に、適度な筋肉…惚れ惚れします」


「あ、ありがとう。で、どうして急に転移したの?何か急用があったの?」


「……すいませんでした!入浴中とは知らずに…!」


 土下座をする私。首をかしげるディルク。もはや私の土下座を見ても平常になったようです。土下座をされなれたということか…それもどうなんだ。


「いや、まぁ…別にそこはどうでもいいけど、何か用事があったんじゃ?」


 どうでもよくはないと思うが、私も思考がややから回っている。ど、どうしたら誤魔化せる?


「あ!そのチャーム、通信機能をつけましょう!トイレとか行ったらまずいときに転移しないようにね!」


「あ、うん」


 素直にチャームを渡すディルク。頼む!このまま私の用件はチャームに魔法を追加することだと勘違いしてくれ!


「…………あのさ」


「ひゃい!?チ、チャームに付与はできましたみょ!」


 私は動揺のあまり噛んだが、ディルクはスルーしてチャームを受け取った。


「ありがとう。で、用事はなんだったの?通信機能をつけるのは今回の失敗があったからでしょ?」


「…………ソウデス」


「さっきから必死に話をそらしてるけど、別に言いたくなかったら言いたくないでいいんだよ?」


 ううううう!バレてた!そして、ディルク優しい!微妙に耳と尻尾がしんなりしているじゃないか!そりゃ気になるよね。でも私を優先して言いたくないなら言わなくていいと………ざ、罪悪感が…たいしたことじゃないんだ!さらっと!さらっと言うんだロザリンド!


「その…今日は楽しくて…あの…明日からはまた一緒にいる時間減るからさ…そしたら、あ、会いたくなっちゃってさ?あは、あは、あはははははー」


「…うん」


 すいません、照れないでください!その口もとを手で隠すしぐさは個人的にツボなんでおいしいです。しかし、ただでさえ用もないけど、さっきまで一緒だったけど…明日からずっと一緒には居られないから寂しかったの…と言ってしまった私には辛い…恥ずか死ぬ…誰か助けてくれ!


「そっか…ふ、ふふ可愛いなぁ…可愛いんだよ…。ロザリンドが可愛すぎて辛い…。もうロザリンド、家に住まない?」


 ディルクに抱きしめられて頬ずりされる私。なんか、ディルクが最近私にデレデレな気がするのはきのせいか?


「お持ち帰りされたいけど………家族が泣くだろうなぁ…」


「…………確かに。結婚までの辛抱だね。今日は一緒に寝ようか」


「うん。たくさんお話ししよう」


「そうだね」






 ベッドでくつろぎながらまったり会話をする私達。


「それにしても、さっきはびっくりしたよ。ロザリンドの事を考えてたら、目の前に本人が出てくるし、息してないし」


「うう、びっくりさせてすいません。そういえば、なんで風呂場にチャームを持ち込んでたの?」


「お、お揃いが嬉しくて……眺めてました」


 恥じらうディルクは私よりも乙女力が高い気がします。完敗です。


「そっか。あの…息してなかったというか、水を飲み込んじゃって苦しいのが楽になったのは…」


「…………吸い出しました」


「つまり私は全裸のディルクにディープなキスを「キスじゃなく人工呼吸だと思う!!」」


「…ディルクは命の恩人ですね。でも、どっちにしても私がディルク以外のお嫁に行けない行為な気がします」


「ろ、ロザリンドは俺と結婚するからいいんです」


「えへへ、うん。ディルクだぁいすき………」


 泣いたり叫んだり色々ありすぎて疲れていたのか、あっという間に眠りに落ちた。


「…ここで寝る!?うう…寝顔も可愛い…最近は甘えてくれて嬉しいよ。俺に助けを求めてくれたのも、嬉しかった」


 薄れていく意識のなか、そんなディルクの声を聞いた気がした。

 久しぶりにゆっくり考えて更新できました。ここのところなんとか更新しているものの、余裕がなかったです。


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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
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