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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・贈り人と真実編

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神様は軽いかもしれない

 ゆらゆら、水面を漂うような感覚から、一気に目が覚めたような気がした。


『やあ、3年ぐらいぶり?』


 私の目の前にはにこやかに笑う白いお兄さん。目は銀色?服も髪も白い。どちらかといえば美形かなって感じで穏やかそうな印象を受けた。白いけど、普通っぽい。


 確かに、会ったことがある。いつだっけ?

 そう思ったら一気に記憶が呼び覚まされた。




『やあ、死にそうだね』


 あの日、多分心臓発作を起こして…意識を失う前にやたら軽い声がした。そばには、全体的に白い人。いつからいたのかな…もう体が動かない。


『君の魂はもったいないなぁ。ねえ、君なら多分助けられる女の子がいるんだ。死にたくないでしょ?君を死なせない代わりに女の子を助けてよ』


「しにたく、ない」


 (リン)は確かにそう言った。必死だった。今意識がなくなれば死ぬと本能的に理解していた。白い人が神でも悪魔でもかまわない。死にたくないと心から願った。私、なにもしてない。何もできなかった。後悔ばかりで…私は、本当は誰かを助けられる人になりたかった。


『オッケー、ならおいで。身体はもう使えないから、魂だけだね』


 身体から魂が離れると、泣き声が聞こえた。


「たすけなきゃ…」


 私は朦朧としながらも約束を覚えていた。女の子を助けなきゃいけない。あの子が私を喚んだんだ。あの子が私を呼んでいるんだ。行かなきゃ、助けなきゃ……今すぐに!


「なかないで…いま、たすけるから……」


『え!?ちょっと待って!まだ説明が!えええええ!?』


 焦る白い人の手をするりと抜けて、私は一直線に女の子の所に行った。


「たすけに、きたよ」


 もう大丈夫だよ、という気持ちを込めてにっこりと小さな女の子に微笑んだ。


「あなたは……?」


 泣いていた女の子がゆっくりと顔をあげた。泣いていたのは、ロザリアだった。彼女に触れて、私は意識をなくしていく。


『うわあああ…だ、大丈夫かなぁ?あ、天啓!天啓はちゃんとあげるからね!』


 最後に聞いたのは、アワアワした白い人の声だった。







『………大丈夫?やっぱり僕が居るのは良くないみたいだねぇ』


「いえ…出会った日の記憶が戻っただけです。すいません」


 チュートリアルスキップは自分のせいでした。少し気を失っていたみたい。夢の中で夢を見るなんて変な感じ。私は…リン…凛だね。贈り人の(リン)にしか神様は会えないってことかな?


『僕はシヴァ。無理をしてでも言いたいことがあるんだって?』


「あ、はい。まずひとつめ。この世界に連れてきてくれてありがとうございます」


『…………………………はい?』


「どうしても直接お礼を言いたかったんです。私は今、とても幸せですから」


『あははははは!いや、文句言われるかぶっ飛ばされるかと思ってたよ!ハリセン対策にへるめっとまで用意したのに~』


「シヴァさん、それはハゲヅラですよ。頭を守りませんよ。お礼はきちんと相手の顔をみていいたいじゃないですか」


 シヴァさんは日本のバラエティーをこよなく愛する神様でした。暇神(ひまじん)とも言う。ようやく笑いがおさまったシヴァさんは私に問いかけた。


『もうひとつは?』


「…答え合わせをしたくて。あれはーーー」






『……まさかヒント無しで真実に辿り着くなんてね。正しいよ。詳しくは話してやれないけどね』


 真っ白な神様は、肯定した。確証は得た。後は走り続けるだけ。この質問は直接神様に聞くべきだと感じた。


『そろそろ目覚めなさい。これ以上は本当にまずいみたいだ。見守っているよ、我が愛し子達。幸せにおなり』


「あ、あと、アルフィージ様達の武器作るときにヒントをありがとう」


 3つになったけど、まぁいっか。シヴァさんはへらりと笑って手を振った。あの時の声はやっぱり彼だったのか。



 急速に意識が現実へと戻ろうとしているのがわかった。


 私は愛しいこのルーンアークで生きていく。今度こそ、悔いのない人生を。

 短めですがきりがいいので今日はここまでです。

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― 新着の感想 ―
そうだった!例の声は「シヴァ」だったよ(;ω;)…何周も周回してんのに何故に忘れてた、自分!!!! 多分他の作品に登場する神様連中があまりにダメダメなんでシヴァがそんな事するとは思わなくなってたんだね…
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