やきもちとマーキング
恒例のイチャイチャタイムになります。
肉祭終了後、お城では祝勝会がひらかれました。
功労者として私達やクラスメート達もお呼ばれしました。王子様達は指揮官として頑張りましたし、クラスメート達も凄かったそうです。
私が魔力操作を教えていたため能力をフル活用。怪我人の運搬・搬送を獣人が、応急手当や回復魔法を人間がと役割分担して働いていたそうで、城の治癒術師や医師は重症者のみの対応となり奇跡的に死者ゼロだったらしいです。
私も多少の犠牲が出る覚悟はしてましたが、すごいな!死者ゼロですよ!皆も頑張ったんだね!と笑ったら、全員からロザリンド様・ちゃん・姐御に言われたくないと総ツッコミをいただきました。解せぬ。
肉祭で皆満腹なんで、祝勝会は酒とつまみ、紅茶とスイーツです。ジュースやコーヒーもあるな。立食形式なのでふらふら見て回っていました。
あ、この焼き菓子はジャッシュがよく作る奴…ジャッシュのが美味しいわ。そんなこと考えていたら、ムキムキマッチョに囲まれました。圧迫感すげえ。
「聖女様、こちらはいかがですか?」
「いやいや、聖女様、こちらをどうぞ」
「聖女様、これはとても美味ですよ」
「聖女ではありません」
とりあえず、聖女は否定させてくれ。そして、私は何故マッチョに囲まれたんだ。他の子はそんなことないのに。
「…自分で食べたいモノを取るので給仕は結構ですわ」
私は不機嫌を装った。あれだけ凄さを見せつけちゃったからウルファネアに合法的に囲っちゃえみたいな感じ?ウルファネア的イケメンなのかな、このマッチョ共。
「ではなんとお呼びしましょうか」
「小娘で」
「「「………」」」」
沈黙が流れた。伝わったかな。私、君達と仲良くするつもりは無い!という思いが。
毛並みがいいから少しモフ欲は刺激されたけど、私の好みはディルクみたいな細マッチョなの。ゴリマッチョは胸やけなの。しかもゴリマッチョに兎耳と、猫耳と、鼠(多分)耳って結構視覚に暴力だと思うの。
ディルク!私の天使、ディルクはどこ…………
私の周囲の温度が極端に下がった。
「「「ひいぃっ!?」」」
体感ではなく魔力の暴走で実際に低下しているため、足元が凍りついた。マッチョ共は怯えている。
私はゆっくりとディルクに向かって歩いていく。
ディルクはけしからんお胸のセクシーなお姉様方に囲まれていました。
「離れて」
「あぁら、こんなちんちくりんより、私達の方がいいですよねぇ」
セクシーお姉様の1人がディルクに擦り寄る。ディルクは明らかに顔をしかめた。さっきのマッチョ共より根性あるな。引き攣ってるけど私の殺気を受けて逃げないなんて。
「すいません、俺はロザリンドがいいです。他に興味はありません」
ディルクはそう言って少し乱暴にお姉様の手を振りほどくと私を抱っこした。
「ディルク、私不愉快なんだけど。他の女の匂いがする手で触らないで」
私は不機嫌をアピールした。実はそんなに不機嫌でもない。セクシーお姉様にベタベタされてもディルクは嫌そうだったし、ハッキリと私を選んだからだ。
しかしディルクは真に受けたらしく、お耳も尻尾もションボリとしている。
「ご、ごめんなさい…どうしたらいい?お風呂入って来たらいい?嫌わないで、ロザリンド…」
「……」
私は顔を隠してフイッと背けた。私は怒ってない。悶えている。いや、可愛い!ダーリン天使過ぎる!!私は確実に赤面しているので見えないようにしただけだ。
「ロザリンド…そんなに怒ってるの?」
「ディルクだって私が他の男とベタベタしてたら?」
「……や、やだ。ごめんなさい、ロザリンド、ゆるして…なんでもする」
「じゃあ、キスして。今すぐ。深いやつ」
「うん」
え?ちょ…そこは人前じゃあ無理とか言うとこ…ちょ…
「んむ…!?はっ…ちょ…ん…………はぁ………まっ………」
長い!そして上手い!ちょっと!唇舐めないでぇぇ!!
「んん…」
いや、激しかった。ぐったりですよ。ディルクはキス超上手いですよね。抵抗できませんでした。
「ロザリンド、まだ怒ってる?」
怒ってないよ。ディルクのキスのせいでヘロヘロなのと、周りが赤面してていたたまれないだけだよ!私は全力で顔面筋肉を駆使し、余裕の笑みを浮かべた。
「ディルク、お仕置きだね?」
「ん…わかった」
ディルクのオデコにチュッとキスをして、首まで真っ赤なジェスに笑いかけた。
「別室を貸してくださる?」
「あ…ああ。あ、あまり破廉恥なことはするなよ?」
「…ディルクによります」
今のキスも想定外だったんだよ。まだ自分からのがマシだったよ。びっくりしたよ。
赤面した侍従さんに案内され、別室へ。ベッドがあるお部屋ですね。何を想定したのか問い詰めたい。
「こちらでよろしいですか?」
「ええ。用事が済んだらどうしたら?」
「こちらのベルを鳴らしてください。特殊な魔法がかかっておりまして、案内の者が参ります」
「わかりました」
さて、室内に防音結界を起動。
「ディルク、マーキングして。全身に」
「………は?」
「マーキング」
「…いや、それ…お仕置きじゃなくてご褒美だと思う」
「じゃあ頑張ったご褒美だよ。私にもディルクにも悪い虫がつかないように念入りに虫よけしよ?」
「じ、時間ないから…その…嫌なら言って」
「へ?ひぁ!?」
私はベッドに押し倒されて舐められました!そ、そっち!?しかし短時間で濃厚につけるならこの方法が…と言われたら…
「が、頑張る…」
涙目でディルクを見上げると、ディルクがぴるぴるしていた。
「可愛い…頑張ってロザリンド。俺も頑張るから」
私は耐えました。くすぐったさと羞恥に耐えました。
「ああ…可愛い…ん…ふぅ…」
「ひゃん!?」
ディルクが微妙に肉食っぽくなってたのが気になりましたが耐えました。色気もすごいですが耐えました。
「終わったよ」
「あんっ」
耳を甘噛みされて思わず変な声が出た。ディルクがうっとりとしている。しかし、ここから私のターンだ。
「じゃ、次私ね」
「…………え?」
「がっつりマーキングしてあげる」
「お、お手柔らかに…」
「お仕置きも兼ねてるからだぁめ。ディルク覚悟してね」
「うう…にゃあ!?し、尻尾は…」
「今日は当然アリだよね」
「あ、あうう…ロザリンド…怒ってないの?」
「怒ってませんよ。迷わずセクシーお姉様じゃなく私を選んだからね。まぁ、私のディルクにベタベタしやがったのは腹が立ったけど」
「…えへへ」
私の胸元にスリスリするディルク。どうしたのかな?とても幸せそうです。
「どうしたの?」
「ロザリンドが妬いてくれたのが嬉しくて…いつも俺ばっかり嫉妬してるから」
「…そう」
頭をナデナデした。さりげなく耳をもふる。
「ディルクは自分ばっかり私を好きみたいとか言うけど、そうでもないよ。やきもちぐらい妬くよ。だからディルクは一生私だけにモテたらいいと思う」
「それいいね。ロザリンドも俺だけにモテたらいいと思う。俺もロザリンドだけにモテたいな」
嬉しそうに笑う、あどけないディルクに私のモフ欲と愛が爆発しました。
「にゃ…んぅ!?ふ…ん…そこにゃめ…にゃぁ…や…」
尻尾を触りまくりつつ、キスしまくる。たまに舐める。私に身体を弄られて、ディルクがとても色っぽい。
「こんなもんかな?」
ディルクはぐったりしています。やり過ぎたかなー。でもディルクよりはその…色々やってないと思うの。
そして会場に戻りました。即座に首まで真っ赤になったジェスに怒鳴られました。
「な、何をしたらそんな濃厚に互いの匂いがつくんだ!破廉恥な事はするなと言っただろう!」
「悪い虫よけです。ディルクは私のもの、私はディルクのものです!ここまでマーキングすれば獣人は普通、近寄りません!」
「ああ…なるほど。しかしロザリンドは人間だろう?それは完全に獣人の考え方だな」
「ディルクとの付き合いは長いですからね。私の短い人生の半分以上を一緒に居ます」
「そうか。まぁ、仲睦まじいのはいいことだな」
「はい」
さりげなくディルクに擦り寄る。ディルクがとろけるような笑顔を向けてくれる。
さっきのお姉様方が悔しそうにしていたので、ニヤリと笑ってやった。今時ハンカチくわえてキーッて言う人いるんだね。初めて見た。
ついでにマッチョ共は私がディルクにチクったら、ディルクに威圧でしめられました。
マッチョ共は少しかわいそうな気がしなくもないけど、みせしめとしてはよかったかな。
私がディルクにべったりだったのもあり、以降変なのに絡まれることはありませんでした。




