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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・ウルファネア殴り…訪問編

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酷すぎる伝言ゲーム

 クリスティアでお留守番中のジャッシュ視点になります。

 ローゼンベルク邸はいつになく緊迫した空気が漂っていた。


 大海嘯。


 押し寄せる無慈悲な魔物の大群。巻き込まれたお嬢様とルー坊ちゃま、ラビーシャさんやハクさんの安否が気がかりだ。

 特にお嬢様。無茶して怪我などしてないだろうか。まさかまさか、大海嘯で討伐参加したりしてませんよね!?司令官ポジションですよね!?やらかしていそうで怖い!!


 お嬢様の行動に不安しかない中、僕は自分に出来る事を考えてクリスタルドラゴンのルランさんに通信魔具で連絡した。

 ルランさんはロザリンドに借りがあるから、と快諾。これで少しでもお嬢様の助けになればいい。対価は手作りの焼き菓子でいいとのこと。最近たまに持っていくと喜ばれる僕の焼き菓子。あんな拙いモノでいいのだろうかと思いつつ、たくさん作って持っていく約束をしました。


 僕が出来る事は少ない。お嬢様の言いつけ通りに元奴隷2人の世話をして、騎士団に戻る。何も考えないようにしながらひたすら仕事をした。あっという間に夕飯になった。おいしいはずの食事も、お嬢様達が心配で味がしない。


「戻ったぞ!」


 父上が戻ってきた!


「お嬢様達は!?」

「ロザリンド達は無事か?」

「お嬢様達はご無事ですか!?」

「お姉ちゃん達は!?」

「お姉ちゃん大丈夫!?」

「お姉ちゃん怪我してない!?」


「あらあら~」


 奥様以外が一斉に父上に駆け寄った。さすがの父上も驚いた様子だが、状況を伝えようとした。


「うむ。主がロッザリンドォォでごばーんとしてな。びかっとなってな、今は聖女で肉祭だ」




……………わかるかぁぁぁぁぁ!!!!

 我が父ながらシバきたい!この脳みそ筋肉と罵ってしまいそうだ!しかしお嬢様の情報を引き出さなければ…僕はなんとか笑顔を貼付け父に聞いた。


「父上、主語と述語を使って簡潔明瞭に…」

「ふむ、ロザリンド達は無事か。ならいい」



 通じたぁぁぁ!?

 旦那様凄すぎる!!


「…ま、確かにそこが大事だわな。肉祭がなんだかはわかんねーけど、お嬢様はこの短時間で大海嘯をなんとかしちまった…てことで合ってます?」


「うむ。肉祭は肉の祭りだ。うまかった」


 アークさん、素晴らし過ぎる翻訳能力です!尊敬の眼差しをする僕に、アークさんは疲れたご様子で言いました。


「天然の扱いには慣れてるからなぁ…肉祭は、まさか大海嘯で倒した魔物で焼肉とか?」


 え…でも…まさか…そういえばウルファネアは僕のせいで食料難だ。大量の魔物=倒せば大量の肉。大海嘯から肉祭。そんな発想をする人。ウルファネアの食料難を解決したいと考えていた人。


「お嬢様はなにをやってるんですかぁぁ!!」


 何故だろうか。確実にお嬢様の仕業な気がして本人も居ないのに叫んでしまいました。


「お姉ちゃんらしいね」


 待って、我が弟よ。それでいいの?いや、確かに肉祭の発想はお嬢様らしいっちゃらしいけどさ。


「うむ。主のばる…ロッザリンドォォは凄かったぞ。びかびか、ずどーんで、大半は主が倒したからな!」


「ロッザリンドォォってなんすか」


 とりあえず確認するアークさん。確かに、全く解らない。


「うむ…でかい奴だ。鎧で…弓がびかびか、ずどーんだった!」


 これ、解ったら凄すぎるな。


「…何故わからんのだ。ロザリンドが魔法で巨人を出して、弓で大海嘯を攻撃し大半を倒したという話だろう」


「うむ」


 父上は満足げに頷いた。


 旦那様凄すぎる!!もはや勘で答えるしかないレベルですよ!?

 父上がかなりの天然なのは知ってたけど、ここまで説明が下手くそだとは知りませんでした。僕は聞きたい1つだけを父に聞きました。


「…お嬢様は、怪我もなくご無事なんですね」


「うむ。今は聖女になって焼きとりを焼きまくっているぞ」


「……………本っっ当にお嬢様は何をやってるんですかぁぁぁぁぁ!!?」


 僕は多分、人生でここまで叫んだ事は無いと思います。大海嘯からウルファネアを救って、聖女と呼ばれたまではなんとなく分かる。今は焼きとり焼いてるって、本当にわけがわからない。


「ジャッシュちゃん。落ち着いて」


 奥様に肩をポンポンされました。


「…そういえば、奥様はお嬢様が心配ではなかったんですか?」


「私?だって、ロザリンドが危険と判断したら真っ先にルーや王子様達を避難させるはずよ?それが無かったから、ロザリンドが大丈夫と判断したんだと思ったの。ロザリンドは特にルーや王子様達に危険が及ばないようにするはず。大海嘯をなんとか出来るとロザリンドは判断したのよ。だから私も大丈夫だと思ったの」


「奥様…」


 奥様の聡明さに、やはり奥様はお嬢様の母上なのだなと思う。笑顔もどこかお嬢様に似ていた。奥様に癒されていると、父上が思い出したと手を叩いた。


「ああ、そういえば主から手紙を預かっていたぞ」


「先に出せぇぇぇぇ!!!」


 僕の全力のラリアットが父に炸裂した。結局、父の説明能力に不安を感じていたお嬢様はちゃんと手紙を持たせていたのだ。ちゃんと大海嘯はなんとかしたこと、皆無事であることが書いてあった。


「とりあえず、父上は勉強しましょうか」


「勉強?」


「はい。あの説明はなんですか!旦那様とアークさん以外に全く通じませんよ!最低限他人に通じるレベルになるまで勉強していただきます!」


 父上の耳と尻尾がしんなりしたが、父上の首根っこを捕まえて、僕は父上に指導したのだった。


 結果ですか?頑張ったんですけどね…アークさんにあれだけ完成した天然の修正は無理だって言われました。実際無理でした。


 とりあえずお嬢様は無事みたいですし、お嬢様が戻られたら色々聞こうと思います。

 お嬢様が戻られたら、お茶は何がいいかな?お嬢様が無事と聞いて現金な僕の心は晴れやかだ。

 お嬢様、早く帰ってこないかなぁと思いました。 

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