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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・真夏の恋話編

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縁は意外なところからも繋がる

 ちみっこ達が眠り、再集合となりました。ジルバは私の言いつけ通り不参加です。

 さてさて、まずはシーダ君ちの事からかな。


「通常通話、レオール」


 数秒のコール音の後に、レオールさんが出ました。


「主様、何かご用ですか?」


「うん。遅くにごめんね。時間大丈夫かな?ミチュウさん側に居る?レオールさんも聞いててくれるとありがたいんだけど」


「かしこまりました。時間は大丈夫です。何かあろうと主様より優先すべき事項はございません。それと主様、私に敬称は不要です。レオールとお呼びください」


「あー、好きに呼ばせてください」


 しかしそっちに返事はなく、ミチュウさんに交代しました。


「あー、すいません。かわりました。弟達を旅行にまで連れていってくれて、本当にありがとうございます。弟達はご迷惑をおかけしていないでしょうか」


「シーダ君も居ますし、皆素直ないい子達ですよ。大丈夫。ちょっとうかがいたいのですがいいですか?」


「はい」


「シーダ君からお父様についてうかがいました。単刀直入に聞きます。お父様は無実だと思いますか?」


「…はい。親父は研究馬鹿だし、そもそも横流しなんてしないし出来ないと思います」


「知る限りでかまいません。お父様が投獄されるに至った経緯を教えてください」


 もともとシーダ君ちは下位貴族だったが、天啓持ちが産まれやすく、特殊な家系として一目おかれていた。

 お父様は学者として他国でわりと有名で、聖女の恵みを管理しつつも植物研究にあけくれていた。


 ある日、聖女の恵みが盗まれた。ただし、少しだけ。しかし、何度も続くので罠をしかけたり色々やったが成果はあがらず。


 お父様は古くからの友人とお酒を飲みに行くと告げ、そのまま帰らなかった。帰らぬ父を心配して探しに出たミチュウさんが聞いたのは、お父様が盗まれたと嘘をつき、聖女の恵みを売りさばいて捕まったという話。お父様に面会して真偽を問うたが、語ってはくれなかった。


 お父様は罪を認めている。販売した契約書には血判があり、お父様と一致した。しかし、詳細を語らず、今も投獄されている。


「ふむ。まず、知り合いとやらが怪しいですね」


「はい。しかし父と飲んでいた人達は、父が酔いつぶれたので宿に金を払って休ませた…と。疑うのかと一喝されましたが、そのうちの一人が我が家の後に聖女の恵みを管理しています」


「血判はその時かな?」


「…はい、恐らくは。父は商人に言われても断ってましたし、売ったとは考えにくい。聖女の恵みの管理を誇らしい仕事だと言ってましたから」


 お父様は脅された可能性もあるかな。家族の命、とか。


「レオールさん、聞いていましたね?意見をください」


「私も先生の件は変だと思っておりました。主様、私にこの件は任せていただけないでしょうか」


「いいけど…先生?」


「はい。ミチュウの父上は私とシュシュリーナ様の家庭教師をしていたことがあるのです。それゆえミチュウとも面識があり、色々ありまして雇うことになったのです」


 ミチュウさんが雇われたのはそういう理由だったのか。


「その…シュシュリーナ様はこういった事が不得手ですし、北は少々盗賊問題で忙しく、私はこの間主様のお話に感銘を受けました。必ずや、主様のお望みを叶えます。策謀と交渉ならば、私は貴女の力になれる。お願い申し上げます。私にお任せください」


「我が従僕、レオール=フェルゼン」


「はっ」


「私の望む結果を出しなさい。期限は私が次にウルファネアを訪れるまで。やり方は貴方に任せます」


「ありがとうございます!」


「ウルファネアには、今ラビオリ=ワルーゼが居ます。流通を探るなら、彼は心強い味方となるでしょう。こちらから協力を依頼しておきます。朗報を、期待していますよ」


「はっ!」


 そして通信が切れました。


「あの…ロザリンドはいつから東の公爵様を顎で使えるようになったんだ?」


「いや、顎で使っては…ないよ?」


「使ってただろ。前から気になってたんだよ。どうなってんだよ」


 ジト目のシーダ君。東だけじゃなく西の公爵、北の侯爵、王族も従僕だけど…まぁ、知らない方がいいこともあるよね!


「…いや、まぁ…そこはどうでもいいじゃないですか!東の公爵様が味方になりましたよ!やりましたね!うんうん!ラビーシャちゃん!」


「はい。お嬢様の御心のままに。私も探ってまいります。ご褒美はミックスベリータルトでお願いします」


「悪いね。ご褒美作って待ってる。頼りにしてるよ」


「当然です!お嬢様の専属メイドで1番の従僕は私ですから!」


 誇らしげに胸を張るラビーシャちゃんをラビオリさんのとこに送ってきました。


 兄が何やら考えこみ、意を決したようにシーダ君に話しかけました。


「シーダ君、ちょっと聞きたいんだけど。シーダ君ちの家名は?」


「家名?ラトルだが…」


「まさか…お父様の名前はミチェル=ラトル様!?」


「さ、様?ああ、そうだが」


「やっぱり!ああ…なんてことだ!ミチェル先生が投獄されているなんて、全世界の損失だ!!」


 兄、スイッチが…入っちゃったよ。テンションMAXだよ。アルフィージ様が死んだ魚の瞳をしている。うちの兄がすいません!

 ミチェル、ミチェル…あ、兄様が聖書だと言ってた本の著者だ!


「ああ…最近新しい本が出ないと思ったが、まさか投獄されているなんて…ロザリンド!今すぐ助けに行こう!」


「いやいや、レオールさんに仕事頼んだばっかだから!」


 兄をなだめるのがめちゃくちゃ大変でした。どちらにせよ1回は面会する必要があるから、連れてくからとようやく落ち着きました。

 縁ってどこで繋がってるか、わかりませんね。

 200話記念SSを番外編にて載せています。父、ディルク視点のお話になっています。


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