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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・贈り人と真実編

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もうひとつのゲーム

 ディルクにドナドナされて客室に連れ込まれ、押し倒されました。


「ロザリンド、言いたいことはある?」


「…お手柔らかにお願いいたします」


「…抵抗しないの?昔の事だし、抱きしめられたのはともかくこんなの八つ当りだよ」


 両手を抑えられ、マウントを取られた状態で確認された。いや、抵抗なんて無駄じゃないかな?勝てる気がしませんよ。そもそも抵抗する気もない。


「ディルクが泣きそうな表情するぐらいなら、好きにしていいよ。私はディルクのモノだから。まぁ…それにヤキモチ焼かれるのが嬉しいし…ディルクが好きだからいいかなーと…」


「ロザリンド…」


 少し強めに抱きしめられた。まぁ、難しい話だよね。ゲーム内の嫁とか理解もしにくいしさ。

 あれ?あのゲームの名前………一気に体温が下がった。NPC、モブキャラ……なんで思い出さなかった!?繋がっていたんだ!くっそ、乙女ゲームの方に後でハマっちゃったからか印象が薄かった!


「ロザリンド?」


 ディルクにしがみついた。気のせいだと思いたいが…こんな偶然あるはずない。


「ディルクは嫌だと思うけど、私は彼方さんと話さなきゃいけない。今後に関わる話をしなきゃ…」


 起き上がろうとしたが、肩を押されて戻された。


「まだダメ。お仕置きしてないでしょ?」


「………おうふ」


 ヤバい。これは獲物をいたぶる猫の…いや、豹の瞳だ。お仕置きって私は何をされるんですかね?不安しかないわ。

 チクッと首に痛みが走った。大したことはないけど、いわゆるキスマークって奴ですかね?


「んっ!?」


 首を撫でられる。


「良かった、上手くできた。ロザリンド、首にいっぱいこれつけるから」


「……え?」


「人間は嗅覚がいまいちだからマーキングが分からないけど、これなら見えるから人間でも分かるよね?」


 うん…ディルクさん、ご乱心!!え?さっきはションボリモードでしたよね?切り替えスイッチはどこじゃあああああ!?






 うん、大変でした。私が大変でした。濃厚なマーキング+キスマークで首が……噛み痕まであるんだけど。これ治すなってどんな羞恥プレイ?


 再会した彼方さんも似たような状況でした。私より噛み痕が痛そうです。


「…なんかスマン」


「いえ…悪気ないのは理解してます。人払いをしてもう一度話をしたいんです。互いの情報のすり合わせがしたい。シュシュさん、部屋を借りますね。ディルクは同席してください」


「ディルクも?」


「はい。つがいのヤキモチ防止と…先程も言っていましたが、彼には『ゲーム』の話もしています」


「…そうか」


「カナタ、私も…」


「シュシュ、お前俺に隠してることがあるよな?お前、俺に黙って死ぬ気やったやろ。その罰や、仕事しとれ。この話はお前に聞かせたくない」


「カナタ?」


「…お嬢様、仕方ありません。仕事してください」


 シュシュさんはかわいそうだが、これは彼方さんとシュシュさんの問題だ。泣きそうなシュシュさんを彼方さんは見ようとしなかった。



 また応接室に来たわけですが、私はディルクのお膝です。すっかり警戒されてますよ、彼方さん。念のため遮音結界を…


 あれ?なんかバチッてした。私がドアを開けると、シュシュさんが出てきた。


「シュシュ、仕事」


「だ、だって!」


「あかん」


「うー」


「だから言ったじゃないですか」


 いや説得力皆無だよ、アンドレさん。そのコップは盗み聞きする気満々でしたよね?


「シュシュさん、彼方さんと私が話すのは神と未来に関わること。必要ならば貴女に伝えます。今は我慢してください。貴女が伝えなかったことがどれだけひどいことだったか、今の自分の気持ちを思えば分かるでしょう。今はひいてください」


「…わかりました。主に従います」


 シュシュさんは今度こそ素直に仕事に向かったようだ。遮音結界を作動させる。


「さて、早速本題です。ルーンアースオンラインに、シュシュさんは出ていましたね…幽霊として」


「ああ」


「私、この世界は別のゲームなんだと思ってました」


「…………は?」


「リンを喚んだロザリアは、とあるゲームの悪役令嬢でしたから」


「あ、悪役令嬢!?」


「はい『素敵な恋しちゃお☆胸キュン☆ときめきマジカルアカデミー☆願いを叶える贈り人☆』というタイトルの乙女ゲームでヒロインに嫌がらせをしたり、命を狙って返り討ちにあい、やったら死ぬ悪役令嬢でした」


「…まーじーでー?」


「まーじーでーす。ちなみにディルクはモブでした。キーキャラだから何回か通わないとクリア出来ないタイプの」


「マジか…マジなんやな。しかし、そのタイトルのゲーム買うの恥ずかしくないんか?」


「ジャケ買いでしたが、後でタイトル見て後悔しました」


「…もぶ?」


 首を傾げるディルク、可愛い。いいんだよ、知らなくて。そこはどうでもいいとこだから。


「ちなみに、うちの兄が攻略対象です。あと、ジャッシュ…私の従者と、今は不在ですが従弟も。攻略対象は最後の一人を除いて全員を確認済みです。色々やり過ぎたのか、原形をとどめてない…むしろ別物になっちゃった攻略対象も居ますが」


「…………何してんの!?」


「一人は黒染めしました」


「…うん」


「一人は腹黒から真っ黒になりました」


「どんだけ黒くしてんねん!?」


「一人は俺様から真っ白…むしろ輝ける白様になりました」


「上手くまとめてきたな!白くなったてなんやねん!脱色!?」


「三人暗殺者辞めちゃいました」


「待て!それ乙女ゲームやんな!?恋愛楽しむゲームなのに物騒過ぎやないか!?しかも甘栗むい○ゃいました的な軽いノリでええの!?」


「一人は多分親の過労死を防ぎ、虐待されたあげく娼館暮らしを回避しました」


「設定が重すぎるやろ!」


「…え?それ、まさかジェンド!?」


「ジェンドには内緒ね」


「…うん。ロザリンドは本当に色々やってたんだねぇ」


 ギュッとディルクに抱きしめられた。


「そうですね、小さい頃からコツコツとやってましたよ。なので、てっきり乙女ゲームによく似た世界なんだと思いこんでたわけです」


「いや、攻略対象ほぼ全員居たらそう思うやろ」


「ルーンアースオンラインはその更に後みたいなんですよね」


「…そうか」


 ルーンアースオンラインは、何らかの原因で荒廃した世界にプレイヤーは贈り人として送り込まれる。世界を復興するもよし、気ままに旅するもよし、世界が荒廃した理由を探すもよしな自由度の高いゲームである。

 そして、そこにシュシュさんとシーダ君とミルフィが出ていた。あと、多分ディルクの従兄弟のちみっこ双子!

 確か皆20代後半で年齢高めだったし、特にシーダ君はやたらと荒んでたから分からなかった。でも、無理もないかも。ゲームのシーダ君には家族がいなかった。いなくなってしまったなら、荒みもするだろう。彼らはNPCと呼ばれ、ソロでプレイするプレイヤーを補助し、パーティーメンバーの代理をするのだ。


「私は農業と酪農メインだったから、謎はノータッチだったんですよね」


「なんや、リンちゃんはめっちゃアルパカ育てまくってたよな」


「そうでしたね。兎、羊、アルパカ…夢のもふ牧場でした」


「謎なぁ…なんや、勇者と魔とかの話だったような…」


 彼方さんがここに来て、5年は経っているらしく、記憶があやふやなようだった。思い出したら話してくれると約束してくれた。これで少しは魔について分かるかもしれない。

 更にルーンアースオンラインで探索した遺跡が特定できれば、新しい手がかりがみつかるかもしれない。そんなことを考えた。

 長くなるのでいったん切ります。

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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
― 新着の感想 ―
もしかして、バカ殿とかが勇者として魔と戦った結果ユグドラシルに被害がでて滅んだとかか? もしくはロザリンドが失敗した世界線
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