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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・帰ってきた日常編

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お嬢様と従僕

 シリアス先輩がチラチラしています。

 賢者の汚部屋から早々に撤退した私は、帰宅して後は寝るだけとなりました。


 控えめなノックが響き、困惑した表情のジャッシュが来た。


「どのようなご用件でしょうか、お嬢様」


「ああ、内緒話がしたくてね。確証があるわけじゃないから、ジャッシュの意見が聞きたいんだ」


「かしこまりました」


「ついでにウルファネアの詳細も面白おかしく話してやろうかと」


「普通に!簡潔明瞭にお願いいたします!」


 とりあえず軽いジャブとしてウルファネアでの出来事を語った。ジャッシュが丸くなった。いや、これは土下座だわ。土下座はもういいって。お腹一杯です。


「身内が大変な失礼を…」


 いや、別に気にしてないんだけどね。もう喉元過ぎました。


「さて、本題です。変なことを聞くよ。第2王子は2人居る?」


「…いえ、お1人ですが…とても印象が違うときがありました。私は何故ジューダス様が聖域から出られなかったのかを知りません。もしかしたら父なら何か知っているかもしれませんが…」


「あの説明能力の無さだもんねぇ…父様に通訳してもらっても限界があるし」


 お互いにため息をついた。ただ、確かなのはひとつだけ。


「この腕輪は聖属性の浄化効果がある。これを渡したら、第2王子は聖域から出てきた」


「聖属性…そういえば、ジュティエス様とジューダス様のお母上はホーリードラゴンでしたね。ジュティエス様が居るときのジューダス様は常に穏やかでした」


 つまり、聖属性で抑えられる何かに侵されている、のだろうか。推論でしかないし、あまり追求するのもなぁ。助けを求められたわけでもない。助ける義理もない。

 なんで、あの人が気になるんだろうか。


「意外ですね」


「何が?」


「お嬢様のことだから、助けるとおっしゃるのかと」


「いや、私は正義の味方ってわけじゃないし、助けを求められたわけでもないからね。それにゴースト系統嫌いだし…勘だけど今の私ではどうにもできない気がする」


「ちなみに、なんでゴースト系統が苦手なんですか?」


 私はジャッシュから目をそらした。


「物理が効かない、なんとなく呪われそう、よくわかんないから嫌い」


「「………………」」


 何かを考えている様子のジャッシュ。


「…つまり、怖いから嫌いなんですか?」


「……………………遠回しに言ったんだから、確認しなくてもいいじゃん!ともかく嫌なの!嫌いなの!」


「………すいません」


 顔をそむけ、プルプルしてるジャッシュ。笑いたきゃ笑え、ちくしょうめ!


 真面目な話、試してみたけどジューダスにはロザリアの未来予測が効かなかった。さらに実は私、トゥルーエンドを知らないのだ。王様は全攻略対象のエンドを見たあとルートがオープンする。

 私は攻略対象のエンドは全部見たんだけど、トゥルーエンドルートはかなり属性値調整がシビアだし…つい愛しのディルク様に寄り道した結果、見られなかったのだ。ちゃんと見とくべきだった!後悔してます。


 まぁ、どちらにせよ、私は私の今できる最善を頑張るしかない。さしあたっては魔法院をどうにかすることと、腕輪を定期的に供給してやってナニかを抑えることだ。


 ちなみに、私のこの選択が7年後に大きく影響する事を今の私は知らない。まさかあんなことになるとか、予想できる奴は多分居ないと思うんだよね。


 もう1つ確認したかったことをいまだにプルプルしている従僕に聞いた。


「ジューダスがクリスティアを嫌いな理由って知ってる?」


「はい。結構有名な話ですから…ジューダス様はクリスティアのご令嬢と婚約なさったのですが、ご令嬢はジューダス様が完全獣化した姿を恐れ、化け物と言ってしまったそうです。当然破談になり、ジューダス様が聖域からでないのはそのせいとも言われておりました」


 だから私が怖くないのか発言があったのかな?そしてなんとなくだが内向的な感じだから、引きこもりそうな気がする。


 現状で得られる情報はこの程度だろう。内緒話を終わりにしようとジャッシュに話しかけようとしたら、ジャッシュが礼をとった。確か、感謝の礼だ。


「ウルファネアを、捨てたとはいえ我が祖国を救ってくださり…感謝いたします。すいません、もっといい言葉があればよいのですが…私は心からお嬢様に感謝しています。一生涯かけてもお嬢様にいただいたモノを返せるかわかりませんが、精一杯頑張ります」


 頭をさげたジャッシュの頭をナデナデもふもふしました。


「お嬢様?」


「あのさ、ゲータとかにも言ったけど…私のお願いを聞いてくれる?」


「はい。何なりと」


 言ったな?言質は取りました!


「幸せになって」


「…は?」


「幸せになって、ニコニコしてて。私はそしたらいいことしたなと自己満足するから。そもそも別に対価は貰ったし、ジャッシュは充分私に報いてるよ。ルランの救援は本当に助かったし、ジャッシュの細やかな気配りはとてもありがたい…ジャッシュ?」


「おじょうざまぁ…」


 ジャッシュ…美形が台無しだ。そこまで泣かんでいいわ。別に私おかしなこと言ってないし。


「泣かないの」


 ハンカチで拭ってやる。鼻水たらすなよ、美形なんだからさ。


「うれじぃでず…本当にじあわぜでず」


「ならいっか。また焼き菓子作ってくれる?ウルファネアでも食べたけど、ジャッシュの作ったのの方がおいしかった」


 ジャッシュは涙と鼻水で美形が台無しだったけど、嬉しそうに何度も頷く姿は可愛かった。尻尾もパタパタしてたしね。


 翌日さっそくジャッシュはお茶の時間に焼き菓子を出してくれました。おいしかったです。ちなみにルランやクリスタルドラゴン達も好きらしく、救援の対価が焼き菓子だったと聞かされた。ユグドラシル…いや、ウルファネアが実は焼き菓子に救われたと知るのは私とクリスタルドラゴン達だけである。

 実はユグドラシルがあそこで破壊されてたら、ウルファネアは滅亡してたかもしれません。焼き菓子はウルファネアを救う(笑)


 色々あったロザリンドとジャッシュですが、ジャッシュは地道な努力により着実にロザリンドの信頼を得ています。

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