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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・贈り人と真実編

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未来の約束

 ディルクと地味にギクシャクしつつ、もう1つの用件を済ますことにしました。シュシュさんが彼方さんと離れた今がチャンスです。


「シュシュさん、帰還前にやりたいことがあるんです」


「うん?ロザリンドちゃんのお願いならば、なんなりと」


「…お節介は重々承知でお願いします。シュシュさんのお父様に会わせてください」


「…父に?私はかまわないよ」


 シュシュさんは穏やかに微笑んだ。シュシュさんよ、なんで私がシュシュさんパパに会いたいのか分かってないな?まぁいいけど。


「ロザリンド」


 逆にディルクは私の意図を悟って咎める口調だ。


「私は私です。私は私のしたいようにします」


「…わかった。俺は見守る。一緒に怒られようか」


「…ディルク大好き!右側の件はこれでチャラです!」


「みぎ?………!!あ、ありがとうございます…」


 不思議そうなシュシュさんに連れられて、シュシュさんの別邸に案内されました。お父様は病気療養中だからシュシュさんが公爵として働いているそうです。


「父上、おかげんはいかがですか?」


「ふん、シュシュか。結婚なら認めぬぞ」


「…今日は違います。来客です。我が主が父に挨拶したいとおっしゃいまして。可愛い主でしょう」


 シュシュさんは自慢気です。ま、まぁいいけどね。


「はじめまして。ロザリンド=ローゼンベルクです」


「ディルク=バートンです」


「病気なので寝たままで失礼する。オスカル=ヴォイドだ」


「オスカルさまぁぁぁ!?」


「…?」


 ここに来てまさかのオスカル様に動揺した私。皆さんどうした?と言いたげです。


「す、すいません。ちょっと…いや、まったく同じ名前の金髪美女がおりまして動揺しました」


「「「…………」」」


 微妙そうな表情をする3人。


「まぁ、それは驚くだろうな。おっさんですまない」


 いや、別にシュシュさんのお父様は悪くないです。案外お茶目なのか、苦笑してウインクしてくれました。イケおじ…!やばい!カッコいい!金髪は好みじゃないけど、ウインクが様になるおじさまを初めて見た!さすが、シュシュさんのお父様だけあって、シュシュさんに似ている。中性的イケメンです!


「さて、本題は何かな?薔薇の姫君よ」


 あ、冷めた。皆して人に好き勝手中2感満載な称号をつけすぎだと思うの!


「単刀直入に言います。シュシュさんの結婚相手にレオールさん…他の光獅子族以外を認めないおつもりですね?」


「…ならばどうだと?」


「私は貴殿方を人身御供にするつもりがありません。同じく闇豹一族にも生贄を禁じました」


「…は?」


「魔の力を削ぐ他の方法を見つけました。未来永劫生贄なんぞ不要にしてみせます。だから、お願いします。シュシュさんの幸せを祝福してください」


「…それは本当か?」


「はい。王家に問い合わせてくれてもいいですよ」


「……………そうか」


 シュシュさんのお父様は静かに涙を流した。つがいだとわかっているのに結婚を認めなかったのは、光獅子族を絶やさないため。ウルファネアのため。本当ならシュシュさんの結婚を認めてやりたかっただろうが、一族の使命を考えたらできなかったのだろう。

 だから彼方さんがいくら努力しようが、根本的な部分を解決しない限り無理なのでは?と思ったわけだ。彼方さんには怒られよう。でも、後悔はしてない。シュシュさんが幸せになる方が大事だもん。


 ちなみに余談だがつがいを認識した獣人はつがい以外に発情しないが、例外はある。特殊な媚薬を使用すれば子作りは可能らしい。


「父上…」


「シュシュリーナ…お前達の結婚を認めよう。幸せにおなり」


「はい!父上、ありがとう!」


 ぎゅうっとシュシュさんのお父様を抱きしめるシュシュさん。満面の笑みですね。


「こら、子供じゃないのだからやめないか」


 と言いつつ、嬉しそうなシュシュさんのお父様。ディルクと目くばせして、そっと退室した。



「ロザリンド、嬉しそうだね」


「うん。うまくいってよかった」


「俺、ロザリンドのそういうところがすごく好き」


「そ?ど?」


 そういうところ?どーゆーところですか?急にサラッと言わないでよ!このイケメン!私だって大好きだよ!混乱してしまい、まともにしゃべれない私。


「照れ屋なとこも可愛い」


 いやああああ!?ほっぺにチューされた!ごちそうさまです!大変美味です!


「そ、そゆとこって…」


「うん?当たり前に誰かの幸せを喜べるところと、誰かのために自分の損得勘定抜きで動けるところ」


「た、多少は損得計算してますよ」


「あくまでも多少は、ね」


 クスリと柔らかに微笑むディルク。い、イケメンめ!


「ディルクだってそういうところがあるよ!ディルクの優しいところ、大好き!」


「あ…う…ありがとう」


 照れたらしく、口元に手をやって目線をそらす。ディルク様もよくやっていた癖だ。可愛すぎて萌える。


「照れ屋なとこも可愛い」


「………仕返し?」


「いや、本心。私の言動で動揺してくれて嬉しい」


「…気持ちが分かるだけに微妙」


「ディルク…」


「ロザリンド…」


 抱きつこうとしたとこで、扉が開きました。


「………すまない。お邪魔しました」


 戻ろうとするシュシュさん。


「いやいや、大丈夫!話はまとまった?」


「うむ。近日中にカナタと正式に婚約して、数カ月後に結婚することになったぞ!」


 彼方さん抜きで話が進みすぎではないだろうか。彼方さん、頑張れ。


「そっか。ところでお父様はなんの病気なの?」


「原因不明なんだ。色々な医者をあたってみたが、効果はなかった」


 悲しげなシュシュさん。早く言えばいいのに。


「なら、私が診ますか。一応医学も多少は心得がありますし」


 そして、見覚えのある紋様を見つけてしまい、固まった。


「このアザはいつから?」


「そういえば、アザが出た頃と体調が悪化したのはほぼ同時期だな」


 ちなみに症状は脱力感・倦怠感・吐き気・幻聴らしいです。


「いつからですか?」


「2年ぐらい前からだな」


 強靭な精神力ですね…肉体的にしか弱ってない。すごいや、シュシュさんのお父様。


「あの…言いにくいのですが、魔に憑かれてます。精神汚染はないみたいですが、幻聴に伴う不眠で体力が落ちたので肉体的に汚染したみたいですね。理由が分かれば治療できます!チタ!」


「おー」


「治せそう?」


「ん~、俺だけじゃ多分ダメ。アリサも呼んで」


 というわけでアリサも来ました。アッサリ治癒しました。


「さあ、めしあがれ~」


 そして、落ちた体力を復活させるロザリンド特製薬草粥!兄様レシピです!シュシュさんのお父様は匂いが微妙なのか、慎重にひとくち食べました。


 シュシュさんのお父様がカッと目を見開いた。


「うーまーいー!!」


 ちょ!?目と口から光が出たよ!?


「ろ、ロザリンドちゃん!?父は大丈夫なのか!?」


「変なものは入れてませんよ!普通の薬草粥です!出汁にリヴァイアサンの干物は使いましたけど、せいぜい滋養強壮効果です!」


「さりげなくとんでもない食材が…」


 光が収まると、シュシュさんのお父様は薬草粥を一気食いした。熱くないの!?


「おかわり!」


 おかわり要求されました!あわててチャーハンやらパパッと作成できる品を持ってきた私。シュシュさんのお父様はあっという間にたいらげていきます。


「父上…すっかり毛並みもツヤツヤに…」


 確かにツヤツヤになってる。病気…というか魔のせいで、さっきまでパサパサだったのに。


「ロザリンド、またおまじないしたの?」


「……………した」


 無意識で粥にチートを与えてしまったようです。


「ロザリンドちゃん、我が主!!本当に本当にありがとう!」


 シュシュさんは泣きながら何度も何度も私にお礼を言いました。


 まぁ、いっか。チートだろうが出鱈目だろうが、大事な友人の助けになるならかまわない。


「どういたしまして。ずっと頑張ってたもんね、シュシュさん」


「よかったね、シュシュさん」


 しばらく幸せな泣き声が聞こえていた。

 彼方さんは魔が云々を知らなかったので、平民だからシュシュさんをお嫁さんにもらえないんだと勘違いしてました。


 ロザリンドも色々ゴタゴタし過ぎてて、あれ?シュシュんが結婚反対されてるのって…シュシュさんパパは生贄禁止をしらないからじゃない?と思いつくまでに時間がかかりました。


 今回、シュシュさんパパことオスカルさんの死亡フラグを回避。彼は異常な精神力であくまでも病気として他人に魔を感染させずに死去する予定でした。

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