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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・訴えて勝つぞ編

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ほうれんそう

 何事にもほうれんそう…報告・連絡・相談は大事です。というわけで、ラビーシャちゃんと合流して報告会となりました。


「お嬢様ぁ!私頑張りましたよ!誉めてください!」


 ラビーシャちゃんの報告書に目を通す。まぁ、大体は予想通りかな。霊感悪徳商法もどきをしていたのは予想外ではあったけど。


 アーコギとの癒着は間違いない。だが、まだ証拠が足りない。なかなかに上手いのだ。とりまきを上手く使い、自分から交渉をしていない。アーコギに調べさせ、とりまき経由で交渉していた。つまり、とりまきが勝手にやったんだよ!僕は被害者なんだよ!勝手に名前使われて迷惑だよ!関係ないんだよ!…と言い逃れが出来なくもないわけだ。


「うーん、ミルフィさん。役職変わんない?私を囮にしないかな?」


 いつもなら私が囮になるのだが、あれだけウルファネアでいろんな意味で大暴れしてた私を襲う馬鹿はいないと言われてしまい、明らかに見た目からして強くなさそうということで白羽の矢が立ったのがミルフィ。うう、心配だ。しかし、ミルフィは私の提案を受けてくれなかった。


「却下ですわ。すでに悪印象を私に、好印象をロザリィに植えつけたのですから、いまさら変更はできませんわ。それより、私はちゃんと演技出来てまして?」


「バッチリでした!孤高で高貴!優雅な悪の睡蓮…可憐な悪役令嬢ミルフィリアでしたよ!」


「なんだそれ」


「…まぁ、わからなくもないが」


 呆れるアルディン様、苦笑するアルフィージ様。


「うん、ミルフィリア嬢の演技は見事だったよ。なんかロザリンドを見てるみたいだった。というか、ロザリンドそっくりだった」


「「「確かに」」」


 ディルクの言葉に王子様達と兄様が頷いた。どういう意味だ。私は悪役令嬢ではなく公爵令嬢です。未来も悪役令嬢になるつもりはありません。


「まぁまぁ。お嬢様、多分父が殺る気……やる気なんでアーコギは偽りなく証言するはずです。少なからずとかげのシッポ扱いされて憤ってますしね。ただ、これじゃまだ足りませんよねー」


「だね。悪いんだけど、潜入捜査してくれる?お金の流れとか調べてほしい。これ、ジェスに書いてもらった推薦書。設定は貴族の行儀見習いだよ」


「かしこまりました。お嬢様の御心のままに」


 マーサに礼儀を仕込まれたラビーシャちゃんだからこそできるお仕事です。私の専属メイドはマジ有能!


「遅くなった!報告書だ!」


 シーダ君は元領地を調べてくれてて、別行動でした。


 さっと目を通してミルフィに渡す。ミルフィは期待した瞳でシーダ君を見ていた。シーダ君はミルフィを見て固まっている。再起動すると、なんとか言葉を発した。


「あ、その、それ、似合うな」


「!!ありがとうございます…嬉しいですわ」


 恥じらいつつもふわりと微笑むミルフィ。ミルフィの柔らかい微笑みに、さらに真っ赤になるシーダ君。


「ミルフィったら、シーダ君に見てほしくて化粧も落とさず、苦しいのにコルセットに耐えて待ってたんですよ」


「…は?」


「ろろろろロザリィ!?言っちゃうなんて、ひどいですわ!」


「だって不自然だもん。私達は普段着になってるのに」


「あうううう…」


「あー、うん。その…ミルフィリアが綺麗に着飾ったの見られてよかった。本当に童話のお姫様みたいに綺麗だな」


 シーダ君が苦笑したが、ミルフィはお気に召さなかったようだ。


「えい!」


「は?何!?」


「ぎゅー!」


 ミルフィはシーダ君に抱きつきました。私は目配せしてそっと移動。皆もついてきます。


「は!?ちょ!?グリグリすんな!なんだよ!?」


「私は童話のお姫様じゃありません!ちゃんとここに居ますのよ!」


「……うん。わかった。間違えた。すごく綺麗だし、めちゃくちゃ可愛い」


「…その、いきなりはしたない事をしてごめんなさい。でも私は、遠い世界のお姫様みたく言われたくなくて…」


「…うん。まぁ、その…こうやって抱きしめられるから、遠くはないよな」


「……………だき?」


「ん?」


「きゃあああああああ!?ごめんなさいすいませんもうしませぇぇぇん!!」


 正気にかえったミルフィはものすごい速さで逃げ出した。


「おい!?」


「ミルフィ落ち着かせてくるわ。兄様と修正した箇所見やすく清書しといてねー」


 ミルフィは、頑張りましたが落ち着きませんでした。まるで遠い世界のお姫様みたく言われてしまい、かっとなったらしい。かれこれ30分…ミルフィはお城の客室のすみっこで体育座りで顔を伏せています。


「もうダメですわ、痴女…私は痴女なのです」


「大丈夫だって。シーダ君は嫌がってなかったから」


 この繰り返しです。どうしたものか。


「シーダ君にもはしたない女だと軽蔑されて…」


「そんなことねーよ」


「ふえ!?」


 なかなか戻らない私達に焦れたのか、シーダ君が来ちゃいました。逃げようとするが、すみっこなので逃げようがない。


「ミルフィリア」


「は、はひ!」


「…少しだけ、触れていいか?」


「…………どうぞ」


 目を閉じてプルプルしているミルフィは凶悪な可愛さです。シーダ君はそっとミルフィを抱きしめます。


「ミルフィリア、可愛いな」


「ひゅああああ…どうしましょう…し、幸せなのに落ち着きませんわ」


「ミルフィリア、その…さっき抱きつかれて嬉しかった。ミルフィリアははしたなくなんかない。さっきは俺が悪かった。ごめんな」


 ミルフィと目線を合わせて柔らかく微笑むシーダ君。


「シーダ君…」


 ミルフィは頬を赤く染めてシーダ君をみつめる。しばらく二人きりにしてあげることにしました。悔しくなんかないんだからね!


 仕方ないので私は戻って明日の打合せをしました。しばらくしてミルフィとシーダ君が戻ったので予定を説明しました。


「あの、ロザリンド」


「はい」


「なんか、その…今日はずいぶんと…」


 私はディルクのお膝でディルクにスリスリしています。ディルクはそわそわしていますが、私は気にしません。


「………だってだって!シーダ君とミルフィのいちゃいちゃを見てたら私もディルクといちゃいちゃしたくなったんです!…甘えちゃ、ダメ?」


「ううん、大歓迎!ロザリンド、可愛い!」


 ディルクにぎゅうぎゅうされました。幸せ!


「ろろろロザリィ!わ、私達はい、いちゃいちゃなんてしてませんわ!」


「え?シーダ君にぎゅーされてたのに?」


「う」


「見つめあって、頬をなでられて」


「あ、あう…」


「いちゃいちゃしてるよね」


「…あんまりからかうな」


 シーダ君も照れてますね。そろそろ真面目に話し合いしようかと、兄とアルフィージ様が冷気を出し始めたので以降は真面目に話し合いとなりました。

 何はともあれ、明日も忙しくなりそうです。

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