シーダ君とジルバ
昨日更新できなかったので短めですが、追加です。
今日は我が家の別荘にお泊まりです。応接間でお茶をしていると、なにやらシーダ君が考えこんでいます。
「なあ、あの米って聖女の恵みか?」
「そうですよ。ウルファネアから許可をもらって一般化させる予定なんです」
「そうなのか。あれ、あんな食い方もあったんだな」
「ん?…聖女の恵み、食べたことあるの?」
あれは王族専用ではなかったのか。どう見てもシーダ君は平民だが…
「味見する程度だけどな。3年前までうちで育ててた。うちの家系は緑の手の天啓持ちが産まれやすいからな。今は没落して、他の家が管理してるはずだ」
「えっと…理由を聞いても?」
「3年前、親父が聖女の恵みを横流しして投獄された。一応まだ貴族に籍はあるが…まぁ、形だけだな」
「…お父様はどんな方か聞いても?」
「研究馬鹿」
ざっくり一言でまとめられました。
「ルーみたいに植物大好きで研究ばっかしてた。聖女の恵みも大事に育ててた」
懐かしむ、優しい表情。もしかして…もしかするかもしれない。
「シーダ君はお父様が本当に罪をおかしたと思いますか?」
「…あの研究馬鹿がそんなことするはずないと、今でも思ってるよ。多分はめられたんだよ」
「シーダ君はお父様を信じてるんだね」
慰めるようにミルフィがシーダ君の手に触れた。
「ああ」
「…ふむ。とりあえず、ちみっこ達を寝かしつけますかね。その後で相談があります」
満面の笑みを浮かべる私に、ディルク、王子様達、騎士達がひきつっていた。
「悪い笑顔だなぁ…」
どういう意味かな?ダーリン。ミルフィは期待に満ちた瞳ですね。まぁ、期待に沿えるかは調べないとわかんないよ。
私の予想が正しければ、多分大丈夫だけどね。とりあえず、ちみっこを寝かしつけて再集合となりました。
「あ、悪いけどジルバは参加不許可」
「…理由をうかがっても?」
「私があんたを信用してない。実力不足。最低限、ジャッシュから一本とれないと話にならない」
「…かしこまり、ました」
おお!?成長したな!悔しそうなのは減点だけど、言い返さず素直にジルバは引き下がった。
シーダ君の話はまぁ…聞いててもいいけど、魔のことも話したいからジルバはいてほしくなかったんだよね。
「…俺は、貴女にも勝てないでしょう。精進、します。いつか認めていただけるように」
おお?なかなかいい瞳ですね。私はにっこり笑って言った。
「期待してます。ミルフィにも、強固な守りが必要です。今の貴方は足手まとい。何が必要かよく考えて成長してください」
「はい!」
いいお返事です。ミルフィいわく、ジルバはくそ真面目タイプで変にこじらせてたけど、以降修練に励み積極的に自分に何が足りないか他者に意見を求めるようになりました。
「お嬢様、ジルバさんがやたら来るんですが」
「…ごめん」
ジャッシュが師匠認定され、地味に困ってました。
「でも正直、ジャッシュは従者として素晴らしく有能だからいい見本だと思う。面倒かもしれないけど、業務に支障がない範囲で指導してくれるとありがたいかな」
「…お嬢様にそこまでいわれては仕方ありませんね」
ジャッシュが激しく尻尾をふりふりしてました。うちの従僕大丈夫か。チョロくないかな。
ジルバが私からも信頼され、実力を認められるのはまだ先の話です。
きりがいいので、シーダ君の話は次回に続く。




