表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・真夏の恋話編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

202/729

海精霊と夕食と米

 デンジャラスオクトーバーは私のポーチに収納されました。ヌメヌメの処理がめんどいなぁと考えていたら、ポーチが処理してくれました。便利だな!もう開き直ることにしましたよ!


「奇跡の歌姫様!」


「違います」


 海精霊(ネレイス)のお姉さんが慌てた様子でやって来ました。私の否定はスルーされました。


「大変です!先ほど精霊王様が暴れた影響でデンジャラスオクトーバーが目覚めてしまい、こちらに向かったと報告がありました!早くお逃げください!」


 危険かもしれないのにわざわざ知らせに来てくれたお姉さん。私は無言でポーチから先ほどしまった食材を取り出した。


「………え?」


 固まる海精霊(ネレイス)のお姉さん。もしかして、これがなんだかわかんないかな?海からでるとふにゃふにゃだもんね。


「デンジャラスオクトーバーなら、さっき倒しました。せっかくなんでもう1体ぐらい狩りたいんですけど、近所に居ませんか?」


「…………え?」


 さっきからえ?しか言わなくなった海精霊(ネレイス)のお姉さん。


「うちの妹…その、色々おかしいんです。すいません」


「え!?兄様どういう意味!?」


「そのまんまの意味だ!馬鹿妹!あんな巨大な魔物に向かっていくんじゃありません!」


 私はディルクとマーサを見た。ディルクが目線をそらした。マーサは…笑ってるがよくみると眼が泳いでいる。ディルクが意を決したらしく、兄に頭を下げた。


「ルー、ごめん。最近は普通にSSランク討伐であの程度はよく狩ってたから…俺も居たし大丈夫かと」


「ロザリンドはどうなってるの!?どこを目指してるの!?やっぱり冒険者になるの!?」


「最終目標地点は海が見える丘の一軒家でディルクといちゃつきながら老後を過ごしたい感じです」


「だったら討伐とか要らないよね!?」


「素材を集めたりしてましたんで…討伐はついでです。未来に何があろうと立ち向かう準備をしてるんです」


「…何と戦うつもりなんだぁぁ!!」


 兄の叫びがこだましました。とりあえず、魔と戦う準備をしてますよ。私の予想が正しければ、この7年でどれだけ準備を出来るかと、ヒロインが鍵になるはずです。


「奇跡の歌姫様」


「だから違いますってば。ロザリンドです」


 海精霊(ネレイス)のお姉さんのスルースキル高いな!


「海の素材は何をお求めですか?」


「そうですね、涙の真珠、嘆きの水晶…」


 ほしい素材を話す。お姉さんは昆布…だよね?海のメモ的なものなんだろうか。昆布に尖った石で私が言った素材を刻んでいく。


「分かりましたわ。奇跡の歌姫様の望まれる素材は、我ら海精霊(ネレイス)が集めてプレゼントいたします。流石に魔物素材は無理ですが、海底の素材ならばお力になれましょう!」


「だからロザリンドだって…いや、そこまでしなくても大丈夫ですよ?場所を教えてくれれば…」


「いいえ、我らの主をお救いくださったお礼です!デンジャラスオクトーバーについても調べておきますわ!…もし報酬をくださるなら、また歌を歌ってくださいましね」


 言うが早いか、ウインクすると海精霊(ネレイス)のお姉さんは潜ってしまった。ま、いいかな?確かに慣れた彼女らなら素材を確実に入手してくれるだろうし、失敗もあるから素材は多い方がいい。





 私達が漁村に戻ると、お祭りでした。どうしたんだろ。


「マーサちゃんのお嬢様達のおかげで漁ができるようになったからね!ほら、おいで!」


「あ、あわわ…」


 パワフルなおばちゃん達になすすべもなく連行されました。そして、現在私達は…いや、私とディルクがなんかこう…記者会見席的なところに座らされました。どうしてこうなった!?


「いんや、ありがたや」


 おばあさん、拝まないで!私に御利益はありません!


「肉の聖女、ついに魚デビューか。もはや食の聖女でよくねーか?野菜の英雄様」


「ぶふっ!?」


「くっ…」


「「ぎゃははははは!!」」


「ぷっ…」


「わ…笑ったら…ぷふっ…らめれすわ……」


 シーダ君のひと言で、全員が吹き出した。なんて奴だ!私もちょっと吹いたじゃないか!敵ながらあっぱれ!

 笑いたかったら笑いなよ。別に怒んないよ。ミルフィの優しさだけ受け取っておくよ…


「ありがとうなぁ…このままじゃあ村は…森の魔物狩るしかねぇかと思っとっただよ。ただ、あんまり狩っちまうと冒険者が来なくなっちまうし、プロには結局敵わねぇしで結局生活は苦しくなるとこだっただよ」


 さすがはマーサの出身地です。海がダメなら森の魔物を狩ればいいじゃないという発想でしたか。どこのマリー様ですかい。


「それに、久しぶりの魚だぁ。母ちゃん達もはりきってごちそう作ったから、たんと食いな!」


 クラムチャウダーに、ムニエル、フライ、スープ煮……新鮮な海の幸…お刺身が山盛りです!お醤油…これは魚醤か。


「すいません、味見用なんかで使う小皿をいくつかいただけますか?」


「はい、どうぞ」


 ポーチから醤油とわさびとおろし金を取り出した。いや、新鮮な刺身なら、やはり大豆醤油とわさびですよ!わさびは兄が探して育ててくれました。我が家でわさび和えは大人に好評で、酒の肴メニューです。


「おいしい…!ディルク、おいしいですよ。あーん」


「むぐ…確かにこっちのショーユ?よりおいしいね」


 皆や村の皆さんにも分けました。好評ですな。そして、おいしい刺身には米が付き物!お米食べたい!


「ちょっと炊きますね」


 ポーチから飯ごうを取り出し、米と水を入れる。


「すいません、誰か調理場貸してください」


 米をといだら魔法でふっくらと炊きました。寿司食べたいな。ついでにデンジャラスオクトーバーの足を一部塩茹でにしてスライス。私は生タコより茹でタコが好きです。

 さらに酢飯も作って戻りました。


「何を作ったの?」


「米はそのままでもお刺身等と大変合うのです。まずは炊きたてのお米、次に塩むすび、酢飯を召し上がれ」


「おいしい!やっぱりロザリンドのご飯は世界一だね」


 この笑顔のために生きてる!幸せです。私は酢飯をどんぶりに入れてカイワレを敷き詰め、上から刺身を綺麗に盛り付けました。最後に海苔をパラパラしたら、完成!海苔は先ほど海水浴で兄が海草や海苔を採ってくれていたので自作しました。


「わぁ、刺身がバラみたいに綺麗に盛り付けてありますわね」


「ミルフィも食べる?」


 ミルフィにも同じように盛ってあげました。


「お醤油かけてもいいし、刺身につけてご飯と食べてもおいしいよ」


「はう…おいしいですわ」


「ロザリンド、俺も!」


 このパターンは……ウルファネアのエンドレス焼きとり?の悪夢が甦りましたが、幸い盛り付けはおばちゃん達がやってくれて、私はひたすら米を炊き酢飯を作成しました。


 疲れましたが、この村でも米を布教出来たのはよかったかな?

 そんな感じで夕食会は和やかに過ぎていきました。


 ロザリンドはクリスティアに米を広める予定です。とりあえず漁村の皆様は米うめぇ!と喜んでいたようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ