海水浴とタコ
ストロベリーな2人を眺めたら、遊びますよ!ジルバ?放置します。私はジルバよりシーダ君推しです。私もたまに驚くぐらい、シーダ君はしっかりしてますからね。
私はサーフボード魔具を使い、サーフィンもどきを楽しみます。右、左、ターン。アルディン様もやってますが、実験を繰り返した私の方が習熟度が上なぶん上手いです。
「ロザリンド、競争だ!」
サーフィンはそういうものではないのですが…まぁ、受けてたちました。圧勝でした。調子こいて勝利の宙返りしようとしたら、落ちました。
「ロザリンド!?」
海中に落ちてびっくりしたから水を多量に飲んでしまいました。苦しい。すぐにたくましい腕が私を引っ張り、体が浮上する感覚。海面に顔が出たら激しく咳き込みました。
「げほっ!えほっ!」
「大丈夫?念のため近くにいるようにしといてよかった」
ディルクは私の背中をさすり、優しく話しかけます。ディルクは指輪で人魚姿になり、私が危なくないか注意してくれていたそうな。危なっかしい婚約者ですいません。しかも調子こいて溺れかけました。
「大丈夫?少し休憩する?」
いたわるディルクが嬉しくて、甘えることにしました。いったん浜辺にあがります。ジャッシュが駆け寄ってきました。
「お嬢様、大丈夫ですか?お水にいたしますか?」
「いや、ジュースとかき氷がいいな」
「かしこまりました。ディルク様は」
「同じもので」
「かしこまりました。すぐお持ちします」
私特製・トロピカルジュースとかき氷…というかフラッペだね。フルーツとアイスクリーム、白玉がトッピングされてます。いくつかあるんでイチゴをチョイス。ディルクはパイナップルです。
「んー、おいしい!」
「おいしそうですわね」
遊び疲れたのか、休憩みたいです。ミルフィとシーダ君が来ました。フラッペのフルーツはミルフィが桃、シーダ君はマンゴーにしてました。
「おいしいですが、ちょっと多いですわ」
「大丈夫大丈夫、ディルクあーん」
「へ?いや、人前だよ!?」
「溶けちゃうから、早く!あーん!」
「あ、あーん」
真っ赤になりつつ私があげたかき氷を食べるディルク。私はミルフィに笑いかけた。
「…とまぁ、愛しのダーリンに食べていただくのですよ。ディルク、私にもパイナップルちょうだい」
「あ、うん。はい、あーん」
「パイナップルもおいしいね」
ディルクは食べさせるのは平気みたいですね。逆は照れるのに。ミルフィは暫く私達を眺めていましたが、シーダ君に話しかけました。
「…シーダ君」
「…………しないぞ」
「まだ何も言ってませんわ」
「………わかった。言ってみろ」
「量が多いので、残りを食べていただけませんか?」
「え?あー、ロザリンドにやれば…」
「無理。私は自分のも食べきれなくてディルクに食べてもらってるし」
「あー、誰か他のやつを…」
「溶けてしまいますわ。皆さん泳いだり楽しんでますのに、お呼びするのも申し訳ないですし、捨てるにはもったいないです…というわけで、あーん」
「………じ、自分で食える!自分のスプーンがあるし!」
「…私もロザリンド達みたいにシーダ君と…な、仲良くしたかったのですが…だめ、ですの?」
シュンとして首をかしげるミルフィ。シーダ君は真っ赤になって固まったが、ミルフィの差し出したかき氷を食べた。そして自棄になったのか一気に食べて頭がキーンをやらかしていた。
ミルフィは嬉しそうだった。うん、ミルフィの笑顔は可愛い。ミルフィが楽しそうでなによりです。
ミルフィはシーダ君を連れて一緒にアヒルさんボートに乗るようだ。デートの定番だね!
「ディルク、私もディルクとアヒルさんボートに乗りたいな」
「いいよ」
ディルクはあっさり了承してくれた。
「えへへへ」
「ご機嫌だね、ロザリンド」
「うん。リンの世界でデートの定番ですから」
ディルクの肩に体を寄せる。ディルクは他の人にぶつからないよう前を見つつ、嬉しそうだ。
「そうなの?」
「はい。よくリンは池なんかでキャッキャウフフしてるリア充共に爆発しろと内心呪ってましたが、今は私がリア充ですよ!」
「りあ?」
「恋人といちゃつくなど、現実が充実していて羨ましい人です。でも、今の私にはディルクが居ますから!心から自慢できる理想を越えた恋人が!私は幸せです」
「え?あ、ありがとう。ロザリンド…その、ロザリンドも俺の自慢の恋人だよ」
「ディルク…!」
ディルクの腕に抱きつく。私は今、幸せです!ディルクも穏やかに微笑んで私を撫でてくれます。うっとりしてディルクに身をまかせる私。そんな幸せタイムは、悲鳴で強制終了しました。
「ぎゃあああああ!?」
オッサンの野太い悲鳴が響き渡る。
「デンジャラスオクトーバーだぁぁぁ!?」
船に巨大なタコ足が巻きついている。デンジャラスオクトーバーがでかすぎて船がオモチャみたいです。
「きゃああああ!?」
結界を足1本だけすり抜けたらしく、ミルフィが捕まっている。
「ミルフィリア!今助ける!」
シーダ君は完全獣化するとミルフィを捕まえる足をかじり、ミルフィを解放させた。そしてミルフィを背中にのせて一気に陸に泳いでいく。足は後を追おうとしたが、水月さんがすかさず応戦する。水流でタコ足を押しかえしているようだ。
「ディルク!」
「うん!」
「そいやああああああ!!」
アヒルさんボートにあるまじき勢いで水上を爆走する。後でアルディン様達から、もはや別の乗り物だったと言われました。
全力をもってこぎ続ける私達。私達は風になる!今なら空も飛べると思ったら、本当にとんだ。
アヒルさんボートが飛んだ。
いや、アヒルさんが黒くなってるじゃないか!アヒルさんが本気を出した!?
「いやあああ、なんで飛んでるの?しかもなんか、ボートが黒くなってる!」
「ロザリンド、なんかした!?」
「してない!今なら空も飛べるとか思っただけでしてない!」
後で改めて見たら、アヒルさんボートはブラックスワンボートにクラスチェンジしてました。
とにかく、デンジャラスオクトーバーにアヒルさん改めブラックスワンボートが体当たりをかましました。
「ふふふふふ…飛んで火に入る夏のタコ!!くらいつくしてくれるわ!!」
「…なるべく傷をつけないで倒すべきかな?」
「胴体に一撃でよろしく!」
「「はああっ!」」
私とディルクの指輪が巨大な剣になり、デンジャラスオクトーバーは串刺しになりました。
「え…一撃で?」
誰かが呟いてましたが、違います。2回攻撃してますから。デンジャラスオクトーバーは魔法がほぼきかないし攻撃力も高いですが、物理攻撃に弱いんですよ。見た目はタコですが、10本の足があり、足ごとに攻撃が違います。足を落とすと防御力が下がりますが攻撃力が上がるわ、範囲攻撃が出るわ…なので最初から胴体狙いでしとめたわけです。
「わぁい、今日はタコ料理ですね!」
「よかったね、ロザリンド」
カナタさんにいい手土産ができました。浜辺に戻ったら漁師さんに感謝され、皆はドン引きしてました。なんでだ?




