シーダ君のお父様
ミルフィ達は派手にやらかす為の準備。人質に取られると困るんで、ジャッシュはシーダ君のお母様とちみっこ達を我が家に避難させる係になりました。
「あの…あの方はジャスパー(ジャッシュの本名)様では?」
レオールさんが気がついちゃったようだ。
「いいえ?あれはジャッシュと言いまして、私の従僕です」
「え?」
私は笑ってごまかした。レオールさんも何かを察したのかそれ以上はつっこまなかった。うーん、ジャッシュはお留守番させるべき?
さて、兄とシーダ君達を連れてお城に行き、ジェス達にも作戦を伝える。ど派手にやるから、お城の協力も必要だ。ジェスもジューダス様も賛成してくれた。更に、投獄されているシーダ君のお父様の所に行く手配もしてくれた。時間がないのですぐ移動した。
城の地下はカビ臭く、微かに血の匂いがする。私が分かるぐらいだから獣人はもっと感じているだろう。ディルクを見ると大丈夫、と頷いた。
ちょっと暗いわえぐいものがあるわで怖いので、ディルクの腕にひっつきながら奥へ進んでいく。怖がっているのがバレたらしく、優しくナデナデされてしまったのでぎゅっと腕にひっつく。
「俺の婚約者が可愛くてしかたない…」
怯えてるだけなんだけど、ディルクは隠れSなのだろうか…嬉しそうだ。ディルクはヒョイッと私を持ち上げた。お姫様だっこである。びっくりしすぎて声もでなかった私にディルクは優しく微笑んだ。
「怖いならこうしてあげる。目を閉じて、しがみついてていいよ」
「ディルクかっこいい…ありがとう」
ディルクの心音を聞き、ディルクの匂いに包まれて怖さは無くなった。しかし恥ずか死にそうだ。怖かったのは確かだが、素直に甘えてしまったのが恥ずかしい!ディルク、やっぱ腕だけで良かったよ!と思いつつ、到着するまで言い出せなかった私でした。
「こちらになります」
獣人の兵士さんがある牢屋の前で止まった。
「「父さん!」」
「ミチュウ…シーダ…なぜここに…」
シーダ君のお父様はやつれてはいるが、さほど怪我もない。健康的には大丈夫そうだ。
「案内ご苦労様。もう貴方は下がっていいわよ」
「しかし…」
この兵士が敵さんサイドだと話を聞かれては面倒だ。下がるように言ったが、兵士さんは難色を示した。私は殺気を出して兵士さんを威圧した。人間より敏感で強者に弱いウルファネアの獣人は扱いやすい。
「2度は言わない。下がれ」
「すいませんでしたぁ!!」
はっや!兵士さんはあっという間に逃げちゃいました。
「…君は?」
「私はロザリンドと申します」
防音結界を起動する。
「貴方が投獄された事件の真実を聞かせていただきたいのです」
「あれは私がやったのだ」
あ、失敗した。心を閉ざしちゃったみたい。明らかに警戒されてら。そうだ!兄様なら……と兄を見ると……あ、ダメだ。ダメだと確信した。
「は、はじめまして!お会いできて光栄です!僕はルーベルト=ローゼンベルクと申します!先生の著書は全て拝読させていただいてます!僕は先生の本に溢れる植物への愛情に非常に感銘を受けました!」
「うむ。植物への愛は誰にも負けん。若いのによくわかっているじゃないか」
兄は興奮しながらシーダ君のお父様に話しかける。おお、好感触?そして兄とシーダ君のお父様は語り合い、わかりあってしまった。
またオタクが増えました。兄が楽しそうなのはいいが、このまま植物トークを何時間もされては困る。
「ミチェルさん、貴方のご家族は我が家に保護しました。クリスティアの公爵邸に今はいてもらっております。どうか真実を話していただけませんか?」
「……そうか。妻と子供達は大丈夫なんだな?」
「はい」
ミチェルさんは事件について語りだした。概要はやはりミチュウさんに聞いたものと同じ。目新しい情報としては、今思えばミチェルさんと呑んでいた全員がグルだったと思われること。主犯は恐らくマーシュ家。現在聖女の恵みを管理している貴族である。
「必ず助けます。ご家族に危害を加えさせません。もう一度裁判を開廷させます。正直に話してください」
「わかった」
シーダ君のお父様は、やはり脅されていた。奥さんや子供への危害を恐れて偽証し続けたらしい。うん、敵泣かす。
兄は名残惜しそうにしていたがミチェルさんが出てきたら、ディーゼルさんも混ぜて思う存分話せばいいよと言ったら納得してくれました。
「そうと決まれば、マーシュ家を完膚なきまでに潰そうね!」
「…そうですね」
とっても爽やかな笑顔で物騒発言をかます兄にミチュウさんとシーダ君がドン引きしてましたが、気にしないことにしました。さあて、どう料理してやろうかな?




