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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・帰ってきた日常編

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学校と保護者達と眩い人

 さてさて、今日から学校ですよ!久しぶりに騎士服を着て学校に行ったら…校門に保護者が多数居ました。通れそうもないなぁ。面倒だし、騎士団に直接転移しちゃおうかなぁと考えていたら、保護者達の怒鳴り声が聞こえてきた。


「責任者を出せ!」


 なんかクレームかな?と他人事にしてられたのはそこまでだった。


「子供が旅行先で大海嘯にあったと言ってるぞ!」


「危険な目にあわせたんじゃないだろうな!?」


 うちのクラスメート達の親御さんでしたぁぁ!?よく考えたら、そうだよね!クレーム言いたくなるよね!不可抗力だけど、大事な子供が下手したら死んでるもんね!あばばばば…怖い!どうしよう!?


「帰るわよ!こんな学校転校するわよ!」


「母ちゃん、話を聞いてよ!危なくなんかなかったよ!」


 いや、危険ではあったよ。お母さんらしき相手に必死で説得するルフナ。目があってしまった。


「姐御!母ちゃんを説得してください!俺、転校なんかしたくねぇよ!!」


 とりあえず、私は公爵令嬢らしくふるまうことにした。婚約指輪さんに服を白銀ドレスにチェンジしてもらう。私の指輪は扇だ。


「朝から騒がしいことね」


 ざわり、と周囲がざわめいた。うう…注目されてるが仕方ない。


「なんの騒ぎなのかしら。この私が学校に行くのを妨げる程の理由がおありなんですわよね?」


 わざと魔力を出して周辺の気温を低下させる。


「そ、それは…」


「来たのが私で良かったですね。相手によっては不敬罪だと拘束されかねませんわよ」


 騒ぎを聞きつけたのだろうか。校長と担任が保護者達を講堂に誘導した。私の出る幕は無さそうだと仕事に行こうとして、見知らぬおばさんに腕を掴まれた。


「ワタクシはこの子が主導だったと聞きましたわ!この子からも説明させるべきです!」


 えー?そんなこと言われても、大海嘯は事故みたいなもんだし言えることなんてほとんどない。私、騎士団に遅刻したくないんですけど。


「母ちゃん!やめろよ!姐御に乱暴すんな!」


 ガーブのお母さんでしたか。確かに同じ虎耳と尻尾だね。


「ええと、生徒に乱暴はお止めください。ロザリンド君、君も来てね」


 マジか。そこは庇うとこじゃないかなぁ、校長。仕方ないんで連絡してから私も講堂に行きました。








 つうかこれ、どうすんの?私もどうにかできる気がしないんだが。下手したら保護者が暴徒化しかねん。


「だから納得いく説明をしろ!」


「馬鹿にしてるのか!」


 校長はひたすら落ち着いてと声をかけるが、落ち着くはずもない。真面目にどうにかしないと、と考えていたら肩を叩かれた。


「俺に任せてくれ」


 私にそう言うと、アルディン様は颯爽とクラスメートの保護者達の前に立った。


「すまなかった!」


 アルディン様が大きな声で謝罪した。保護者達も固まっている。王族が頭を下げたのだ。アルディン様が王族と知らずとも、身なりを見れば高位貴族とわかる。謝らせたとかバレたらまずいよね!


「今回の旅行はウルファネアとの親善を兼ねていた。知っているかもしれないが、クリスティアとウルファネアは関係が悪かった。そんな中で、大海嘯に遭遇したのは不測の事態だった。私達は前線には出ていない。城で救護をしていた。確かに危険はあったが、得難い経験をした。ガーブ、ルフナ…君達は怪我人を搬送していたな」


 2人は頷く。


「彼らは血まみれになりながらも、多数の負傷者を搬送した。ミルル、ポッチ…君達はひたすらにポーション作成を手伝っていたな」


 え?もしやアルディン様はクラスメート全員の動きを把握してたの?


「私が戦術指揮をして、アルディンはクラスメートと後方支援をしていたんだよ」


 アルフィージ様が苦笑しながら来ました。心を読むな。びっくりするわ。


「君は気をはってない時は表情で大体読めるからなぁ。一応気をつけるよ」


「私達も、最初は大海嘯に恐怖した。だが、たった1人が勇敢にもどうにかしようと立ち上がった」


 嫌な予感しかしないよ。アルディン様、手を伸ばすな。お断りしま…


「いってらっしゃい」


 覚えとけよ!?絶対仕返ししますからね!!アルフィージ様に力一杯押されてアルディン様の隣に行ってしまった私。アルディン様はエスコートするように私の手をとった。


「彼女が、ロザリンド嬢が…なんとかすると約束してくれた。だから私達はあの絶望的な状況下でパニックを起こさずに対応できたのだ」


「母ちゃん、姐御はスゴかったんだ!」


「姐御だけが戦いに行ったんだよ!」


 素直なクラスメート達も同意した。


「さらに素晴らしい事に、あの絶望的な大海嘯があったにも関わらずウルファネアの死者はゼロだったそうだ」


 保護者達はざわめいた。普通は有り得ない。


「皆様のお子様達が後方支援で救護したことも大きかったと思います。ウルファネアの王族様からも、医師からも軽傷者を治療してくれたおかげで医師達は重傷者に集中できたとお褒めの言葉をいただきましたし、戦勝パレードにも全員参加いたしました」


「そうだよ!俺達馬車とかフロートに乗ったんだよ!」


「皆でパレードに出たよ!」


 クラスメート達は嬉しそうに親に話した。保護者達の中にはその姿を見て穏やかに微笑む人達もいた。


「確かに、我々は危険な目にあった。だが、本当に得難い経験だったと私は思っている。人間も獣人も関係なく脅威に立ち向かい、己の出来ることをした。皆が弱音を吐かず、仕事をやりきったのだ」


「そうだよ!」


「頑張ったんだよ!」


 クラスメート達は皆笑顔だ。暴徒化しそうだった保護者達はすっかり鎮静化している。アルディン様スゲェ!


「アルディンの浄化はもはや多数対応か…」


 アデイルさんが遠い目をしている。浄化ね。うん、天然でここまで出来るのはもはや才能…あれ?アルディンさま後光がさしてるよ。もうキラメキ☆次郎とかに改名したらどうかな。眩いんですけど。


 私はアルディン様に皆が気を取られてる隙にウルファネアのジェスに連絡を取って現状を手短に伝えた。ジェスは対応が遅れたが各個人に感謝状と金一封を出すと約束した。その事も伝え、どうにか保護者達は納得してくれた。




 先程のお礼をかねてアルディン様と裏庭でお茶をしていた私達。


「ロザリンド嬢、何故私の分がないんだい?おまけに何故アルディンを見ない?」


「先程の行ってらっしゃいをしやがったから、おやつはあげません。アルディン様が眩しいんですよ」


「は?」


 アルディン様に後光がさしていたのではなく、実際に眩しかったというオチでした。


「アルディン様、光の精霊さんに気に入られたみたいですよ。めちゃくちゃまぶしいです。呼びかけてあげてください」


「え?あ…俺を気に入ってくれたのか?なら姿を見せてくれ」


 陽の光よりもまぶしい光がアルディン様の手に降りた。


「君に名前をあげるよ。ラート、ラートでどうかな?」


「気に入ったよ。よろしくね、アルディン」


 真面目そうな金髪金目の精霊さんはふわりと微笑んだ。おお、ゲームにも出てた精霊さんだね。


 ちなみにアルディン様はラートゲットの影響か、光輝く皇太子やら光の王子やらと呼ばれるようになった。ラートが悪戯してるのか真面目にやってんのか、はたまた関係なくなのかは分からないが、この日からたまにアルディン様は物理的に後光がさす王子様になりました。


 1対1で無敵なアルディン様は、多対1でも浄化ができるようになりました。眩い白様にクラスチェンジですね(笑)


 追伸、結局アルフィージ様はこないだ本気で心配したのにからかった仕返しだよとロザリンドを言い負かしておやつをせしめました。

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