素直さとキス
恒例のイチャイチャタイムになります。
さて、正気にかえった王様は中庭で正座させられています。あの、王様ですよね?1番偉いんだよね?ジェスが怖くて聞けません。普段温厚な人がキレると怖いよね!笑顔が超怖いよ!
「父上、何故私が怒っているかおわかりですね?」
「うむ。わしのせくしーぼでぃを見せつけてしまったな。すまなんだ」
ち が う だ ろ !
一瞬宇宙が見えました!王様は、天然ではなく中途半端に言葉が通じる異星人でした!
にっこりと微笑んで、ジェスは言いました。
「縦に二分割、横に四分割でよろしいですか?」
「八つ裂きはダメェェェ!!」
舌打ちすんな!気持ちは分かるけども!オッサンも鍋をチラチラ見るんじゃない!怒れる息子が暴れだしかねない!
「だ、誰か止めてください!」
「大丈夫ですよ、聖女様」
「死にはしません。ジュティエス様も死なない程度に加減なさいます」
「いつものことですから」
それでいいのか、ウルファネア。いや、よくない。しばきたい気持ちは分かるけども。
でも、親子ゲンカに口出しするのも良くないよね!私はもうジェスを止めるのは諦めました。
「ところで陛下はなんでステッキ持ってたんですか?」
「うむ。仕事に飽きたから、報告をうけたステッキをサボりがてら見に行ったのだ。そうしたらぴかぴかしているものがあってな。触ったらああなった」
子供か!警戒しろよ!しかし今ので分かった。王様に超直感はない。なんかジェスやら側近さんが絶望したみたいな顔してる。
「えっと、ジェス?美味しいものでも食べて元気出しなよ」
ジェスに塩おにぎりと肉じゃがを差し出した。素直に食べるジェス。
「うまい!米とはこんなにうまい食べ物だったのか!?」
「俺も食いたい!」
「あ、カーティスずるい!ロザリンド、俺も食べたい!」
少し早いけど、夕食会になりました。他にも豚汁…肉はオークだからオーク汁?やらおひたしなんかもあります。ちなみにクリスティアからの持ち込み食材です。喋るお野菜は捌きたくありません。皆でわいわいいただいています。
あ、王様しくしく泣いてる。なんというか、物理より兵糧攻めの方が効くのかも。
「ジュティエス、わしが悪かった…わしにもくれ…」
「2度と仕事をサボりません。変なものには触りませんと誓ってください」
「ち、誓う!」
「破ったら、2日間食事抜きですよ」
「………………わかった」
なんというか、親子逆転してないか?まぁいいけど。私はディルクを探します。さっきのお礼を言わなくてはいけません。
私の天使はハムスターのようにほっぺを膨らませてはむはむしてました。かわいい!お持ち帰りでお願いいたします!そんな悶えと妄想を欠片も外見上は出さずにディルクへ話しかけました。
「ディルク、さっきはありがとう」
ディルクは慌ててほっぺの中を空にするとニコニコ笑ってくれた。
「うん。ロザリンドが無事で良かったよ」
「あの、その…」
「うん?」
言いにくいので、ついしどろもどろになる私。ディルクは首をかしげたが、私が話すのを待ってくれた。
「わ、私ね?さっきディルクが助けてくれたとき、ディルクがカッコよくて…ううん、カッコよすぎてドキドキしたの。えっと、元から私はディルクが大好きだけど、もっと惚れ直した…の」
は、恥ずかしい!でもちゃんと伝えなきゃ。こないだの指輪の件で私がディルクを大好きなのが多少伝わったみたいだけど、多分ディルクが思うよりずっとずっと、私はディルクが好きだから。
「…あれ?」
ディルクが完全獣化してまるまじろ…じゃなかった、丸まってる。頑張ったのに酷くないか?ディルクはすぐ普段の姿に戻ると私を抱きしめてスリスリした。
「ロザリンドが可愛すぎて死ぬ。心臓がもたない。なんなの?俺を殺す気なの?可愛すぎる!普段から俺がご飯食べるの見て幸せそうに笑ってるとことか、撫でるとすり寄ってくるとことか、普段は積極的だけど俺がちょっと手を出すと恥ずかしがるとことか、本当に可愛くてたまんないけど、たまに素で素直に好きとか言われるとどうしていいかわかんないぐらい可愛い!死にそうなぐらい可愛い!威力が凶悪なんだけど!ロザリンドは俺を殺す気なの!?俺をどうしたいの!?」
「う、えと…ちゃんとディルクがすきって言わなきゃと…ありがとうと、カッコよすぎてその、ドキドキしたのが伝わってくれて…私がディルクをどれ程好きか、少しずつでいいから伝わるようにって…思ったの」
ディルクは私をお姫さま抱っこしました。なんでだ。
「すいません、今すぐ2人きりにさせて欲しいのです。部屋を貸してください」
「へ?ちょっと?」
「かしこまりました」
侍従さん、かしこまっちゃいました。えええ?ちょっと、皆して微笑ましいみたいな顔しないで!
またしてもベッドのある部屋に連れ込まれました。
「むぅ!?ん…はぁ…んん」
ディルクは私をベッドに下ろすといきなり深いキスをしてきた。戸惑ったのは最初だけ。大好きなディルクからのキスは嬉しい。
「はぁ…ごめんね。ロザリンドが好きすぎて、我慢できない。いっぱいキスさせて」
「嬉しい…ディルク、もっと…」
ディルクの手にすり寄って甘える。ディルクの手にキスをして、固まるディルクの頬に手を添える。私からキスをした。飽きもせず、何度も何度も抱きしめて互いにキスをした。
「ディルク、すき」
「ロザリンド、好きだよ」
お互い、うわごとのように繰り返し好きだといいながらキスをした。
数分後。
「「………………」」
いたたまれない。互いに恥ずか死ぬレベルなんだと思います!
「あの、さ」
「はい」
ディルクが照れながら話しかけてきた。
「俺、ちゃんとロザリンドを守れて嬉しくてうかれてた。そしたら、ロザリンドにカッコいいとか好きだといってもらえて…どうしても言葉だけじゃなくキスをしたくなった。謝らないよ。君は俺のだから」
「うん…嬉しかったから謝らないで。ウルファネアに来てからなかなか2人きりになれなかったし、私幸せだよ」
今日は素直に甘えちゃえ!ディルクにギュッと抱きつき、しばらくイチャイチャしてから戻りました。カーティス達に冷やかされましたが、気にならないぐらい幸せになれました。
最近ディルクは、はっきり私をディルクのだって言ってくれるようになりました。そんなふうに少しずつ形を変えながら、一緒にいつまでも歩いていけたらいいなと思いました。




