神様はうざいらしい
とりあえず、チュートリアルスキップはショックだったが、何か理由があるかもしれない。彼方さんから情報収集することにした。
「ちなみに彼方さんはどの神様だったんです?」
「シヴァやね。ウザいで」
わお、バッサリ。しかも彼方さん、明らかに嫌そうな表情です。
「神様にウザいって…」
ディルクが困った表情したけど、彼方さんはウザいものはウザいから仕方ないと気にしていないようです。
「毎晩毎晩毎晩夢ん中出てきよって、寝た気がしないねん!来んなゆうても聞かへんし!お前は暇かもしれんが、俺は眠いっちゅーねん!」
「夢の中に出てくるんですか?」
確かに毎晩毎晩は非常に迷惑だ。ウザいと言われても仕方ないだろう。
「しかも基本くだらん話ばっかりやし、最近はおもろい子がいるゆうて来るんはええけど結局愚痴になるし」
「愚痴?」
「おもろいけどガードが鉄壁過ぎて夢に入れんのやって。超強力な闇の精霊が邪魔してるらしいで」
「強力な闇の…」
「精霊…」
私とディルクが同時に闇様を見た。闇様は口笛吹いている。蛇なのに器用だね。彼方さん、それ心当たりがありすぎなんだけど。
「闇様」
「知らぬ!」
「闇様」
「し、知らぬ知らぬ!我は融合しきってない、安定しておらんロザリンドが神に会ったら悪影響があるだろうと心配して神を退けたりはしておらん!」
してたんだね。闇様…最初の頃ウザいとか塩対応してごめんよ。知らない間に守ってくれてたんだね。感謝を込めてナデナデした。
「な、なんだ!?わ、我は何も知らぬぞ!?」
と言いつつ闇様は嬉しそうだ。
「いえ、いつもありがとうございます、闇様。偉大かつ寛大な闇様に感謝をしております」
「む、むう…そうか。ならば仕方ないな!」
闇様は大変ご機嫌です。チョロいので心配になります。
「その蛇もしゃべるんやな…」
「闇様は精霊さんです。ちなみにそのおもろい子について他に何か言ってましたか?」
「ん?そやなぁ…動きが予想外過ぎておもろ過ぎるらしいで。自分はもちろん他人の運命まで変えまくってるとかでな。母親から始まってドラゴンとモグラと緑と風の精霊と叔母…それ以外にも死の運命を回避させた奴が多数いて、ウルファネア丸ごと救済しちゃって聖女に祭り上げられて嫌がってるんやて。歴史全体がおもろい子一人に変えられてるて言うてたな」
皆様の視線が集中してる。闇様の時点でわかってたけど、間違いなく私じゃないか!え!?待て!緑と風はうちのスイとハル?いつの間に回避したんだろ…うちの可愛い子が死ななくて良かった!というか、歴史も私が変えている?………大海嘯とかはそうかもしんな………いやいや!私は違うよ!いろんなあれこれが重なった結果だよね!私一人が変えたんじゃないよ、きっと!
混乱しまくる私の様子に気がつかず、彼方さんはさらに爆弾を投下した。
「それでな、勇者の再来や~ゆうて他の神様達も天啓をやりたがってるらしいで。でもさっき言った闇の精霊にガードされててできんらしい。ざまぁ言うてたわ」
闇様ぁぁぁぁ!!
ありがとう!マジでありがとう!これ以上のチートはいらんから!
「…まぁ、あれらは勝手に潰しあっておるゆえ、我は本当に何もしておらぬ」
闇様はポツリと呟いた。明日のおやつは闇様が大好きなシュークリームにします。マジで感謝してます!
「後は…シヴァがおもろい子に天啓をあげたらしいねんけど、斜め上に発動しまくっててロッザリンドォォになったて言うてな。ロッザリンドォォってなんやね…ん?」
彼方さんがヴァルキリーを見た。指差した。
「…ロッザリンドォォ?」
言いたいことは伝わりました。私は観念いたしました。
「そうです、私が(多分)おもろい子です」
「なんでやねん!はよ言えや!!」
「すいません……現実を認めたくなくて…」
「ロザリンドは自称普通の公爵令嬢だって言ってるもんね」
「「「それはない」」」
彼方さん、シュシュさん、アンドレさんから即座に否定されました。なんでやねん!!
「あー、なら俺が仲介したろか?シヴァに聞きたいこととかあるか?」
「私の天啓なんですか?でお願いします」
「…知らんの?」
「はい」
本来は天啓も教えてもらえるはずなんだとか。どうしてこうなったのかなぁ?
ちなみに神様に会えるのは贈り人のみ。ルーンアークの人間に対して神様は天啓をあげる以外の干渉を禁止されているそうな。
「あ、後は一回だけ会いにきてくださいって言ってもらえます?」
「それはいいけど、大丈夫か?」
「ロザリンド、無理はしないでね」
一回だけ、二つ言うだけだからと約束して、ディルク、闇様、彼方さんに納得してもらいました。多分、暇神だから今夜にでも来るだろうとのことでした。
神様かぁ。どんな感じなんですかね。




