この地平線
ほぼ強制的にミーコちゃんに連れていかれたのは可愛らしい応接室でした。基本はシンプルだけど小物が可愛らしく、センスがいい部屋です。
「今すぐお茶とお菓子をお持ちしまーす。おかけになっておまちくださーい」
ミーコちゃんはいそいそと出ていった。隠れ家の鍵が点滅している。ナビィ君からの合図だ。鍵に魔力を込め、ナビィだけを出した。
「マスター、感謝シマス。座標確認。…ミーコノエリアト確認」
「もしかして、ナビィ君にマスター登録されてたからミーコちゃんも私をマスターとか言い出したの?」
「肯定。他エリアデモ、マスター登録ハ有効デス。タダシ、私ヨリ上位のAIノ場合ハ無効ニナリマス」
「なるほど」
「マスター、お待たせしましたぁ!」
世の中には、見ただけで危険な食物が存在する。ミーコちゃんが持参したモノはまさしくそれだった。
「緊急事態発生!危険物、排除!!」
ナビィ君の口からビームが出ました。そして、ミーコちゃんごと爆発しました。
「ナビィ君!?」
確かにあの物体は明らかな危険物だったけど、ミーコちゃんごと消し去る必要はなかったと思うの!
「ナビィ君の方が危険物やんか…」
「否定できない!ミーコちゃんは無事!?」
「無事でぇす!あれ?ナビィ、久しぶり!」
「マスター、私ハコレヲ再教育イタシマス。期限切レヲマスターニ出スナド廃棄処分相当ダ」
「うええええ!?」
「ま、まぁ加減してあげてね。しかし、白ブチでミーコか…ばあちゃんのデブ猫を思い出すなぁ」
まだリンだったころ、父方祖母はミーコという白ブチの猫を飼っていた。猫だが愛想がよく外で色んな人から餌をもらうため、大変ぽっちゃりした猫だった。
猫なのに段差を越えられなくなり、さすがにダイエットさせられていた。ミーコちゃんは太っていないが、どことなくその猫に似ている。
「特殊ワードを確認」
なんか、またミーコちゃんが固まってません?
「マスター、マスターハ『渡瀬凛』デスカ?」
「へ?私の贈り人がそうだけど…」
「マスター登録ヲ移行。マチビトトシテ登録」
「へ?」
私も皆も展開についていけていない。何?なんなの??マチビト?町人…いや、待ち人?
「登録完了」
ナビィ君が動き出した。ミーコちゃんはまだ固まってます。
「ナビィ君?」
「リン様、コレヨリ総テノ遺産ガリン様ノ物ニナリマス」
「へ?」
「言葉様ヨリメッセージヲオ預カリシテオリマス」
『凛』
それは、懐かしい声だった。長くて美しい黒髪にセーラー服の…
『詳しいことは言わないけど、シヴァが約束を守ったならあんたがこの世界に来るかもしれないからこのメッセージを遺します。あんたがAIに認識されると私の作った物は全てあんたの物になるようにしておいたから。少しでもあんたの助けになれば嬉しい。凛、幸せになって』
「こと姉ちゃん…」
渡瀬言葉…彼女はリンの父方の叔母だ。高校生で行方不明になった。私は彼女と仲がよく、よく遊んでもらっていた。渡瀬家は再婚しており叔母は祖母と折り合いが悪く、祖母は叔母の扱いが酷かった。10歳年下の私は、孫・子供・病弱というカードを使い、叔母を庇っていた。
叔母は行方不明になる直前に、私に会いに来た。
「凛、私…行きたい所ができた。会いたい人…一緒に居たい人ができた」
「うん」
「…凛にもう会えなくなる」
「…そっか。こと姉ちゃん、うちにいるの辛かったもんね。幸せになってね」
「うん…ばいばい、凛」
「またね、こと姉ちゃん」
私は当時おかしかったと思う。叔母が急に能面を一日中つけてても受け入れていた。祖母が地味にビビってたから嫌がらせなのかなとは思ってた。日本でもおかしいけど、こっちだともっと異常なのでは…こと姉ちゃんに何があったんだ?
「言葉はあなたたちにとって、何?」
「言葉様ハ造物主デス。勇者、救世ノ聖女トモ呼バレテイマシタ」
「へ?」
そういやナビィ君は救世の聖女の遺産でしたよね…え?こと姉ちゃんなにやらかしてんの!?あんた絶対勇者とかやりたがらないでしょ!?
世界は広いようで狭いようです。いや待て!約束?シヴァから聞き出そう。
「書換完了。これより、真の主をお迎えしたため全システムが復旧いたします。全システム、起動開始」
私が脳みそをフル回転させていたら、ミーコちゃんが復活した。そして、地震が起きた。
「きゃああああ!?」
「ご主人様、問題ありません。この施設が真の姿となるだけです。システムチェック・オールグリーン。浮上を確認。ステルス起動。天空要塞、システム復旧完了しました」
「へ?」
「ご主人様、コントロールルームへどうぞ」
「うん?」
私は頭が働かない。ようさい?
ミーコちゃんに案内されてコントロールルームに入り、施設の説明を受けた。
「この施設は動力にユグドラシルの種を使っており、半永久的に稼働可能です。プラントエリアにてゴーレムを作成でき…」
「砲撃もできる」
「肯定。可能です」
「ラ○ュタじゃないか!こんな兵器貰ったってこまるんじゃぁぁ!!何を考えてんだ、こと姉ちゃんのあんぽんたぁぁぁん!!」
「否定。兵器ではなく移動要塞です」
「大して変わらないわぁぁ!!」
「…ロザリンドちゃん、世界征服できそうやな」
「面倒だからしない!」
彼方さんに即答すると、アンドレさんがひきつっていた。
「面倒って…」
「我が主らしいな」
「うむ」
「お嬢様らしいですね」
うちの従僕さん達とは後ほど私らしさについてよーくお話ししたいと思います。
ロザリンド=ローゼンベルク7歳。ラ○ュタ的な要塞をゲットしました。
本当にどうしてこうなった!?
リンと救世の聖女は血縁でしたネタ。ようやく出せました。
ロザリンドはどこに行くんでしょうね(笑)




