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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・ウルファネア殴り…訪問編

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王様と兄とお薬

 そろそろ祝勝会もお終いムードになったところで、侍従さん達が慌てていた。何かなーと思ったら、フラフラしながらも歩く多分ウルファネアの国王陛下。

 ジェラルディンさんが38歳だから…若くて58ぐらい?老けてるなぁ。病気のせい?


「聖女殿はどなたかな?」


 よく通る声で、多分国王陛下は言った。


「…聖女などという器ではありませんが、私かと思います。ロザリンドとお呼びください」


「ロザリンド嬢。国王として我が国を救ってくれた感謝を。何か褒美を与えたい。望みはあるか」


 私に触れた手は冷たかった。微かに震えている。手首に特徴ある斑点があった。


「…陛下、では1つ。お願いがございます」


「ふむ、申してみよ」


「私の兄は薬草学を学んでおります。兄に診察をさせていただきたいのです。クリスティアとウルファネアが友好関係にあるのは陛下の存在が大きいと私は考えております。ウルファネアの医学がクリスティアに劣ると申し上げているわけではございません。ですが、兄は私よりも優秀で、薬草の知識に長けています。賭けてはいただけませんか」


「…ふむ。よかろう。どうせこのままでは長くはない。そなたらに賭けるもよかろう」


「陛下!?」


 側近と思われる銀狼の獣人が驚く。


「して、その兄君は」


「…こちらにおります」


「幼いな」


 兄を見つめてウルファネア国王は告げた。


「はい。ですが、兄はこの年齢で魔法院に席を置き、研究者として既に才覚を「ハードル上げないで。ルーベルト=ローゼンベルクと申します。陛下はお辛いご様子ですし、別室で診察させていただけますか?」」


 兄に遮られました。嘘は言ってませんよ。私だってたまには兄自慢したかったのに。


「よかろう」


 国王陛下は頷き、私と兄だけが別室に通された。






 私達は応接間に通された。国王陛下は入ると人払いしてくれた。兄が緊張しないようにとの配慮だ。


「兄様、陛下の手首に斑点がありました」


「…確かに。陛下、いくつか質問に答えてください」


「うむ?」


 あらかじめジェスに症状を聞いていたが、兄は更に細かく聞いていった。わざわざ質問表まで作成していたらしく、チェックして埋めていく。


「陛下の病気が分かりました。僕が薬を調合をいたします。王宮で1番信頼できる医師と調合したく存じますが、お願いできますか?」


「…うむ」


 国王陛下が机にあったベルを鳴らすとすぐに側近が現れ、気弱そうな犬獣人…柴犬?を連れてきた。


「宮廷医師のトサーケンです」


 柴犬っぽいのに土佐犬?またもとんでもないギャップだね。


「すいません、医務室で調合して参ります」


 私は兄にコソッと問いかけた。


「浄化しないの?」


「陛下はかなり弱っているから、いきなり浄化すると心臓に負荷がかかる危険がある。少しずつ治すほうが無難だね」


「なるほど」


 さすがは兄。実は兄に食料難だけでなく、国王の体調回復も出来ないか頼んでいた。母の虚弱改善には兄の薬草が一役買ってたしね。

 あらかじめジェスから症状を聞き、兄はかなり絞りこんでいたらしい。

 兄の手持ちでも調合は可能だが、兄はついでに調べたいことがあるらしく、医務室に行くことになった。





「うわぁ…」


 兄や、兄。目的見失うなよ? 楽しそうだね。


「兄様」


「あ、すいません。さて、では始めましょうか」


 兄の指示でトサーケンさんは的確に薬草を出す。いくつか出した所で、兄が顔をしかめた。


「これはダメです。カビています」


「え?ああ、これ悪くなりやすいんですよね~。発注し直さなきゃなぁ…」


「これも。萎れては薬効が薄くなる。これは乾燥が足りない」


 これ管理がザル過ぎやしないだろうか…兄の機嫌が悪い。


「あ、あはは…」


「僕は応急処置で診療所なんかを多数まわりましたが、大体が管理が悪かったです。まさか王宮までとは思いませんでしたが。国王にカビた薬草使うのはウルファネアぐらいだと思います」


 確かに。逆に薬のせいで食中毒が起きないのかなぁ…


「あ、あははははは」


「流石にこの保存状況の薬草は使いたくありません。僕の手持ちで調合します」


 兄はマンドラゴラ君を使用した特製魔法薬を調合した。兄のマンドラゴラ君は…ちょっと変わった子だ。詳しくは今度説明します。

 更に、兄は私に指令を出した。


「ロザリンド、陛下が食べられそうな栄養バランスのいい料理を作って。うちの母さんと同じで偏食が酷い。これじゃ治るものも治らないよ」


「…頑張ります」


 私は結局出汁のきいた雑炊を作りました。クリスティアにはタイ米的な米しか無かったのに、ウルファネアには普通の日本米的な米がありました!これはぜひともお土産にしたい!それはさておき、国王陛下は鼻をヒクヒクさせた。


「…美味そうだな…ひさかたぶりに食欲が戻ったようだ」


「そうですか。どうぞ」


「うむ…美味い!!」


 国王陛下は夢中で雑炊を平らげ…


「おかわり!」


 あの…3人前はあったんだけどね?私はディルクにあげる予定だったオーク肉の角煮も出しましたがぺろりと食べてしまいました。食欲スゴイ!!というか、陛下元気過ぎない?病弱設定どこ行った??


「ふう…身体も軽いのう!」


「に、兄様?こんなに早く効果あるの?」


「いや?多分陛下が普通より体力がすごくて回復も早いのかも…」


 兄もドン引きしている。骨皮筋えもん的な国王陛下が若返ったかのように見える。

 明らかに体調が良さそうだ。兄の薬も1回しか飲んでないのに…しかもこんなに効果があるものではなく、あくまでも負担をかけないよう緩やかに効果がでるように調合したらしい。なんでだ。







翌日、陛下は別人になっていた。


「おう、礼を言いに来たぞ!そなたの兄は素晴らしいな!」


 笑った表情がジェラルディンさんそっくり。さすがは親子だな。肌ツヤも毛並みもいいし、国王陛下はすっかり若々しいおじ様になっていた。


「兄様、薬ってこんなに早く効果出るの?」


「出るわけない。規格外なんだね」


 兄がドン引きしている。ま、まぁ治ったんだからいいんだよ!



 そして、中庭で槍を振り回してまだ病み上がりだと兄に叱られ、脂っこい焼肉を調子こいて食べすぎて私が作った体調回復特製メニューを食べられず私に叱られたり、勝手に酒飲んで私達に叱られたりとお茶目を披露しまくり。性格まで馬鹿息子そっくりだと分かりました。

 そして私達に謝罪する苦労症の3ジェスなんていうか、ジェスのこの国でのポジションが解った気がしました。だから責任者として来たんだね。大変だね。


 な、何はともあれとりあえず、健康第一ですよね!!


次回はこのお話の裏側となります。


シリアス先輩が出てくるかな?

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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
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