チャームとカップル限定
ウルファネアでは必ずしもつがい同士が年が近いわけではないので、腕のリボン効果もあってか恋人に見られるのが嬉しい。クリスティアだとよく兄妹に間違われたり…下手したらお嬢様と従者扱いだったり…ディルクも私もルンルンです。
「お!兄ちゃん、可愛い彼女連れてるね!どうだい?可愛い彼女にプレゼントして、彼女をメロメロにしてやんな!」
「めろめろ……………ロザリンド…」
照れながらも行きたそうなディルク。
「見に行きます?私は既にディルクにメロメロですけどね」
「!!………………かっわいいんだよ…メロメロなのは俺だよ…!」
我ながらくさい台詞だと、ちょっと照れながら言ったらディルクが崩れ落ちた。
こうかはばつぐんだ(本日2回目)
「いこ?」
露天のおじさんに生暖かい瞳を向けられているので、ディルクの手をひいた。
「おお、揃いのリボンか。なら、こんなのはどうだい?」
ハートを割った二つで一組のネックレス。うーん、可愛いけど…
「ネックレスよりはチャームとかがいいかなぁ…」
どうせなら普段から使いたいが、私は無くさないように普段指輪をネックレスにしている。普段使いならバッグにつけるとかがいいなぁ…
「ちゃーむ?」
露店のおっちゃんにボールチェーンやキーホルダーを図面を書いて教えた。
「…ふむ………出来なくはねぇな!よし嬢ちゃん!タダにしてやっから、この図面くれ!」
「はぁ、別にかまいませんが…」
おっちゃんは楽しそうだ。素直に図面を渡した、そうと決まればチャームのモチーフは何がいいだろうか。ハートを割ったやつはやだなぁ。失恋したみたい。鍵と錠前…いや、できたらお揃いがいい。
扉…そう、扉がいい。
異世界から来たリン。
夢に閉じ籠っていたロザリア。
自分の境遇を諦めていたディルク。
『私達』に相応しい気がした。ディルクの瞳である琥珀。私の瞳である紫水晶を入れて…二つで一組の扉。私のは琥珀で、ディルクのは紫水晶。組み合わせてはじめて、扉になる繊細な作り。私は思いついたデザインをスラスラと紙に書いていく。おっちゃんにデザインを見せた。
「こりゃあ……いいな。3…いや、2時間くれ!満足いく出来のを作ってくる!おい!店番しとけや!」
「ええ!?親方!?」
空気みたくなってたお弟子さん…だろうか。少年は置き去りにされた。
「あ、えっと……他になにか気に入ったやつはありまひゅか?」
「「「…………………」」」
噛んだ。少年は盛大に噛んでしまい、真っ赤になって涙目だ。
「あ、えっと…他には何が………………ロザリンド、これ」
「え?」
空気を変えようとした優しいディルクは何かを見つけたらしく、指さした。
シルバーに輝く…サボテン。そしてその背中には天使のような羽根が………
ノンノン、落ち着けロザリンド。ビークール!ビークール!
「こ、これは?」
震える手でシルバーサボさんを指さした。
「ああ、なんかこないだ親方が酔っ払って森で虹色のサボテンを見たとかいって作ったんですよ。誰も買わないのにどうするんだか「買います」」
「…………は?」
「あるだけ全部買います」
内心はそれはもうパニックです。見られてたよ!サボさん見られてたよ!!
とりあえずサボさんペンダントは3つあったので、サボさんとミルフィとシーダ君にあげよう。
「ま、まいどあり…」
少年は私の剣幕に驚いたが、さすがは商売人。手早く包んでくれました。
「びっくりしたね」
「本当にね」
ディルクと手を繋ぎながら歩く。おっちゃんは2時間と言っていたし、二人でぶらぶらと歩く。
「あら、可愛らしいカップルさんね。カップル限定のゲームに参加しない?」
「カップル限定……」
セクシーなトカゲ?のお姉さんに声をかけられました。ディルクが参加したいと目で訴えています。時間もあるし、かまわない。参加することにしました。
前金を支払い、正解数によって景品を貰えるらしいです。
「先ずはお嬢さんの事を答えてね」
先に私についての問題になりました。
「お嬢さんが好きな食べ物は?」
ロザリンド➡お米
ディルク➡お米
「お嬢さんのお気にいりの場所は?」
ロザリンド➡ツリーハウスの木陰
ディルク➡ツリーハウスの木陰
「お嬢さんの宝物は?」
ロザリンド➡婚約指輪
ディルク➡婚約指輪
「お嬢さんが思う彼氏さんのいいところは?」
ロザリンド➡全部
ディルク➡もふもふ?
「お嬢さん…それを当てるのは難しいんじゃ…」
「だって…私には選べない!中身も外見もどストライクなんです!ディルクのいいところはありすぎて、3日3晩語り続けられるぐらいなんですよ!」
「…………そう。愛されてるわね…」
「ロザリンド…」
セクシーなお姉さんには生暖かい視線をいただきましたが、ディルクが嬉しそうなので問題なしです。
「お嬢さんが初めて彼氏さんと会ったのは?」
ロザリンド➡騎士団訓練所
ディルク➡騎士団訓練所
「次からは彼氏さんの事を答えてね」
「彼氏さんの好きな色は?」
ロザリンド➡青、黒、紫
ディルク➡青、黒、紫
ん?この色って……………私?
「…ディルクは私の色が好きなの?」
「…………………………うん」
手を口にやって恥じらうそのしぐさ…たまらない!後で絶対ちゅーしてやる!
「ディルク…」
「………うん、終わってからにしようね?」
「「すいません」」
一応待っててくれるなんて、お姉さんいい人です。
「彼氏さんが苦手な食べ物は?」
ロザリンド➡ピクルス
ディルク➡ピクルス
「彼氏さんの趣味は?」
ロザリンド➡読書
ディルク➡ロザリンドに似合うもの探し
「ディルクさん、初耳です」
「いや前は読書だったんだけど、最近はロザリンドに似合いそうなモノを探すのが趣味なんだ」
「つまり…趣味は私」
「……………………そうかも」
「ちなみに、私の趣味は以前が読書で今はディルクです。ディルクを観察し、愛で、たまにいじる」
「最後の要らないよね!?」
「ちょ…ぶふっ」
お姉さんが痙攣……じゃない。爆笑してます。いや…うん。
「はー、笑った…ごめんなさいね。お嬢さんの可愛いところは?」
ロザリンド➡そもそも可愛くない
ディルク➡全部
「…ディルク、私に可愛いげはないと思うの」
「ううん、ロザリンドは常に可愛いから!今も照れながら可愛くないって言ってるのが既に可愛いから!むしろ今すぐキスしたいぐらい可愛い「最終問題です」」
お姉さんが遮りました。うん…私の心臓がもたないので、お姉さん、グッジョブ!
「お嬢さんのどこが好き?」
ロザリンド➡おせっかいなとこ?
ディルク➡全部
「ディルクさん、初耳です」
「ロザリンドの見た目も中身も大好きなんだよ」
「…………………あ、ありがとう」
直球は…直球はやめて!!心臓がもたない!あ、あばばばば!だ、誰か助けて!
「見つけたぞ!さっきはよくもやってくれたな!」
いいかげん諦めた方がいい気がするカエル達が来てしまいました。あの…オッサン達やめようぜといってますよ?
「きゃー、ウルファネアマスク、ウルファネアシャドウ、タスケテー!」
やはり棒読みなのはしかたない。あや?来ない?
「残念だったな!奴らはヨボヨボのお年寄りを助けているぞ!」
「わははははははは」
「ぎゃああああ!?」
「お年寄りはどうした!あんなに動きが鈍いのに!」
「担いで運びました」
荷物が重たくて困ってたお年寄り達。お年寄りごと運搬したようです。脳筋ならではの発想だね!
「くそう!その手があったか!ぎゃああああ、くんなぁぁ!!」
「わははははははは!」
「うわああああ!おぼえてろぉぉ!!」
カエルはウルファネアマスク&シャドウに追いかけられて逃げていきました。
「1、2、3……忘れました!」
「…あれ、なんなの?」
いきなりの展開についていけない様子のお姉さん。
「よくわかんないけど因縁つけてくるカエルと通りすがりの正義の味方、ウルファネアマスクとウルファネアシャドウです」
「…………………そう」
お姉さんが遠い目をしていました。すいません。主にうちの子がすいません。
ありがとう、ウルファネアマスク!ありがとう、ウルファネアシャドウ!とりあえず、カエルがもう出てこないようにしといてくださいね!と念を送る私でした。




