カナタさんとなんでやねん
カナタさん視点になります。先に申し上げますが、作者は関東育ちのため、関西弁が超絶怪しいです。そこを踏まえてお読みくださいませ。
俺は遠野彼方。よく偽名?と聞かれるが、本名だ。
俺は普通の…ごくごく普通の生活をしていた。両親と死別して幼少時施設暮らしをしていたが独立して独り暮らしを始めた。友人もいたし彼女もいた。仕事もしていた。彼女にフラれてやけ酒をしていた夜、俺の世界は激変した。
そんな、現実逃避をしてしまうほどに、俺は今、ピンチでした。
「ぎゃああああああ!?」
さっきは道に巨大な蛇が寝てて、迂回ルートを選んだら、蜘蛛に追われ、虎?に追われ、何故かグ○コの看板的なランナーに追われ、終いにはドラゴンに追い回されてます!いや待て!途中明らかにおかしいの混じってた!
「ちょ!マジで俺は食うてもまずいで!」
ドラゴンは走りつつ首をかしげた。あれ?なんか可愛くね?いやいや、余所見してる場合じゃない!この先は下り坂!ここで距離を稼ぐ!
「『魔模写!!』」
神様に貰った魔力を物質に転化する天啓。ただし、術者が構造を理解しているモノに限る。それでスケボーを作り、坂を滑り降りた。
「こわあああああ!?」
山道でのスケボー下りはデンジャー過ぎました。勢いはんぱないし、いつスケボー壊れてもおかしくないし、ガタガタしてるから落ちそうだ!あかんやろ!
「死ぬううううう!!」
「やっば!もふ丸!助けてあげて!!」
天使の声がした。昔の俺の嫁…俺の癒しだった神的声がした。俺、ガチやばいんちゃうか?一瞬気をそらしたら、崖から落ちる瞬間だった。
「うわああああああ!?」
目前を白くて赤い何かが横切り、俺は落下した。
そして、俺はもふもふに埋まった。視界が真っ白である。でかいもふもふが助けてくれたらしい。
「おにーちゃん、大丈夫?おいかけっこ楽しかったね」
先ほどのドラゴンが近寄ってきた。おいかけっこ!?見た目と裏腹に、ドラゴンは子供みたいな可愛らしい声をしていた。
「へ?」
頭がまったく追いつかない。ドラゴンはしゃべる生きものでした?そもそも俺はおいかけっこなんてしていない。必死で逃げまくっていたわけで…ぼんやりしてたら、巨大なロボットが落ちてきた。おかしいな、この世界は剣と魔法のファンタジー的な世界だったはずだ。なぜSF丸出しのロボットがいるんだ!?
「ロッザリンドォォ!!」
むっちゃかっこええけど、ロッザリンドォォってなんやねん。頭が働かないを通り越して、なんも考えられなくなってきた。目の前の光景がカオス過ぎる。気がつけばドラゴンとロボットと蜘蛛やら虎やらに囲まれた。
これ、詰んだ?
どうでもいいけど、グ○コはおらんな。
「初めまして、カナタさん」
「…………は?」
関西人は『なんでやねん』と言うと思われてんのがシャクで、常々俺は絶対言ってやらんと思っていた。しかし、である。
死ぬ思いで逃げ回ったあげく、謎の巨大ロボの手から降りてきた謎の美少女にドッキリ大成功の看板(しかも日本語だ)を出されたら、誰だって言うに違いない!
「なんっでやねぇぇん!!」
遠野彼方、25歳、渾身のツッコミが目前でドッキリ大成功の看板をかかげる天使のようなつり目の極上美少女に炸裂した。
そしてこの後、俺は多分一生分のなんでやねんを言ったのではないかと思う。なんでやねんとしか言いようがなかった。
※どうでもいい追記
グ○コのランナーはロザ
リンドのちゃめっ気による幻でした。
あと、赤いのはもふ丸のリボンです。




