そして、作戦は最終段階へ
証拠は9割出揃いました。最後の一手を仕掛けましょう。私は人目を避けて話したいことがあるとマーシュ伯爵に手紙を出しました。
ここまでに私はマーシュ伯爵に甘言を用い『貴方は特別だ』『本当は貴方の味方をしたい。貴方は素晴らしい貴族だ』そんな耳に心地よい言葉ばかりを選んで話していた。彼は私の手紙に了承し、二人だけで話す事になった。
場所はウルファネアの高級な宿。人払いをして、世間話をしていたが、本題をと促された。
「その…ミルフィリアが申し訳ありませんでした。それをお詫びしたかったのです。それに聖女の恵みの事業にお誘いしたのにミルフィリアに反対されてしまって…」
「…貴女が悪いわけではありませんよ、ロザリンド様」
マーシュ伯爵は穏やかに言った。
「か、彼女は悪い人ではないんですが、貴族意識が高くて…彼女が居なければ…事業を一緒にすることもできたでしょうね。残念です」
「…そうですね。彼女が居なければ…」
「ミルフィリアだけは明日、クリスティアに帰ります。15時頃にウルファネアを出る予定です。私達は3日後を予定しています。マーシュ伯爵、今までありがとうございました。少し愚痴を言ってしまって、ごめんなさい。私の友人の非礼をお詫びします」
「いいえ。機会があればまたお会いしましょう」
マーシュ伯爵の雰囲気に不穏なものを感じつつ、私は城へと戻っていった。
そして、翌日。ミルフィはウルファネアを出立した。ミルフィにはサボさん、もふ丸、シーダ君、ジャッシュ、マーサ、ジルバがついています。ディルクも行って欲しかったけど、私が心配だからと却下されました。変装してついていく!とも言いましたが、私は目立つからだめと却下されました。
「心配だー!」
「ロザリンドが釣りする時、俺もそんな感じだよ。しかも一人な分、もっと心配」
「…………………いつもすいません」
そんな会話をしつつ、日が暮れてきました。
通信用魔具から、ミルフィの泣き声が聞こえてきました。
「ロザリィ、助けて!敵は退けたのですが、魔物が…!」
「ミルフィ!?」
私はヴァルキリーを出す間も惜しかったので、転移のブローチを起動する。恐らくは国境付近のはず!
「俺も行くよ」
ディルクを連れて、私達は暗い山のなかをひたすらに走り続けた。お願いだから間に合って!と心のなかで叫びながら。
短いですが、展開上ここまでとなります。久しぶりのシリアス先輩展開ですね。




