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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・贈り人と真実編
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君に会えてよかった

 スレングスさんの天啓を早速試すことにした。いつもの双剣をかまえ、打ち合う。


 わかる…思い通りに動く。自分の動きが…まさに理想通りの動きになる。先程苦戦した大剣もうまくいなせる。力を分散させ、威力を散らし、攻めに転じる。天啓ひとつでここまで違うなんて…


「………!!」


 スレングスさんの一撃をヒラリとかわし、武器を変えた。


「……………!?」


「わははははははははは!」


「い、いたたたたた!?」


「わはははははははは!」


「やめんか」


「すいません」


 何をしたのかというと、モデルガンを乱射しました。流石に実弾はヤバイのでモデルガンです。地味に痛かろう。いやあ、当たる当たる!私はガンアクションとか超苦手だったけど、面白いぐらい当たるよ!

 スレングスさんを一方的に的にしてしまったため、彼方さんにしばかれました。真剣勝負に水をさすなんて…といいたいが、スレングスさんを虐めてるようにしか見えなかったろうし仕方ない。


「スレングスさん、ごめんね?大丈夫?」


「…(コクリ)」


 スレングスさんは私をナデナデしました。


「面白い武器だった。また手合わせしてくれ」


「ふふん、次も勝ちますよ」


「ああ」


 スレングスさんは優しく笑った。他の神様も彼の温厚さと寛大さを見習ったらどうかなと思いました。モデルガン乱射されても怒らないなんて、神か。神様だった。


「妾も天啓をあげるわよ」

「私も天啓をやろう」


「「いらない」」


 残念な美女とイケメンが地に伏した。


「なんでいらないの?貰っとけば?」


 私と彼方さんは目線を合わせてうなずき、同時に返事をした。


「「天啓をもらうのはいいけど、ウザいからなぁ」」


「わ、妾が嫌いなの?」


「ちょっと嫌い。彼方さんに迷惑かけるから」


「じゃ、じゃあ…迷惑かけない!だからお友だちになって!」


「………………うん」


 残念な女神ミスティアは、涙目になると可愛かった。出来心で目の前のたわわなブツを揉んでみた。おっきくて柔らかくて弾力があって、素晴らしかった。スレングスさんもある意味素晴らしいお胸だったが、こちらも違う意味で素晴らしかった。


「きゃあああああ!?」


「だからナチュラルにセクハラすんな!一応神様やから!一応!!」


 やたら一応を強調する彼方さん。確かに神様だけど、彼方さんもさっきまで塩対応でしたよね?涙目のミスティアに謝罪した。


「すいません、素晴らしいお胸だったので羨まけしからんと思ってつい…素敵な感触でした!」


「反省しとらんやろ!」


「反省はしている!だが後悔はしていない!」


「アホかぁぁ!」


「アホです!」


「言いきりよった!」


「………ぶふっ…君達、コントやめて…」


 気がつけば神様達が笑っている。笑いの沸点が低すぎないか?いや、よく見たらスレングスは恥じらっている。ピュアだね!


「…なんで妾の胸を触ったのよ」


「羨まけしからんお胸だったので、つい…」


 そして、私は己の絶壁に視線を落とした。慌ててミスティアがフォローした。


「だ、大丈夫!リンは若いからまだ成長の余地が!」


「…もう死んでますし、立派な成人なんですが」


「え?」

「は?」

「…そういやあ何歳なん?」


「享年25歳です」


『ええええええええ!?』


 シヴァ以外の全員が驚愕した。彼方さんまでか!


「あ、今はなんか知らないけど16ぐらいに若返ってますが、悲しいことに胸のボリュームは同じです。胸が大きくなる天啓があるなら欲しいですが…」


「………筋肉的な意味なら、できなくは…なかった」


「うん、気持ちだけいただきます」


 すまなそうに真っ赤な顔で話すスレングスさん。私がほしいのはカッチカチの大胸筋ではない。ボインボインでプルンプルンが欲しいのだ。


「…あるわけがないだろう!年頃なら慎みを持て!」


 インジェンスが真っ赤になって文句を言った。


「…ええと、ごめんね」


「謝らないで、悲しくなるから」


 ミスティアに慰められました。意外にいいヒトかもしれない。本気ですまなそうにしている。悪気はないようだが、心が抉られるのでやめてほしい。


「そこはどうでもよくない?ロザリンドはそこそこ育ちそうだし、ディルクに頑張って育ててもらいなよ」


「それに貧乳は正義やから。むしろ小さい方がええから」


 彼方さんの性癖を知りました。いらない情報だったので早急に忘れます。


「ディルクにはすでに協力していただいてます」


 現在進行形です。すると、シヴァが頭をかかえた。


「冗談だったのに…ディルクかわいそう…あんまり我慢させると後で色々ものすごぉぉく大変だよ?ディルクはハーフとはいえ獣性が強いんだから、ほどほどにね?本当によく抑えてるよね…」


「はい?」


「多分君が初潮を迎えたら流石に我慢は無理だろうから、ちゃんと距離をとるんだよ?」


「え?」


「じゃないと、下手したら初潮きたら処女喪失とかになるからね?」


「オブラート!」


「包んだら分からないかなと思ってさ。ディルクの忍耐力はもはや突然変異レベルだけど、普通つがいに迫られたら我慢できないからね?1週間はベッドの住人になるからね?同じ猫系獣人のシュシュちゃんかディルクの叔母さん達にその辺よーく聞いときなさい。ディルクとロザリンドちゃんのためにもね」


「はーい」


 しぶしぶだが従うことにした。ディルクのためなら仕方ない。


「あ、そういや気になってたんだけど、ディルクのつがいは…」


君達(ロザリンド)だよ。どちらが欠けてもだめだ」


「…そっか」


 そして神様達も解散となりました。ミスティアとインジェンスの天啓については、今後また説得するつもりみたいです。勇者にはならんし、チートもこれ以上はいらん。


 私も闇様と帰ろうとしたら、彼方さんに声をかけられた。


「ちょお待って」


「はい?」


「…俺さ、リンちゃんとは会ったことなかったけどマジでダチやと思ってた。でも急に連絡が取れんようになって心配した。リンちゃんは律儀やから辞めるなら必ず挨拶したやろうし、なんかに巻き込まれたのか…なんかあったんじゃないかって。その数日後に、やっと返事があった。リンちゃん、病気で死んだって…リンちゃんの姪やって子からメールがきた」


「………そうですか」


 彼方さんは不思議な表情だった。泣いているのに笑っているような、複雑な表情だった。彼は私の死後こちらに来たのか。計算が合わないけど、救世の聖女の時も時間が合わないから、ずれちゃうのかもね。


「会ったことなかったけど、マジで泣けた。仕事も手につかないぐらい…今思うと、悲しかったんやな」


「…うん」


「だから、嬉しかったんや。形は違っても…また会えた。こればっかりはシヴァに感謝せなあかんな」


「彼方さん…」


「君にまた会えてよかったと思うわ。これからもよろしくな」


「はい。よろしくお願いします」


「せやから、多分シュシュの事も怖かったんや。大切でも…あっけなく居なくなることもある。あの啖呵、しびれたわ。抗って抗って、望む未来にするって。俺も抗うわ。シュシュとももっかい話し合う。後悔するんは、もう嫌やから」


「はい、きっとうまく行きますよ」


「おおきに」


 最後はお互い笑顔で別れた。彼方さんはスッキリした笑顔だった。


ちなみに時間のずれはやろうと思えばずれないように調整もできますが、神様達は基本適当なのでよほどがないかぎりはしません。

特にシヴァはいい加減です。





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