魔獣さんと精霊さん
精霊さん達にいつもの自己紹介をしてもらおうと思いましたが、私はミニサイズのもふもふやスベスベやひんやりに囲まれています。
肩にもふ丸、お膝にスノータイガーの白雪君(仔猫サイズ)カミナリトカゲの上村君、パラライズスネイクの真昼さん、ウォータースパイダーの水月さん、クリスタルラビットの栗栖君、ウィンドホークの北条君が私のそばを離れません。べったりです。
「…皆、どうしたの?」
「アルジ、シンパイシテル」
「おうふ」
魔獣さん達は私と契約した結果私の異変を察知してしまったらしく…心配しているらしい。
「心配させてごめんね」
それぞれ、そっと抱きしめた。しばらくしたら満足したらしく、離れてくれました。
「ん?」
行列のできる店のラーメン…ならぬロザリンド。なぜだ。なぜ皆並ぶんだ。おい、聖獣様と闇様もか!?前にもあったよ、このパターン!!
私のお膝にスリスリしているもふ丸が言いました。
「ミナ、アルジニモフラレタイ。メデラレタイ」
「おうふ…そうか」
うん、これもある種ハーレム?私、幸せです!全員まとめて可愛がってやるわ!可愛い奴らめ!結局3周してやっと満足してくれたようです。なかなかかまってあげられなくてごめんね!
さて、ようやく精霊さんの自己紹介タイムですよ。皆が何の精霊かと名前をチタに伝える。
「アタシはチタ。緑と聖属性の精霊よ。本体は光の薔薇と呼ばれているわ。女神の寵愛をうけた聖なる薔薇よ」
「チタ…女の子?」
アリサが首をかしげた。うん…そこは私も気になる。なんとなく聞きそびれてたんだよね。
「男よ」
しん…と場が静まった。
「また変態か」
スイ(毒舌)が毒をはいた。いや、それは言い過ぎ!チタは当然言い返した。
「ちょっと!?アタシは別に変態じゃないわよ!似合うからこの格好なのよ!」
「ああ…」
納得な私。確かに似合う。あ、なら似合う男性服ならいいのか?
「ねぇ、チタ。こんなのは?フリルつけて…リボンをこう…」
私は鞄から紙とペンを取りだし、サラサラと紙にドレッシーな貴族のお坊ちゃんスタイルのデザインを描いていく。チタは派手だし似合いそう。
「ふぅん…悪くないわね。これなら着てあげてもいいわよ」
「よっしゃ!」
さっそく作りました!裁縫の腕が最近上がった気がします!…出来上がりは相変わらず血まみれですがね。何故だ…なぜ刺さる!?浄化で血を消し、チタに渡した。パッと姿が変わる。
「おお!チタ似合う!カッコいいよ」
「ま、まぁまぁだな」
あや?見た目が代わったらチタが男らしくなりました。チタいわく、見た目にそぐわないと違和感があるからだそうです。まぁ、確かにそうかな?
「ママ………アリサには?」
「…うん?」
愛娘がキラキラした期待に満ちた瞳で私を見ています。
「ロザリンド、チタだけとか言わないよね?」
「…イイマセンヨ」
にっこり笑って圧力をかけてくるスイについ片言になる私。あ、よく見たら皆期待に満ちた目をしてます!全員分新しい服を作る約束をしました。ん?全員?
「ゴラちゃん…私が作った服着るの?」
「ウム。キル」
「わかりました!頑張って作ります!ちゃんと着てくださいね!」
「マイニチキル」
ゴラちゃんは宣言通り毎日着てくれました。あれだけ言っても着なかったのに…解せぬ。たまたまチタに話したら、呆れられました。
「精霊は、加護を与えた相手を溺愛してんだよ。大事な相手の手づくりなら、本来服を着ない精霊だろうと喜んで着るだろうよ」
「…つまり、チタも私が大好きなんですね?」
「な、ば、バーカ!違うからな!」
チタは真っ赤になって私を罵倒しながら逃げました。私の精霊、ツンデレですね。可愛いなぁ。そして、私は意外とゴラちゃんに愛されていたようです。ゴラちゃんは以降ちゃんと服を着るようになりました。私が作ったやつ限定だけども。
逆に着たがらなかったのがハク。
「えへへぇ」
「ハク、着ないの?」
「うん、こんないい服ぅ、もったいなくてぇ。しばらく飾って眺めるよぅ。農作業で汚したら悲しいしぃ」
「着なさい!なんなら作業着も作ったげるから着なさい!服は着るものです!」
説得しました。ト○ロにオーバーオールは似合ってました。
意外だったのは闇様。闇様はローブ的なズルズルした服だったんで、たまに踏んでこけたりしてたから下はズボンにしたんですが…上下ぐるぐるさせてたのでどうしたの?と聞いたら、着方がわかんなかったらしい。
『いい年をして嘆かわしい』
アラブ系民族衣装風の服を着た聖獣様(獣人形態)威厳漂う聖獣様によく似合ってます。
「し、仕方ないだろう!我は服などもらったことがないのだ!」
聖獣様は呆れたご様子でしたが、ちゃんと着方を教えてあげてました。なんだかんだで聖獣様は面倒見がいいと思います。
結論は、うちの子可愛い!ですかね(笑)




