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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・ラブラブデート編

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流行りとは時にわけがわからない

 幸せランチタイムを堪能した後、先ほど頼んだチャームを受け取りに行きました。


「あ、親方!先ほどの方達ですよ!」


「待てや!もうちょい…もうちょい磨きてぇ!!」


「もうちょいもうちょいって…かれこれ30分「うるせぇ気が散る!!」」


 弟子らしき少年は拳骨を食らってました。い、痛そう…声も出さずに悶絶して転げ回ってます。


「だ、大丈夫?」


 とりあえず魔法で治してあげました。


「…痛みが…あ、ありがとうございます。魔法使いなんですか?スゴいや、初めて見た!」


「まぁ、一応」


「ならちょうどいいな。石は勝手に変えちまったが、魔法使いなら上手く使えんだろ」


 親方さんからチャームを受け取った。


「うわぁ……………」


 綺麗だ。青い薔薇と蔦が絡んだ繊細な門。中央には琥珀と紫水晶を溶かしたような石が2つ嵌め込まれている。というか、この石は………


「あの…これ女神の雫?」


 魔石の中でもレア中のレア。全ての属性魔力に転換可能な魔石である。


「そうだ。たまたまあってな。同じ石を割って作ったものだ。石同士が引き合うはずだ」


 ディルクに渡して、互いの扉のチャームをカチリと嵌め込む。


「…素敵なお揃いだね」


「はい。親方さん、とても気に入りました。ありがとうございます。素晴らしい出来ですし、魔石の分だけでも支払いたいのですが」


「ああ…男に二言はねぇ。魔石ももらいもんだから金はいい。だが…そうだな。扉の構図が気に入った。それとまったく同じ奴は作らねえが、似た奴を作ってもいいか?」


「はい」


 というわけで、結局無料でいただきました。




「…同じ魔石で作られた…かぁ。ディルク、ちょっと貸して?」


「うん」


 ディルクからチャームを受け取り、魔法をかけた。


『この扉の先に、貴方がいつもいますように』


「よし。ディルク、このチャームを使うともう1つがどこにあるか分かるし、その場所に転移できるよ」


「便利だね」


「ディルクとはぐれてもすぐ合流できますよ」


「…そもそもはぐれないでね?」


「…はい」


 既に以前、数回迷子になったので、否定できない私です。





「あ、あの…」


 またしてもカエルと愉快な仲間達が来てしまいました。あの、ディルクが…死にたいの!?自殺志願者なの!?いや、でも様子がおかしい。


「申し訳ありませんでした。もうデートの邪魔はいたしません。これをどうぞ」


「…ハンカチ?」


 お揃いのハンカチだ。私のはレースがついて可愛らしい。羽の刺繍がお揃いで、上品なつくりである。


「…素敵ね」


「あ、ありがとうございます!」


 嬉しそうなカエル。


「で、なんでいきなり贈り物なわけ?」


「…お嬢様は僕が図星を刺されて逆恨みし、追いかけ回したにもかかわらずつがいの方のお怒りを鎮めて我々が殺されないようにしてくださいました」


「はあ。図星?」


「…はい。うちの店がセンス悪いだなんて…僕が1番解ってるんです!う…う…うわあああああああん」


「ぼっちゃん…」


 オッサン達も痛ましげにカエルを見ている。というか、往来で号泣すんなよ。ん?よく見たら、このカエル……………若いのか?


「………貴方ちなみに、いくつなの?」


「………ぐすっ、17ですが?」


「セブンティーン!??」


 予想外に若かったです。てっきりアラフォーかと思ってたよ!!ディルクと同い年!?見えなぁぁぁぁい!!

 ディルクはカエルが謝罪したのと号泣しだしたので、殺気は消えています。立ち話もなんなのでとカエルの屋敷に案内されました。


 カエルのお屋敷は調度も上品で、あの成金ハデハデ趣味は欠片もありません。


「先ほどは取り乱して申し訳ありません」


「いやまぁ…構わないけど」


 カエルは身の上話を語り出した。カエルにはつがいがいるが、ある日つがいが友人と話しているのを聞いてしまったのだという。


「あんなデブで醜くて人化もできないぱっとしないカエル、好きじゃない!店だってうちのほうが繁盛してるし!」


 カエルは努力したが痩せられなかった。父を早くに亡くし、店の経営と服作りで手いっぱいだったのもある。そんなある日、変わったしゃべり方の青年とたまたま知り合った。青年は奇抜で斬新なデザインをたくさん教えてくれた。店は大繁盛した。


 しかし、カエル…名前はケールさんらしい…はそのデザインが好きではなかった。王宮御用達にまでなったが、未だにその葛藤は続いている。それに、他者から貰ったデザインだという負い目もある。


「…ふむ。とりあえず、つがいの彼女とは直接話をする。店には自分の気に入ったデザインを置くか、いっそ別店舗作ってそっちに置けば?」


「…ざっくりだね」


「うん。でもそんなとこじゃない?人化についてはやったことあるからちょいちょいっとどーにかしてあげるよ」


 魔力を流してカエル顔だったケールさんは、ぽっちゃり青年になった。愛嬌のあるお顔ですね。ケールさんは泣きながら何度もお礼を言いました。


「ところで、押し売りしようとしたのとリス獣人達の店への嫌がらせは?」


「押し売りは……その、僕も正直自棄になってまして、図星を刺されてむきにもなってましたし………騎士につきだされても仕方ないと思います。えっと…嫌がらせ?」


「…………ん?」


 ケールさんは嫌がらせについては知らないらしい。


「俺たちはリスの獣人さんから、君たちに嫌がらせされていると聞いたんだけど」


 ディルクが情報を補足した。


「えええ!?」


 驚愕するケールさん。オッサン達が目をそらした。犯人はお前らか。


「だ、だってあの女酷いんすよ!ぼっちゃんは確かにぽっちゃりしてるけど、早くに旦那様が死んで苦労してきたんすよ!それなのに俺らに苦労かけたくないって頑張って……それをデブとか!」


「そっすよ!確かにぼっちゃんは要領悪いしドジだけど、人一倍努力家なんすよ!!」


「おう!確かに見た目カエルで気持ち悪いが、男は見た目じゃねえ!!」


 オッサン達…


「…僕、泣いていいですかね」


「……いいと思います。オッサン達!オブラート大事!!悪気がなけりゃ何を言ってもいいってわけじゃないんだからね!!」


 ケールさんはディルクが慰めてます。


「あ、それからリスの獣人さんのお店には、害を及ぼすものにはお漏らしの呪いがかかるようになってますから」


「地味に恐ろしい!」


「オムツが手放せない身体になりたくなければしなきゃいいんですよ」


 にやりと笑う私に、男性達は震え上がりました。

 ケールさんとつがいの方はリスのおばさまことリーネさんの娘さんなんだとか。


 後日、リーネさんの娘さんとおかげで上手くいきましたとお礼の手紙がきました。リーネさんの娘さんは勝ち気なツンデレだったらしく、友人にからかわれて心にもないことを言ってしまったらしいです。今ではケールさんのお腹をたぷたぷするぐらい仲良くなって…………待って!!それどんな関係なの!?ケールさんはそれでいいの!?それ上手くいったの!?

 ケールさんの店には流行りのハデハデ。ケールさんが作りたい奴はリーネさんのお店に出してもらうことになり、お礼に服が届きましたがとても可愛らしいウルファネアテイストのワンピースドレスで売れ行きも上々だそうです。



 追伸、ケールさんが私が肉の聖女だと後日知ることになり(どうやら彼方さん経由で)泡を吹いて倒れたらしいです。

 カエルが意外と気に入った結果こうなりました。どうしてこうなった。


 ウルファネアマスク&シャドウ…変身セットが大ヒットしたとかしないとか(笑)



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