賢者様と弟子
すいません、シリアス先輩の反動が……作者はけっこう賢者とロザリンドのやり取りが好きだったりします。
賢者のじい様に報酬の海レア物素材を渡し、ついでに謎の怪奇現象…雑炊食べたら死にかけてた子供が超回復事件について相談しました。
「…なんでですかね?」
「いや、知らないよ!長生きしてたってわかることとわかんないことがあるんだよ!」
「チッ、役立たずめ」
「ちょ、舌打ちすんな!君本当に公爵令嬢なの!?ガラが悪すぎる!なんで僕にはそんな態度が悪いんだよ!」
「偉大なる賢者様におかれましては、当初は敬意をはらって接しておりましたが、何回言っても部屋を汚部屋にしやがるので、相応の対応になった結果が今です。まさに因果応報」
「ぐっ」
「つうか、何回言っても聞かない幼児以下のじい様に相応の対応になったのは仕方ないと思います」
「悪かったよ!」
「謝んなくていいから、行動で示してください」
「まったくああ言えばこう言う…口の減らない弟子め!ところでゾースイ作ってる時になんか余計なこと考えなかった?」
「普通に、よくなぁれ~、病気治れ~とおまじないをしましたよ。混ぜながら呟いたんですが…関係ないでしょ。そんなんで病気が治れば医者はいらない」
「あー、うん」
しかし賢者は考えこんでいる。何か心当たりでもあるの?
「もしかしたら、だけど」
「はい」
「贈り人の天啓かもしれないよ」
「…………はい?」
そういや、リンの天啓は不明のままだったね。いやいやいや、まてまてまて!
「えええええ!?どんな天啓!?」
「……シヴァの寵愛が該当する気がするんだよね」
なんというか、中二病的なお名前ですね。贈り人は神から天啓を1つ必ず貰うらしく、リンにも天啓があるはずなんだとか。
「どんな天啓?」
「思うままのモノが作れる。別名は創造の翼。救世の聖女が持っていたとされる、伝説の天啓だ」
「……………へ?」
「いや、まぁ別のかもしれないけど、ポーチやら指輪やらがもし天啓で歪んだとしたら…」
ありえない話では、ない…そうな。むしろ説明がついてしまう。理由は私が望んだからだ。
「いやあああああ!?めちゃくちゃヤバい天啓じゃないですか!?危険人物にあげたら世界が滅びる!」
「……まぁ、君がそう思うなら大丈夫じゃない?」
パニックな私とは裏腹に、賢者は冷静だ。私はそんなヤバい天啓はいらん!
「そもそもヴァルキリーを悪用したら世界征服でも滅亡でも、思いのままだよ」
「はぁ?私がそんなめんどくさいことするわけないじゃないですか。ヴァルキリーだって殺戮なんかしたくないだろうし、ありえません」
「だから、でしょ」
まだ見ぬ神様は、私を信用して天啓をよこしたと?賢者は苦笑していた。
「まぁ、実際は違うかもしれないからね。別のかもしれないし。あくまでも可能性のひとつだよ」
幼い容姿の賢者が、ちゃんと年上に見えた。最初は無口無表情無愛想が、よくここまで表情豊かになったよね。人見知りなんだよね、このじい様。
「あ、この指輪は奥方様に」
魔石つきのシンプルな指輪だ。効果を調べるじい様。
「魔力増幅と………なんだ?複雑すぎて…」
「こうやって使います」
「ぎゃああああ!?」
指輪をはめると、じい様がミニスカ猫耳男の娘になりました。
「いやぁ、ターゲットをじい様に絞るのが難しかったです。これ、説明書」
「技術の無駄遣いするんじゃない!!」
「いえ?奥方様からの正式な依頼です。あの杖のかわりが欲しいと。すっごく燃えたらしいし、頑張ってね」
「この悪魔弟子めぇぇぇ!!」
クリスティアの賢者様は泣きながら愛する奥方様のおうちに帰っていきました。
後日奥方様に惜しみ無い賛辞と、報酬を倍額いただきました。大変お楽しみだったようです。
次はちゃんと作戦を進めますよ。
次回、悪役令嬢ミルフィリアを待て!予告詐欺にならんよう頑張ります。




