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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・帰ってきた日常編

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帰宅と報告

 ロザリンド=ローゼンベルク、無事に帰還しました!


「おかえりなさいませ、お嬢様!ルー坊ちゃま!よくご無事で…!」


 マーサに抱き締められました。く、苦しい…


「マーサ、ロザリンドが青くなってるよ!?」


「まぁ、誰がお嬢様をこんな目に!?」


 全員無言でマーサを指しました。兄がすぐ気がついてくれて助かりました。帰宅して気を抜いた時に絞殺されそうになるとかビックリですよ。ぶっちゃけ大海嘯より身の危険を感じました。


「申し訳ありません、お嬢様!」


「ただいま、マーサ」


「はい!お帰りをお待ち申しあげておりました!」


 マーサが嬉しそうに笑う。帰ってきたんだなぁ、と和んでいると、マーニャがやって来ました。


「お帰りなさーい、お嬢様、ぼっちゃま。お嬢様達が大海嘯に巻き込まれたと聞いてメイド長大変だったんですよー、皿は割るわ、壁を割るわ」


「「…………………」」


 今、壁とか言わなかった?マーサがボーッとしてて頭で壁を割ったらしい。マーサよ、普通は割れないよ?むしろ頭は(物理的な意味で)大丈夫なの!?


「お嬢様が心配だったのです。私も修行が足りませんわ」


 ある意味修行は足りてる気がする。壁を割らないでください。皿はまぁ、仕方ない。


「お帰りなさいませ、お嬢様、坊ちゃま。お茶とお菓子を御用意しておりますので、テラスへどうぞ。皆、お迎えご苦労様。ジェンド達の分のおやつもあるよ。手を洗ってからおいで」


 ジャッシュは現れるなりテキパキと働きます。出来る従僕はソツがありませんな。誰とは言わんが見習ってよ、息子は本当に出来る子だよ!


「ジャッシュ、かがんで」


「はい」


 素直にかがむジャッシュ。頭をナデナデしてやる。うむ、さらさら。耳はフカフカでなかなかのモフ心地。私はにっこりと微笑んだ。


「ただいま、ジャッシュ。ルランに救援を頼んでくれてありがとう。本当に助かったよ。それから、お茶とお菓子も。疲れてたからありがたいな」


「はい!少しでもお嬢様の助けになったなら嬉しいです!」


 うわ、笑顔全開で尻尾振ってる。けなげなわんこだなぁ。和みます。あの、マーサとマーニャよ舌打ちすんな。聞こえてます。


「お帰りなさい」


「「ただいま、母様」」



 母からもぎゅっとされました。母いい匂いだし幸せです。


「奥様の分もお茶とお菓子を御用意しております。テラスでお嬢様達とお茶はいかがですか?」


「まぁ、ジャッシュちゃんありがとう」





 皆でテラスに行き、まったりとお茶会をしていたら、誰かが走ってくる気配がしました。


「主、おかえり!」


「はい、ただいま。ジェラルディンさん」


 尻尾をぱたぱたしてると筋肉ムキムキなオッサンでも可愛い気がする。不思議ですね。


「そういえば、ウルファネアでのことをジェラルディンさんから聞いてます?」



「そうですね『主がロッザリンドォォでごばーんとしてな。びかっとなってな、今は聖女で肉祭だ』と『うむ。主のばる…ロッザリンドォォは凄かったぞ。びかびか、ずどーんで、大半は主が倒したからな!』と『でかい奴だ。鎧で…弓がびかびか、ずどーんだった!』と言われましたが分かりませんでした。かろうじて旦那様とアークさんが通訳してくれましたけどね」


「うん。説明が下手そうだとは思ってたけど、予想以上だわ」


「もはや連想ゲームの域だね。父様よく分かったなぁ」


「はは、同類だからなぁ。お帰り、お嬢様、ルー坊ちゃん」


「「ただいま、アーク」」


 ああ、天然が響きあったんだね。分かります。


「ロザリンド、ルー、おかえり」


「「ただいま、父様!」」


 兄妹揃って抱きつくと、父は嬉しそうに微笑んだ。いや、周囲から見たら無表情だろうけどね。


「で、お嬢様。ロッザリンドォォって何?」


「…………………………」


 アークの質問に答えたくないので笑顔で全力スルーする私。


「ロザリンドの指輪で武器として出たヴァルキリーって巨人の叫びまたは肉の聖女を讃える叫び」


「…お嬢様はウルファネアで何をしたんですか?」


「ざっくり言うと、初日は大海嘯を殲滅してユグドラシルを目覚めさせて大海嘯で倒した魔物を精肉して肉祭り。肉祭りはロザリンド発案」


 そこまでは予想していたのか、ジェラルディンさんから聞いていたのか頷くジャッシュ。


「そのあと国王毒殺未遂事件を解決」


「「は?」」


 我が家の比較的常識人2人がハモりました。


「に、兄様…その辺は言わなくてもよくないかな?」


「ロザリンド、クラスメートも聞いてたからうちに問い合わせがくる確率が高い」


「…………………そうですね」



「ちなみに、毒殺未遂事件とは…」


「ウルファネア国王が毒を盛られてた。遅効性の無味無臭な毒だね。王宮筆頭医師が使う薬草に混入されてた。黒幕含めてロザリンドが挑発して手を出させて一網打尽にしたよ」


「お嬢様達は何しにウルファネアに行ったんですか!?」


「「旅行」」


「それで、なんで大海嘯は殲滅するわ、国王毒殺未遂事件を解決して犯人一網打尽にするんですか!?」


「毒殺未遂はジェスからあらかじめ相談受けてたよ。ジェスは病気だと思ってたけどね」


「ちなみに、その実行犯と間接的に関わった人を連れてきてるよ」


「どうしてそんなことになっちゃったんですか!?」


「「ウルファネア国王に押し付けられたから」」


「祖父がすいません!」


 土下座されました。別にジャッシュは悪くないと思うの。


「大海嘯だけは想定外だったけど、ユグドラシル復活と国王毒殺未遂事件解決は予定内だったよね、兄様」



「そうだね。想定外だったのは…大聖堂に住まう変態を撲滅したら国王が変態になったのと、よくわかんないけど第2王子様が動けるようになったのと、ジュティエス様が大人になってロザリンドの仮従僕になったぐらいかな」


「色々あったよね」


「本当にウルファネアで何があったんですか!?ざっくりじゃなくちゃんと説明してください、お願いします!」


「「めんどい」」


「まさかの4文字!?」


 ジャッシュが涙目です。しかし、それどころではありません。


「ちなみに、押し付けられた罪人達は応接間に放置してます」


「…どうするつもりだ?」


「片方は当面、孤児院で奉仕労働ですね」


「もう片方は巻き込まれただけで罪も軽いから僕の助手にします」


「わかった」


「寝泊まりは孤児院の寮に泊まらせる。空きはあったよね?」


「はい、問題ありません。かなり空いているとルーミア様からうかがっています。元奴隷達はどうしますか?」


「もう少し落ち着いたら土地買って農園作るから、そこで働いてもらう予定。当面は兄様の農園とかを手伝ってもらうかな」


「かしこまりました」


「後、兄様にお願いがあります」


「何?」


「これを育てて欲しいのです!大量に!」


「これは…米?普通のより丸いね」


「はい。この米は、普通の米ではありません。ウルファネアのおいしいお米です。これで我が家で素晴らしいお米ライフが実現するのです!」


「あのもちもちしたやつか。分かった。任せといて。栽培法は普通のと同じ?」


「はい。そのように聞いています」


「それは、王族が体調を崩したときに食べる『聖女の恵み』では!?」


「あ~、そんな名前だったかも。王様にねだったらくれました。ジェスも借りがありすぎるから好きにしていいって言うし。ウルファネアでは炊き方が失伝してたけど、炊きたてご飯は美味ですよ」


「な、なるほど」


「ちなみに、これに見おぼえは?」


「だ、大聖堂の大司教に代々伝わっている杖!?」



「「正解」」


「これ、国宝ですよ!?」


「ちなみに、ジャッシュは大司教の格好をどう思ってました?オブラートなしでお願いします」


「…………変態だと思ってました」


「正解。この杖は多分救世の聖女の嫌がらせです。贈り人の感性から言っても、この杖はマッチョなオッサンが使ったらダメなやつです。女性用です。かわりをあげるかわりに宝物庫に封印してたらうっかりウルファネア国王が触って大変なことに」


「祖父が申し訳ございません!」


「父はどうなったのだ?」


「いちごぱんつのミニスカ魔法少女?と名乗りました。操られるわ、素早いわ、スカートを気にしないからみえてはいけないモノがチラリを越えているわ…大変でした。それもあってジェスに押しつけられました」


「祖父と伯父がすいません」


 ジャッシュはまた土下座しました。だから、別にジャッシュは悪くないよ。悪いのは王様とジェスだよ。別に責めてないよ。残念な事実を報告してるだけだよ。


「最後は肉の聖女を讃える凱旋パレードだったね。ロザリンドはアルディン様に手柄を押し付けようとして失敗してたよ」


「頑張ったんですけどねぇ…うまくいきませんでした」


「正直、ロザリンドの印象を上書きするのはかなり無理だと思うよ?ヴァルキリーだけでもインパクトがスゴかったし」


「あうう…」


「お嬢様ですからね」

「お嬢様だしなぁ」

「お嬢様ですものねぇ」

「お嬢様だもんねぇ」


「どーゆー意味ですかぁぁ!?」


 曖昧に笑われました。アルディン様と比較すると、インパクトが半端ないから…だそうです。アルディン様は白いから存在が薄いんですよ(暴言)


「そういや、お嬢様は精霊ゲットしなかったのか?お嬢様が出かけると騒ぎが起きてゲットしてくるだろ?」


「我ダ」


「ん?ルー坊ちゃんの大根?」


「マンドラゴラダ。毒ト緑ヲ司ル精霊ダ。叫ブゾ」


「「叫ぶな」」


 大惨事の予感しかしません。まぁ、加減はしてくれるだろうから死なないだろうけど、私とジェラルディンさん以外が痺れると思います。


「マリー、だいこんキライ!」


 マリーは以前ゴラちゃんにじゃれて引っ掻いた結果、叫ばれたのでゴラちゃんが嫌いです。以来マリーはゴラちゃんを見かけると威嚇します。ゴラちゃんが発光しました!やばい!まさか…


「フゥ~!」


 葉っぱだけの変態が出現しました。テーブルの上に突如出現し、高速で腰を振る変態に全員硬直しています。


「フゥ~!じゃないわぁぁ!!この、変態がぁぁぁぁ!」


 硬直が解けた私は、もはや脊髄反射で指輪を瞬時にバットに変えてフルスイングした。


「らもぉぉぉん!?」


 謎の叫びを残して、変態は文字通り飛んでいきました。


「ハルー」


「はいよー」


「ご近所さんが通報する前にゴラちゃんを捕獲して。ゴラちゃんには服を着るか、漬物になるかを選ばせて」


「…ロザリンドは本気だと伝えるよ」


 後にハルは、あの時のロザリンドは目がマジだった。ゴラが漬物にされかねないと思ったと語りました。ちなみにゴラちゃんは場を和ませようとしたそうです。むしろ私が激しく荒みましたよ!次やったらすりおろしの刑ですと言っておきました。

 ハルは吹き飛んだゴラちゃんを探しにいきました。


「お嬢様、なんであの変態大根を加護精霊にしたんだ?」


「昔のゴラちゃんは、あんな変態ではなかったんです!マスコット的存在だったんです!」


 元はだいぶ変わったマンドラゴラさんでした。


「人型になれるようになったのは、ロザリンドに加護をあげてからなんだ」


 何故だろう、皆がつまりロザリンドのせいかと頷いてる気がする。被害妄想かな?


「お嬢様、いい加減ミケル達をどうにかしましょうよう」


「「あ」」


 困った表情のラビーシャちゃんが来るまで、すっかりと忘れてました。だいぶ放置しちゃったな。

 仕方ないので報告会は終了となりました。

長くなったのでいったん切ります。

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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
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