祝勝会・続き
ミルフィを可愛がりまくっていたら、呆れたアルディン様と苦笑するアルフィージ様が来ました。
「ロザリンド、ミルフィリア嬢が困っているだろう」
「大丈夫!困ってるだけで嫌がってませんから!」
「………お気遣い、ありがとうございます」
「そうだよ、アルディン。なんだかんだでミルフィリア嬢とロザリンド嬢は親友だからね。しかし本当に仲がいいな」
「アルディン様とアルフィージ様とも仲良しのつもりですけど?」
親友と言ってもおかしくないぐらいに信頼しているんだけど?
「そうか!俺もロザリンドは大事な幼馴染で親友と思ってるぞ!」
明らかに嬉しそうなアルディン様。キラッキラしてます。
「……………そう」
一気に口数が減ったアルフィージ様。意外と照れ屋さんですよね。本当に兄弟でリアクションに差があるなぁ。
「…ふむ。可愛いな」
「「「は?」」」
あ、シュシュさんもキラッキラしてる。
「ああ、今日はいい日だ!こんなにも可愛いモノに出会えるなんて!」
「きゃあ!?」
「私も!?」
「のわぁ!?」
「え?ちょっ!?」
私も含む全員がシュシュさんに愛でられてしまいました。あ、ディルクとアンドレさんは大丈夫です。アルフィージ様が真っ赤になって必死に涙目になりつつカーティスへ助けを求めたのが印象的でした。カーティスは爆笑しながらも助けてました。そしてアルフィージ様は逃亡しました。
逆にアルディン様は普通にシュシュさんと仲良しになりました。下手すると、アルフィージ様より似ている気がします。お日さまみたいな笑顔と金髪なんだもん。
「…なんか並ぶと姉弟みたいですね」
アルディン様に耳と尻尾がついたら姉弟に確実に間違われるレベルだ。
「…姉上?」
「…!?弟よ!」
あ、めっちゃ喜んだな、シュシュさん。また抱きしめられるアルディン様。
「…シュシュさん、アルディン様はクリスティアの王太子なんですが」
「そうなのか!気品があるとは思ったが王太子だったか!流石は我が弟!」
「…だから弟ではないでしょう。そして撫でるのはやめないんだね」
まぁ、仲良しだしいいのかな?
「お嬢、頼むから他国の王太子に迷惑かけないでくださいよ」
「「別に気にしないが?」」
ハモるシュシュさんとアルディン様。本っ当に似てるね!色々!まぁ、当人達がいいならいいんじゃないかな。アルディン様も気にしてないし。
「…何をしているんだ?」
ウルファネア王族2人が来ちゃいました。苦笑しているジェス。と心底不思議そうなジューダス様。向こうで王様はご飯をむさぼり食ってます。お腹すいてたのかな?
「おお、ジューダス様。可愛い弟を愛でているのだ」
「………シュシュリーナ嬢、確かその少年はクリスティアの王太子では?」
「うむ。ジュティエス様も混ざるか?姉弟ごっこだ」
「……………遠慮する」
頭痛がする的なリアクションのジェス。お疲れ様です。逆にジューダス様はニコニコしていた。
「仲がいいようで何よりだ」
「はい。姉上のお話はためになりますし、今後も仲良くしていきたいです」
「弟よ!」
さっきから真面目な話もしてたんですよね。シュシュさんは天然だけど有能らしく、なかなか政治の話も面白かった。アルディン様もすっかりなついちゃったし。
「…すいません、お嬢…主にはよーく、よぉぉく言っておきます」
「…お前も大変だな…」
苦労人2人も仲がいいようです。
「まぁ、おいしいご飯でも食べて元気を出してください」
とりあえず、慰めときました。アンドレさんがマジうめぇを連発してました。
「そういえば、カナタがそろそろ帰ってくるんだ。できたらロザリンドちゃんにも会わせたいな」
「おお…ぜひ!むしろ迎えに行きます?」
「いいな!」
カナタさんお出迎えについては、明日相談することになりました。タコも仕入れたし、会えるのが楽しみです。
私とミルフィ、ディルクでもはや遊具と化したヴァルキリーを眺めつつまったりお茶をしていたら、レオールさん達が来ました。
「主様、お疲れ様でした」
「レオールさんも色々こき使ってすいません。レオールさんもお疲れ様です」
「…少しはお役に立てたでしょうか」
「少しどころかすごく助かりましたよ。ありがとう」
「…はい」
レオールさん、超嬉しそう。そしてミチュウさんが頭を下げた。
え?
私は頭を下げられている。なぜだ。わけわからん。
「…なんて言ったらいいかわからない。ありがとう…ありがとう…親父の無罪が証明されるなんて…」
「頭をあげてください。ミチュウさんもシーダ君もよく頑張りました。よかったです」
ミチュウさんがウルファネア王族に何回かされたポーズになる。
「ミチュウさん、私はこれ以上従僕いらない。マジ勘弁して」
私は予測してお断りした。ミチュウさんが悲しげだが、苦笑しながらレオールさんが言った。
「ミチュウ、私が主様の従僕でお前は私の部下だから似たようなものだよ」
「おお、なるほど。というわけで今後ともよろしくな、主様」
私に拒否権がないのは分かりました。皆さんグイグイ来ますよね。
「あれ?ミチュウさんはお家を継がないんですか?」
ミチェルさんの無罪が証明されたから、領地も戻るしお飾りではなく貴族に戻るはず。
「あー、家を継ぐのは多分シーダだから…ですからね」
「あ、敬語禁止。楽な話し方でよろしく」
「おう。うちは緑の手もちが家督を継ぐからな。俺はこのままレオールのとこで働くつもりだ」
「そうなんですか」
ミチェルさんも緑の手もち。更に先程のシーダ君ちの末っ子も緑の手を持っているらしい。
噂をしてたら、シーダ君本人が来ちゃいました。
「シーダ君、素敵…!」
「ミルフィ!?」
シーダ君は貴族の子息らしい格好をしていて、よく似合ってました。こうしてみると、シーダ君て育ちが良さそう。シーダ君の姿を見て、ミルフィが卒倒しかけた。シーダ君と私が同時に支えました。
「大丈夫か?」
顔をのぞきこまれて固まるミルフィ。シーダ君、それ多分逆効果だから。
「ひ、ひゃい」
ミルフィ、噛んでる噛んでる。言えてない。
「ミルフィリアに話があるから借りていく。ミルフィリア、おいで」
「ははははははいぃ!」
おお、見事なエスコートですよ!ミルフィが大変なことになってます。真っ直ぐ歩けてません。いやぁ…気持ちはわかる。好きなひとから正装でおいでと言われてエスコートされるとか、乙女のロマンです!
「おお…弟にも春が…」
「そうなんですよ。ちなみにあのお嬢さんは、クリスティアの公爵令嬢です」
「マジで?身分違いか…」
「そうでもないです。ミルフィ…彼女の家の後継は弟さんですし、ご両親も恋愛結婚ですから」
「そっかぁ。あいつもメロメロみたいだし、うまくいくといいな」
「…メロメロでした?」
ミルフィはわかりやすくメロメロだったが、シーダ君はわりと普通に見えた。
「あれよ、複雑な男ゴコロなんだよ。ミルフィちゃん?を見たとき、赤くなってたし…まぁカッコつけたいお年頃なんだよ。ありゃベタボレだな」
「そんなもんですか」
「わかる気がするなぁ」
ディルクが同意した。
「ふーん…ディルクもそう思うことがあるの?」
「そりゃ…ロザリンドにカッコいいと思われたいに決まってるよ」
「ディルクはカッコつけなくても充分カッコいいと思いますよ?」
「本当に!?」
ディルクが食いついた。え?何?ディルクがカッコいいのはもはや常識ですよ?
「うん。超カッコいい。たまにカッコよすぎてクラクラする」
「ロザリンド…嬉しい」
抱きしめられちゃいました。尻尾もご機嫌な揺れ方だから、これは相当喜んでる。
「ええ?ディルクは男らしくて超カッコいいですよ?そんな喜ぶこと?」
「いつも可愛いばっかりだから嬉しい」
うん、可愛くもあるんだよ。確かに可愛いはよく言ってるかも。
「ロザリンドにカッコいいと思われたいんだ。ロザリンドが大好きだから」
至近距離では反則だよ!耳元で囁くなぁぁ!!キュン死ぬ!ときめきすぎて死ぬから!
「……ディルクがカッコいいと私ばかり好きすぎる気がして悔しいからあんまり言わないんですよ…本当はいつもカッコいいと思ってますよ」
「うん」
スリスリしないで!キュン死ぬ!うああ、幸せ!
あ、レオールさん達が苦笑しながら離れていく!すいません!後で謝ろう。
私はこの幸せをはなしたくない!ディルクいい匂い…私もスリスリしてしまおう!
「らぶらぶにゃの~」
「なかよちにゃの~」
ちみっこ達の声で正気にかえりました。は、恥ずかしい!
ま、まぁそんな感じで祝勝会は過ぎていきました。