魔法とちみっ子
ロザリンド視点に戻ります。時間もディルクと別れた所からです。
時間は少し遡る。私はちみっ子達と遊ぶことになりました。
先ほど城に居たできる侍従さんが案内してくれて、別室に通されました。ここはダンスホールかな?かなり広さがあるので色々出来そうだ。気が利くなぁ。
「「魔法は?」」
期待に満ちた瞳を向けてきたちみっ子達。
「今見せてあげるよ」
今度隠し芸として披露しようと思っていたオリジナル魔法を発動させる。水の魔法で動物を作り、風の魔法を併用して飛んだり跳ねたりさせた。さらに光の魔法をで意図的に虹を作る。
私は歌い、歌に合わせて水の豹と鳥がダンスを踊る。たまにちみっ子達にタッチした。ちみっ子も一緒に楽しげにダンスを踊りだした。
歌い終わると水の動物は消えた。双子は一生懸命拍手をしてくれました。あ、侍従さんも拍手してくれてる。
「しゅごい!」
「おもちろかった!」
キラキラした瞳のちみっ子達をさりげなくもふる私。素晴らしいモフ心地。ディルクより毛並みが柔らかいね。ちみっ子だからかな?
「魔法みたい!」
「魔法もっと!」
ちみっ子達にねだられたので、ヴァルキリー飛空艇モード…ただし3人乗りのミニサイズを出した。
「「かっこいー!」」
ふはは、男の子は好きだよね、こーゆーのが。
「乗るよー」
「「のれるの!?」」
ちみっ子達は大興奮である。浮いたらキャー!進んだらニャー!しばらく飛空艇で遊んでたら、他の子供が来ました。
「なんだこれ!」
「いったん休憩しよっか」
ちみっ子達と降りて、ヴァルキリーは指輪に戻した。
私はたくさん作ったチーズケーキとクッキーをウエストポーチから出した。
侍従さんが私にはお茶、子供達にはホットミルクを出す。マジで気が利くな!
「人間の食い物ね…」
先ほど来た2人は私より年上と同じくらいの兄妹。先ほど熱い抱擁で歓迎してくれたディルクの叔母様の子供だそうです。妹はラァラ。大人しくて可愛い。兄はラグラス。どうも私が気に入らないようだ。どちらも黒豹の獣人である。ぜひもふりたい。
ラグラスがおやつに警戒しているので話しかけた。
「嫌なら食べなくて「おいちい!」」
「おいちいよ!おねえちゃん!」
ちみっ子達ががっつく。お母様そっくりだな。顔にチーズケーキついてるよ。私はラグラスを放置して双子の食べかすを無言で拭き取ってやる。
「ありがとう、おねえちゃん!」
「おいちいよ、おねえちゃん!」
「あ、おいしい…」
双子を見てラァラも食べ始めた。静かに早い!おいしいのだろう。口元がほころんでいる。口をへの字にしていたが、ついにラグラスが一口食べた。
「うめぇ!なんだこれ!?」
「チーズケーキです。私はさっき食べましたから、よろしければ味見しますか?」
ラグラスに返答して、侍従さんに私のチーズケーキを差し出す。侍従さんは一応断ったが、興味があったのだろう。一口食べた。
「うまい…あ、お、おいしい…です」
素は柄が悪いのかな?慌てて取り繕う侍従さん。別に気にしないけどね。どうでもいいけど、私の料理を食べるとオネエの皮がはげたり…私の料理には人を素にしてしまう効果が…あるわけないな。
アホなことを考えつつ、侍従さんにおやつを勧めた。
「よろしければどうぞ」
「ありがとうございます」
気に入ったのか素早く食べてしまいました。さて、子供達は…完食していた。早くね?そして、クッキー(最後の1枚)を無言で取り合う構えである。
「…全員1枚ずつで終わりですよ」
私は非常食(ディルク用おやつ)からクッキーを取りだし、1枚ずつ全員に渡した。
子供達は幸せそうである。おいしいものは警戒心も緩ませるようで、ラグラスもすっかり警戒が薄れている。
「みんなで遊ぼうか」
「わーい!」
「あしょぶ!」
「何をします?」
「…仕方ないな」
結局、年齢差があるんでにらめっこになりました。ルールもシンプルだし、3歳でもイケる!
「にーらめっこしーましょ、笑うと負けよ」
「「「「あっぷっぷ」」」」」
リンはにらめっこで負けなしです!ふはははは!我が最終兵器変顔に平伏すがよいわ!美少女の超絶残念フェイスを見よ!
「ぎゃはははははは!」
「あははははははは!」
「にゃはははははは!」
「わははははははは!」
予想通り爆笑する子供達。そして、予想外の、いてはならない人が居ました。
「ぶふっ」
ディルクがぷるぷるしています!み、見られたぁぁぁ!!1番見られたくなかった人に見られたぁぁぁ!!
「あ、ディルク!?あ、あわわわわ…こ、これはにらめっこという遊びでして…」
私は涙目である。これで愛想をつかされたらどうしよう!?
「ふふ、すっかり仲良くなったみたいだね。さすがはロザリンドだ」
ディルクはいつも通りの笑顔です。よかった…嫌われなかった!先ほどの変顔は女子として完璧アウトでしたが、寛大なディルクは見なかったことにしてくれたようです。
「ディルクはどうだったの?」
「おかげさまで沢山話したよ」
ディルクはにっこり笑うとナデナデしてくれました。えへへ、幸せ。
「ロザリンド、お祖父様から許可をもらったから庭園を一緒に見に行こう」
「はい」
「ごめんね、借りていくよ」
ディルクは子供達にそう告げると、私を軽々と抱き上げました。乙女の憧れ、お姫様抱っこです!
「ディルク?」
「うん?ああ、子供とはいえ他の男の匂いが気に入らないのと…牽制かな」
子供で他の男はモフったし双子として…牽制?ラグラスがショック受けてる気がしましたが…見なかったことにしました。
「ごめんね、この子は俺のつがいでお嫁さんなんだ」
ディルクはそう言って私を抱っこしたまま庭園に行きました。
ディルクが牽制したのはラグラスです。3歳にはさすがに嫉妬しませんが、10歳のラグラスはアウトです。
ラグラスはちょっとだけロザリンドを気に入ってましたので、ショックだったようです。