みんなでランチタイム
シュシュさんにお礼がしたいとお誘いを受けましたが、今日は昼食をお祖父様のお屋敷で作る約束があるから…とお断りしました。
城で報告して、昼食をとってから東のユグドラシル活性化をすると話した時、双子ちゃんが余計な情報を流してしまった。
「おねーちゃん、おひるごはんなぁに?」
「おむらいすおいしかったにゃあ!」
「……ハンバーグの予定です」
「はんばぐー?カナタが食べたいと言ってたやつか?その、作り方を教えてもらえないか?」
シュシュさんが食いつきました。うう…まぁ仕方ないよね。
「い「わしも食いたい!」」
「……………………」
元気なオッサ…王様来ちゃいました。盗み聞きすんなよ、一国の主!しかもどこから出てきた!?なんで壺から…仕事サボってたな!?無言で家主にどうします?と問いかける私。シュシュさんはさておき…オッサ…王様が来ると、多分逃亡させないためにジェス達が来るよね?遠い目をしつつ、お祖父様が頷きました。
「仕事をきちんとやると誓うなら構いません。サボったら二度と陛下には食事を作りません」
「約束しよう」
王様はキリッとした表情で言いました。
「「ありがとうございます」」
ジェスとジューダス様から感謝されちゃいました。というわけで、大人数になっちゃいましたがお祖父様のお屋敷に帰還です。
「………おかえりなさいませ」
さすがは出来る侍従さん。一瞬気が遠くなったようですが、きちんとにこやかに対応しています。
「シュシュさんはこっち。私はご飯作ってきます」
「うん、ではな」
シュシュさんと厨房に向かう。気になったのでちょっと聞いてみた。
「アンドレさんにカナタさん、何か言ってませんでした?」
「ん?ああ、なんか初対面で…その…『アンドレまでおるとかなんやねん!お前には絶対負けへんからな!』とやたら張り合っていたが」
「ああ…」
どうやらアンドレさんはカナタさんより先にシュシュさんと出会っていたらしい。見たことも会ったこともないカナタさん、つっこませてください。シュシュさんはオス○ル様じゃないから!似てるけど違うから!
シュシュさんはカナタさんがアンドレさんにやきもち妬くのが嬉しいらしい。ちなみにアンドレさんはつがいと結婚してるそうで、浮気もありえないそうです。
厨房についたら、シェフさんが緊張しまくっています。何故だ。
「そんなに緊張せずともよいぞ?」
「ウルファネアの軍神姫に緊張すんなとか無理っすよ!」
「軍神姫?」
「ウルファネアの英雄に並ぶ有名人なんですよ!女性でありながら公爵となって、民のために先陣をきって戦う!サーガもあるぐらいですよ!」
「え?マジで?それどこで買えますか?」
「ウルファネアの本「私は英雄殿ほど有名ではない!ロザリンドちゃんだって肉の聖女様じゃないか!サーガどころか絵本まで出ているぞ?」」
「え?肉の聖女様ぁぁぁぁ!!?」
シェフさんは筋肉祭りに行っておらず、私の素性を知らされていなかった。気が利く侍従さんの気遣いですね。ありがとうございました。今、バレました。
「…まあ、とにかく今はお昼ご飯を作りましょう」
「…そうだな。ロザリンドちゃん、指示してくれ」
私達はお互いテンションを下げつつ、調理に取りかかった。シェフさんだけがテンションを上げてました。
「先ずはお肉をミンチにしてください。細かく刻んで細切れにします」
「うむ、得意だ!」
言うだけあって、凄かった。包丁さばき…いや、あれは剣技だな。見事としか言いようがないレベルでしたよ。あっという間に大量の挽肉が出来ました。
ハンバーグのタネをコネコネ。
「はんばぐーとは手の込んだ料理なのだな」
「まぁ、ウルファネアは大半塩焼きですからねぇ…」
それに比べたら手が込んだ料理だろうなぁと思いました。シェフさんも真面目に手伝ってくれてます。後でレシピをシュシュさんにあげると話してたら、シェフさんも欲しいと必死に言うんであげることにしました。
「完成!ロザリンド特製お子様ランチです!」
「はんばぐーではないのか?」
「ハンバーグも入ってますけど、こういうプレートに子供が好むメニューを盛ったモノをお子様ランチと言うのです」
ちなみに、ハンバーグ、エビ?フライ(川にいるエビモンスターのフライ)、綺麗な山形ご飯、ナポリタン、タコさんウインナーとサラダです。
デザートはガトーショコラですよ。
「うまそうだな!」
子供たちのはハンバーグにウインナーのお耳のウサギさん。顔をケチャップで描きました。
「うさちゃんだにゃあ!」
「かわいいにゃあ!」
「うさぎさん…」
「すげー」
喜ぶちびっ子達。うむ、たんとお食べ。
「うまぁぁい!」
おい!いただきますの前に食べるなよ王様!フリーダムなオッサンめ!
「「父上」」
王族兄弟からブリザードが発生しました。しかられてシュンとするオッサン。どっちが親だかわからないね。
「では、いただきます!」
皆さん早い早い!食べるの早い!お腹すいてたんだね。
「ロザリンド、おいしい」
「ディルクにそう言ってもらえるのが1番嬉しいです。おかわりもありますから、たくさん食べてくださいね」
「うん」
そんな感じで会話していると、シュシュさんが話しかけてきました。
「ロザリンドちゃん、カナタが言ってたはんばぐーはこれじゃない気がするんだ」
「覚えてる範囲でいいので、どんなものかうかがってもいいですか?」
「はんばぐーとぽてととこーらが飲みたい…と言ってた。飲み物だったのだろうか?」
「コーラが飲み物、後は食べ物ですよ。なるほど、ハンバーガーでしたか。コーラは流石に再現できませんが、ハンバーガーとポテトは可能です」
「そうか!ありがとう、ロザリンドちゃん!」
シュシュさんはにっこりと微笑んだ。私はハンバーグをハンバーガーに改造。更にサンドイッチ用の包み紙の上に、無駄にクオリティが高いマク○ナルドならぬシュシュナルドのロゴを書いた。さらにフライドポテトも厚紙を用いてファーストフード風にした。更に私は大容量鞄・時間停止付与をシュシュさんに渡した。
「シュシュさん、この鞄は温かい食事を腐らせず保存できます。カナタさんにこれごと渡してください」
「ありがとう!きっとカナタも喜ぶな!次はぜひ、カナタが居るときに遊びに来てくれ!全力で歓迎するよ」
「はい、喜んで」
私はシュシュさんと今度は遊びに行くと約束しました。シュシュさんは忙しいらしく、食事を終えると仕事に行きました。見習いなさい、王様!
「いい友達が出来て良かったね」
「はい。また次に会うのが楽しみです」
次はカナタさんにも会えますよね!お土産とか、なに話すかとか、楽しみです!
活動報告にバレンタインデー記念SSを載せてます。
ミルフィ視点のバレンタインデーのお話です。




