ミルフィの決着
ミルフィリア視点になります。蜂蜜ストロベリーをお楽しみください。
今回は短いです。
私は正装に身を包んだシーダ君に手を引かれ、庭園まで来ていました。
「…悪いな、隠してくれ」
さわさわ…木々がざわめき、私たちを隠すかのように動く。
「え?」
「…実はな、あれから植物の声が聞こえるんだ」
「もしかせずとも私のせいですか?」
「多分な」
苦笑するシーダ君はかっこよすぎるのですが、私はどうしたらよいのでしょうか。
「そのせいで困ったりとかはないですか?」
「ないよ。遮断しようと思えばできるから問題ない」
シーダ君が穏やかに微笑んだ。意を決した様子で私に話しかける
「ミルフィリア、俺は…「シーダ君、好きです!」」
先手必勝とばかりにシーダ君に抱きついた。
「好きなんです!シーダ君だけです!は、初恋なんです!」
「ミルフィリア!?」
「だ、だからずっと一緒にいたいし口づけもしたいし、えーと…好きなんです!」
カッコ悪い告白だが、伝えるべき事は伝えたと思う。反応が怖くてシーダ君を見られない。シーダ君の肩に顔をくっつける。
「お前はどうしてそう…」
シーダ君がため息をついた。頭を撫でる手は優しい。
「俺から言おうと思ってたんだけどな。好きだよ、ミルフィリア」
「シーダ君…」
反射的に顔をあげた。嬉しいのに涙が溢れた。
「泣くな。でもな、俺はこのままじゃダメだと思うんだ。だから、今は忘れてほしい。ちゃんとミルフィリアを迎えに行けるぐらい、いい男になれたら…もう1回言うから待っていてくれないか?」
シーダ君は素敵だ。変わる必要なんかない。以前の私なら、言えなかっただろうけど……
「嫌ですわ!」
シーダ君の胸を叩く。本当にカッコ悪い。子供の癇癪だ。
「私は『今の』シーダ君が好きですの!変わってほしくなんかない!私はお姫様みたいに待ちたくない!変わりたいなら一緒に歩いてよ!離れていかないで!わ、私を本当に好きなら…一生離さないで!」
なんて重たい愛情だろう。しかしシーダ君は柔らかく笑っていた。
「あー、敵わないなぁ。ミルフィリアはカッコいいな」
頭をナデナデされる。
「私は自分をカッコ悪いと思います。私、余裕がなくて…シーダ君と離れたくなくて…小さな子供みたいなわがままを言ってすいません」
顔を赤らめ、視線を伏せた。
「うん?うん…いや、俺がちゃんとミルフィリアのことを考えなかったからだろ?わがままとは違うさ。なら、どうやったら一緒に居られるか考えよう。一緒に」
シーダ君は素敵すぎる。優しくて、ちゃんと私を見てくれる。
「…はい!これからも末長くよろしくお願いいたします」
「ああ」
シーダ君からほっぺたにキスをいただいてしまいました!あわあわしつつも、つんと彼の服の裾を引いて目を閉じた。は、はしたない!と思いつつ、期待する。ちゅ、と一瞬だけ触れた。
それが私の、本当に初めての口づけでした。
ロザリンドがシリアス先輩を退散させてしまう……という話がありました。
最初はいやいや、そんなことは…と思ってたんですが、最近否定できません。ロザリンドが悲劇を喜劇にしちゃうからだと思いたいです。




