3年後の真実
カナタさんをド派手にお出迎え大作戦。闇様や魔獣さん達に協力してもらい、カナタさんはメチャクチャびっくりしてました。
ちなみにカナタさんは普通の日本人でした。黒髪黒目、どこにでも一人はいそうな地味なお兄さんです。
キレたカナタさんにチョップをくらいましたが、ドッキリ大成功に私は満足です。
「おかえり、カナタ!びっくりしたか?」
シュシュさんがカナタさんに飛びついた。
「おわ!?シュシュ…お前もグルか!?びっくりしたわ!ちゅーか、こんなドラゴンとかに追い回されてびっくりせん奴はおらんわ!」
「あっはっは。ですよねー。改めまして、ロザリンド=ローゼンベルクです」
「初めまして、ディルク=バートンです」
改めて自己紹介をした。カナタさんはポカンとしている。
「カナタさん、実はカナタさんは神子様になりました」
「なんでやねん!?」
うん、いいツッコミ!流石は関西人だね!
「はい、実は…」
かくかくしかじか。農場であった出来事をカナタさんに説明しました。
「なんでやねん!ちゅーか、普通に自分が感謝されとったらええやんか!」
「これ以上わけわかんない称号はいりません!カナタさんだって、千手観音とか超絶いいかげんに教えたりしてたじゃないですか!うっかり千本腕があることになりそうでしたよ!?」
「アホか!千手観音は千本も腕無いわ!そこはどーでもええやろ!俺は他人の手柄を横取りする気はない!」
「くっ、まともな切り返し…やりますね、カナタさん!しかし、シュシュさんとの結婚は?シュシュさんのお父様に認めていただけるかもしれませんよ?」
「それこそ自力でやらな意味ないわ!」
「正論だね」
「う…ならば…農場でおっちゃん達に知り合いだって言っちゃったから口裏合わせてください!」
ディルクも味方する気がなさそうだし、私は土下座した。こっちも必死である。
「えー?なんで嫌なん?」
「だって、別に…私は出来ることがあるのに餓死するかもしんない人達を見過ごすのは良心が咎めるから助けただけで、善意で助けたわけじゃないのに崇められるのはちょっと…」
「それはそうやけど、なんもしとらんのに崇められる俺がどう思うか考えてくれ」
「「……………」」
私とカナタさんが同時に沈黙した。
「シュシュさぁん!カナタさんがいじめる!」
どさくさに紛れ抱きつく私。おお、ささやかながら膨らみがあたる。貧乳に悪い人はいません、多分。
「ちょ!?」
「カナタ、ロザリンドちゃんは我が領地の恩人であり、我が主なのだ。それに、確かに神子となれば領民も父も受け入れやすいに違いない。だめか?」
「……………う」
「自力でどうにかは立派ですが、かなり時間がかかりますよね?」
ディルクも正論を言った。そうだよね、年単位になるよ、きっと!
「………………うう」
「まぁ、カナタさんが領民のために危険な旅をしたことは認めてますよ、旦那様も。別に貰っとけばいいじゃないですか。今後それに恥じないようにしてりゃいいんですよ」
アンドレさんからも援護がきました!
「そうですよ!カナタさんはチョコ製作なんかでシュシュさん達の為にがんばってるじゃないですか」
「はぁ…好きにしたらええわ。でも、あんたの知り合いで頼んだことにするってとこだけ口裏合わすからな。神子にはならん!」
「充分です」
私はカナタさんにニッコリ笑った。
「ほな、改めて。遠野彼方…こっちやと彼方遠野になるんか?よろしく」
「はい、よろしくお願いします………本名なんですか?」
「おお。あんた日本人…には見えへんな」
「あはは、私の贈り人は死んで魂だけがこちらに来ていますからね」
「…あー、すまん」
「お気になさらず。贈り人の名前は渡瀬凛です。今は宿主のロザリアと融合してロザリンドと名乗っています。ちなみにこれが贈り人・凛です」
ふわり、とリンの姿に代わる。
「そっか。確かにその姿なら日本人に見えるなぁ。ちなみにどの神様に連れてこられたん?」
「は?」
「ん?」
カナタさん…いや、彼方さんによると、贈り人は必ず神様から打診があって来るものだし、何らかの天啓をもらえるらしい。
そして、この世界…ルーンアークのことや自分を喚んだ人間のこと…ある程度の情報をもらい、天啓を選んでから送られるらしい。え?私はそんなの無かったよ?
ロザリンド=ローゼンベルク、7歳。贈り人生活3年目にしてチュートリアルをスキップしてのスタートだったことを知りました。
なんでやねん!!
ちなみにロザリンド…リンは基本ゲームのチュートリアルをきっちりやる派です。二週目以降はスキップします。




