お城の騒動
大聖堂での魔法ステッキ騒動の後、私達はお茶を飲んでいました。和やかにガールズトークなんかをしていたら、何やら騒がしい。
真剣な表情で走り回る騎士さんや兵士さん。大海嘯の後は魔物が落ち着くから、他国の侵攻とか?いや、まさかね。
「封鎖しろ!」
「我が国の恥だ!決して外に出すな!」
とりあえず侵攻ではなさそう。賊かな?耳をピクピクさせて多分聞いてたラビーシャちゃんは、耳をふさいだ。
「ご主人様、関わったら不幸になります。知らないふりを…いえ、今からでも遅くありません!私が囮になります!逃げてください!ご主人様のためなら、このラビーシャ、覚悟はできております」
ラビーシャちゃんが珍しくガチで取り乱している。彼女は怯えながらも私を守ろうとしている。
いったい何が…
そう思い、考えているとバタバタと騎士さん達が駆けてきた。
「誰か俺の記憶を消してくれエェ!!」
「俺のパンチラが…」
「なんてえげつないことをしやがる!」
「漢の夢と希望と浪漫、パンチラを護れ!」
「あれはパンチラへの冒涜だ!」
「そうだ、俺たちの、皆のパンチラを護るんだ!」
「絶対に捕獲しろ!」
男達は熱く語り合い、走り去った。
本当にいったい何があったんだよ。とりあえず嫌な予感しかしないよ?
「…ぱんちらとはなんだ?」
驚きの白様が、爆弾を投下した。
「…………」
目をそらす私。
「…………」
決して目を合わせようとしないラビーシャちゃん。
「あー、えっと、だな…そうね…」
「ぶっは、言えねぇとかウケる!」
「お前が言えや、ゴルァ!!」
頑張って教えようとしたが照れが出たアデイルと茶化して照れと八つ当たりで殴られたヒュー。
「アルディンは知らなくていいんじゃないかな」
胡散臭いぐらい爽やかな笑顔のアルフィージ様。
パンチラって改めて説明を求められると恥ずかしいですよね。どうしたものか。ちなみにディルクはオロオロしてます。
「パンツがチラリと見える様ですわ」
なんてこった…勇者…勇者が居たよ!勇者ミルフィ様!!
「やべぇ、カッコいい…」
「変に意識するから恥ずかしいのですわ」
カーティスにしれっという勇者ミルフィ様。そして、パンチラの意味を教わり真っ赤になって丸まる驚きの白様。
「す、すまない…」
別にアルディン様は悪くないと思います。
「いえ、お気になさらず」
カッケェ!カッコいいよ!ミルフィ!いやミルフィ様!
そんなアホなことを考えていたので、私達は敵の接近に気がつかなかった。対応が遅れた。
「天知る地知る人が知る。誰かの叫びが私を呼ぶ!魔法少女☆金具志堅!ここに光臨!!」
よう○うさぁぁぁぁん!?(意味不明)
リボンまみれの可愛らしい洋服。へそだしミニスカニーハイブーツを着用し、アフロとなったウルファネア国王がいた。銀色の狼耳と尻尾は変わらない。
おい、尻尾は振るな。見える!見えてはならんもんが見える!
何があった。ご乱心というレベルを果てしなく越えている。そして解りたくないが、アレが恐らくパンチラという漢の夢と希望と浪漫を打ち砕いた元凶だろう。王様の格好に気をとられてて気がつかなかったが、王様の右手には見覚えあるステッキが握られていた。
原因はお前か!!
ストライキしてたんじゃなかったのかよ!?お前国宝じゃなく呪いのアイテムなんじゃない!?しかも私の時は比較的魔法少女っぽい名前だったけど、大司教のオッサンと国王は何故名前までネタに走るんだ。キングにかけてんのか。魔法少女要素が欠片もないな!
しかもアフロはなんで…具○堅だからか!?ムダにネタをぶっこむなよ!お前魔法少女のステッキじゃなくて、お笑いステッキに改名しろ!
「ふふふ、聖女よ…覚悟はよいか」
私にじわじわ近付くアフロ国王。怖いが、私が取るべき行動はひとつだけ!
「正気にかえれぇぇ!!」
私は渾身の力をこめてハリセンによる一撃をかましましたが、避けられました。
「!?」
ヤバイ!一撃もらう覚悟でしたが、痛みがこない。おそるおそる目を開けたら、私を庇うディルク。ディルクの指輪を発動させたのか、槍でステッキに応戦しています。さ、流石!私はディルクに腰をしっかりつかまれ抱きしめられていました。
今、そんな場合ではないのは理解している。だが、だが言わせてくれ。
惚れてまうやろぉぉぉ!!
私を見ずにまっすぐ変態を見据えて戦う横顔が凛々しい。いや、真剣勝負してる時のディルクは何年経とうとカッコいい!相手が残念過ぎる妖怪だろうとも、ディルクのカッコよさは全く損なわれません。
「ディルク、あ…ありがとう」
「怪我はないね?良かった」
いやぁぁぁ!カッコいい!カッコいいよ!!元からベタぼれでしたが、惚れ直しました!
そこへお城の騎士さん達がやってきました。
「居たぞ!捕縛しろ!」
この人数相手はヤバイと判断したのか、アフロ王様は後ろに跳躍した。
見えました。見えたらアカンもんが、バッチリ見えました。イチゴぱんつでした。
そんな事言ってる場合ではないのは理解している。だが、精神的ダメージが計り知れない!つうか、あのステッキぱんつまで変えるんだね!私は確認しなかったわ。まさか王様は最初からイチゴぱんつではないよね?変態じゃないよね?
「チョロチョロすんな!見えるだろうガァぁ!」
「俺たちのパンチラを冒涜するなぁぁ!」
よく見たら血涙を流す騎士さん達。そんなにか。アフロ王様は逃げ出した。入れ替わりにジェスが来ました。
「ロザリンド、無事か!?」
非常に聞きたくないが、確認せねばなるまい。
「何があったらああなるわけ?」
父上に報告したら父上が執務に飽きたと脱走したらしい。そして恐らく例のステッキをついでに確認しに行って、手にとってしまったんたろうな。
「標的は私なの?」
「ああ、聖女こそ我が主とか言ってたからな。お前に使われたいんだろう、多分」
「なんて迷惑な…」
「しかも父の身体能力が反映されているらしく、誰も捕まえられないんだ」
「本当に迷惑だな!王様含めて!!」
「しかし、どうする?狙いはロザリンドなんだろう?」
「確かに、私のハリセンすら回避する素早さは厄介ですね。追跡して捕獲するにも、地の利はあちらにあります。まず無理でしょう」
「なら、どうする?」
「素早いなら、動きを止めたらいいんです。幸い目的はハッキリとしてますから、囮になりますよ」
「分かった」
というわけで、私は中庭で肉じゃが作成しています。ついでに米を要求して炊いてますよ。ステッキに乗っ取られていても、食いしん坊な王様ならば釣られるはずです。
「ぐぅぅ……ダメだ、罠だ…ハラヘッタクイタイ…」
もうちょい…あと少し…というところで近寄らないアフロ王様。チッ、こいつもまさか超直感もちか?
「もーらい。ハフハフ、んまい」
「好きよね、カーティス。味見したいなら小皿に分けたげるから待ちなさい」
「はーい」
空腹の目の前でうまそうに食われて、我慢が限界になったんだろう。
「肉、ヨコセエェ!」
アフロ王様は私に襲いかかる。
「発動!」
あらかじめ地面に仕込んだ捕縛の魔法陣が作動した。
「むう!?」
そして、捕縛された隙をついてハリセンでしばく私。
「効かぬわぁぁ!!」
えええええ!?あ、そういや銀狼族は呪いが効きにくい…捕縛魔法も効きにくかったの!?
またしてもハリセンを回避された。だが、背後から一瞬でフォローに来たディルクの槍による一撃で、ついにアフロ王様が倒れた。イチゴぱんつがまる見えなんで近寄りたくありませんが、仕方ないので近寄り、ステッキを封印布にぐるぐる巻きにしました。王様も普段の服になりました。良かった。
結局、ジェスに頼みこまれて呪いのステッキは私の預りとなりました。厳重に封印を施し、鞄にしまって出さないぞ!と心に誓いました。
うん、なんていうか…すいませんでした!もっとやれっていうから…と言い訳してみたり。
ちなみに更新時間がずれたのは、作者が寝落ちしたからです。すいませんでした。




