パンケーキパーティーと意外な縁
皆への感謝の気持ちを込めて、私は今ひたすらパンケーキを焼き続けています。
山盛り焼いても皆さんあっという間に食べてしまいます。見かねてジャッシュやマーサ、ディルクが混ぜるのを手伝ってくれています。もはやフライパンとか面倒なので魔法で焼いてしまっています。型にいれて、10個一気に焼く!
焼いたパンケーキはそれぞれ好みのトッピングでたべるのです。ハチミツはもちろん、イチゴ、バナナ、キウイ、モモ、ラズベリー、チョコ、生クリーム、カスタードクリーム…皆様々な組み合わせを楽しんでいるようです。
一段落ついたので、私もパンケーキを楽しみつつ、皆にお礼を言うことにしました。あとお礼を言ってないのは…闇様と聖獣様を発見しました。
「闇様、聖獣様、ありがとうございました」
「ひにふるにゃ」
「うむ、我らがしたくてしたことだ」
聖獣様、ハムスターみたくなってますよ。二人とも甘味が大好きだよね。多分気にするな…かな?闇様は私を優しくナデナデした。
「神に会った影響は魔力酔いだけではなかったようだな」
「…あー、すいません」
「かまわぬさ」
「うむ。我らは永く生きるのだ。今更数年も数十年も気にせぬ。加護を与えずとも、ロザリンドと居るのは楽しい」
「…ありがとうございます」
皆でおいしくパンケーキを食べていると、彼方さん達も来ました。
「やあ、何やら美味しそうなモノを食べているね」
「よければシュシュさんもどうぞ」
「ああ、では遠慮なく」
そして、このパンケーキパーティーが何故開催されたかについて説明したら、シュシュさんが崩れ落ちた。
「主を救うために材料採取だなんて!私も行きたかったぁぁ!」
「シュシュさん落ち着いて!」
「仕事あんだから仕方ないでしょう。働け」
アンドレさんは安定のツッコミです。彼方さんはなんかボーッとしています。
「ドレミファソラシ~♪」
大きく息を吸った。
「ドォォォォ!!!」
私の必殺大音量3オクターブが炸裂した。こうかはばつぐんだ。主に獣人に。しまった、彼方さんだけにかますように防音必要だったわ。
うずくまるシュシュさん、アンドレさん、彼方さん。
「あー、ごめんなさい」
「いきなり何すんねん!」
「てへ」
「てへちゃうわ!はぁ…ロザリンドちゃん、不躾かもやけど、歌ってくれへんか」
「歌?」
「おお。何でもええから」
「はぁ、かまいませんが」
私はなんとなく、リン時代に彼方さんと同じハンドルネームの人が作曲した歌を歌った。
彼方さんは丸まっていた。なんでだ。
あ、起き上がった。
「ロザリンドちゃんは…いや、リンちゃんは俺の嫁やったんかぁぁぁ!!」
嫁?私はディルクのお嫁さんを予定して…ではなく!私は彼方さんに抱きしめられた。頭が働かないが、リンの記憶が可能性を提示した。
「えええ!?彼方さんは本名まんまで使ってたんですか!?」
「まさかこんなとこで会えるとはなぁ…」
「離れて」
ひやり、と冷気を感じた。ディルクが怒ってます。シュシュさんが涙目です。どうしたもんか。これ、説明が超厄介な気がするの。
「とりあえず、場所を変えようか」
というわけで、応接室に集まりました。
とても説明がややこしいのですが、リンと彼方さんは知りあいだったようなんです。リンはネットゲームで彼方さんと友人になり、ゲーム内で夫婦でした。この説明が難しかったです。
そして、リンは動画サイトで歌っていて、彼方さんは歌を作ってました。なんでたまにコラボしていまして、直接の面識はない友人だったわけです。
とりあえず、なんとか説明はしました。ネットゲームなんてこの世界にはないから、説明が非常に大変でした。
「いや、生であの奇跡の歌声が聴けるやなんて…マジで感動したわ!しかも俺が作ったやつ!」
彼方さん、落ち着け。手は握るな。ディルク達のヤキモチが大変なことになるよ!
「とにかく!私と彼方さんは疑似夫婦で正しい関係は友人だったわけです!!」
「本当に?」
「本当に!私が好きなのはディルクだけ!」
「あー、向こうでもディルクがどうのゆうてたな」
げ!彼方さん…それは要らない情報だ!
「カナタさん、それはゲームの『ディルク』で正確には『俺』じゃないんですよね」
いやあああああああ!?ディルク様がお怒りじゃあああああ!?
「そうなん?」
首をかしげた彼方さんも、シュシュさんにのしかかられて、それどころではなくなった。
「カナタ…今は…今は私が1番だよな?」
「は?おう。シュシュが1番好きやで」
「カナタ…!!」
「ぎゃあ!こら待て!なんで脱がす!?」
私もディルクに抱き上げられました。
「さっきカナタさんに抱きつかれてたから、お仕置きね」
「………………はい」
私はドナドナを脳内で歌いつつ、彼方さんもがんばれ~とエールを送りました。
ちなみにお仕置きは大変濃厚でした…とだけ申し上げておきます。




