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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・真夏の恋話編

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精霊王とクーリン

 精霊王はすっかり魔を浄化されて、呆然としています。周囲の氷は少しずつ溶けていく。


 私とディルクは北条君、ジャッシュは水月さんに乗っています。


「指輪返すね」


 借りていたディルクの指輪を返却しました。


「…ロザリンド、聞いていい?」


「はい、なんなりと」


「最後の拳骨は要らなかったんじゃないの?普通にチタが浄化したら良かったんじゃあ…」


「いいえ、衝撃を与えて浄化をより効果的にしようとしたのです。必要な措置でした」


「それは建前だね。で、本音は?」


「うちの子を泣かす奴は誰であろうと許さん!とりあえず1発ぶん殴る!と思いましたんで…まぁ、ノリです」


「やっぱり」


 流石はディルク。よく分かってらっしゃる。会話を聞いていたジャッシュが頭を抱えてしまった。


「………お嬢様」


「てへ」


「ノリで危険なことをしないでください!あんな高さから飛び降りて!下手すれば死んでますよ!?後でお説教ですからね!」


「はーい」


 まぁ、心配かけたし仕方ない。そんな感じで気を緩めていたら、ジャッシュが津波にのまれた。


「ジャッシュ!?水月さぁぁん!?」


「すいませんでしたぁぁ!!」


 津波じゃない!精霊王の土下座による波でした。でかいんだから気をつけてよ!


「うう…」


 水月さんがジャッシュをちゃんと拾ってくれました。よかった…


「ごめんなさい…水の精霊王でありながら、魔に侵されるなど…」


「あの…妻はもう大丈夫なのか?」


 不安そうなクーリンのお父さん。私はチタに話しかけた。


「チタ、説明してあげて」


 金色の可愛い妖精さん姿なチタが胸を張る。


「オレが魔を祓ったんだ!大丈夫に決まってる!オレは女神に祝福された薔薇。聖属性の精霊だ」


「確かにもう魔の気配を感じませんし、大丈夫かと思います」


「そうか…よかった…よかった…」


 クーリンのお父さんは精霊王にすり寄った。ラブラブですな。


「あなた!」


 巨大な美女と巨大な魚が抱き合うってシュールだね。


「ママ…」


「リトル…いえ、クーリンだったかしら?」


「そうだよ」


「クーリン、ごめんなさい。貴方の意思を無視して、ずっとずっと閉じこめて…」


「うん。ママ、うそつきって言ってごめんね。多分ママの話は嘘じゃなかった。でも、本当でもなかった」


「え?」


「ママは世界が怖いものだって言ってたけど、怖いばかりじゃなかったよ。クーリンは、幸せになれたよ。たくさん嫌なこともあったけど、クーリンは今幸せだよ。世界は広くて残酷だし酷いことする人もいたけど、優しい人もいるよ」


「クーリン…」


「だから、クーリンはここには帰らない。でも、たまに遊びにくるね」


「ええ…」


「待っている。いつでもおいで」


「うん!」


 クーリンはスッキリした笑顔だった。ご両親もどことなく晴れやかだ。


「つまり、クーリンはうちの子のままってことかな?」


「そうだよ!」


「クーリンの面倒は責任もってみます。安心してください」


「…ええ。クーリンがこんなに慕っているのですものね。クーリンのことも、魔のことも…本当にありがとう。この恩は返しきれないわ」


「いいえ、クーリンはとてもいい子でお手伝いしてくれてますし、クーリンの今までの働きぶんでチャラってことで。まぁ、クーリンの大事なご両親だから助けないって選択肢はそもそもありませんでしたから、お気になさらず。むしろ私をそこまで動かした娘さんに感謝してください」


「…お姉ちゃん」


 クーリンの頭をなでなでしてあげた。私より年上に見える。よく考えたら、クーリンはいくつなんだろう。うん、考えないことにしました。ややこしくなる!


「決めました!」


「はい?」


 精霊王が急に大声を出した。なんかキラキラして楽しそうだね。


「私も貴女の加護精霊になります!」


「結構です。水はクーリンが居ます」


「わ、私強いわよ!」


「いや、魔力が強すぎる加護精霊はダメなんです。私、まだ魔力が安定してないから」


「まぁ…なら安定したら必ず力になるわ!これを持っていきなさい」


 綺麗な貝殻のコンパクト。このアイテムに見おぼえがあるような…


「それは、水の精霊王の心。それがあれば、私といつでも会話できるし、私の分身を呼び出せるわよ」


「ありがとうございます。いつか、助力を乞うことがあると思います。その時はよろしくお願いいたします」


 精霊王に深々と頭を下げた。


「クーリン、お母さんとお話しておいで」


「…いいの?」


「うん。お姉ちゃん達は浜辺で水遊びしてる。お泊まりでもいいよ。クーリンが見た世界を、お母さんとお父さんにお話ししてあげなさい」


「うん!」


 クーリンは笑顔で両親の元へ行った。親子水入らずでお話させたほうがよいでしょう。さて、浜辺に戻るかな、と思ったら海精霊(ネレイス)さん達に囲まれました。え?なんか用?


「私を貴女の加護精霊にしてください!」


「ずるいわ、抜けがけよ!貴女の歌に惚れました!貴女様の加護精霊にしてください!」


 次々に私に加護精霊にしてくれと言う海精霊(ネレイス)さん達。


「これはあれか。モテ期って奴ですかね」


「…まぁ、確かにある意味モテてはいるけど違うでしょ」


 流石はディルク。的確なツッコミです。そんな感じで現実逃避しましたが、お返事はしないといけません。全員お断りするのは大変でした。


 どうしてこうなった!?

 今回の改変。

 精霊王の代替り(死亡)ルートを回避。

 精霊王の夫の死亡ルートを回避。


 ちなみにロザリンドがいなかったら、クーリンパパが精霊王を命と引き換えに倒していました。

 精霊王は結構早い段階から魔に侵されていましたが、水は自浄の魔力があるのでなんとか持ちこたえていました。

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