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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・ウルファネア殴り…訪問編
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聖女と肉祭

 城門のアマゾネスが去り、大量の加工肉と生肉とお野菜さんと共に凱旋です。


「聖女様~!」


「聖女様万歳!」


「聖女様こっち向いて~!」


 おかしいな!肉と英雄どこ行った!?


「ロッザリンドォォ!!」


 テンションが上がったのか知らないが叫ぶヴァルキリー。


「やめて、私の名前を叫ぶなぁぁ!だから聖女なんかじゃないったらぁぁぁぁ!!」


 たまらずつっこむ私。しかし、渾身の叫びは残念な結果に終わった。


「なんと謙虚な…」


「神々しく輝いておいでだ」


 物理的にね!浄化でも消えないキラキラとか何の嫌がらせですかい、ユグドラシルさん!


 しかし、確かにヴァルキリーに乗っててよかったかも。かなりもみくちゃにされてるね、ハクが。ディルクは私の隣に居ます。


「ハクもおいで」


「うん」


 ちなみにカーティスは気配消してる。ジェラルディンさんは威厳オーラで寄せつけない。


 さて、お城に到着。ミルフィが私に駆け寄ってきた。私はヴァルキリーから飛び降りミルフィに声をかけようとしたら、ギュッと抱きつかれた。


「心配…しましたのよ!怪我はありませんの?痛い所は?なんでキラキラしてますの?」


「ミルフィ、落ち着いて。怪我はしてないよ。キラキラはユグドラシルさんのいたずらです…多分」


「まぁ…怪我がなくてよかったですわ!」


 すすり泣くミルフィ。心配かけてごめんね。優しく頭を撫でる私。


「なんか、小説のヒーローとヒロインみたいだな」


「「……」」


「ミルフィ、寂しい思いをさせてごめん。もう離さないからね!」


 いきなりイイ声(美少年風)で喋った私に瞳を瞬いたミルフィだが、すぐに私の意図を理解し乗ってきた。


「ええ!もう離れてはいやですわよ!」


 ひし!と抱き合う私達に、周囲は硬直している。流れる沈黙。ディルク涙目。ジルバはなんで白目なんだよ。カーティスは静かだと思ったら痙攣してるし。


「ふは、あはは!」


「ふふふ、面白いですわ!」


 そして、周囲の反応がおかしくて爆笑する私達。そして、笑いは周囲に伝染した。





「心からの感謝を」


 ジェスが私に笑顔で話しかけた。


「感謝はいいので許可ください」


「…許可?」


「肉祭」


「…本気か」


「私はやるやる詐欺はしません。本気です。私はやると言ったならやります」


「……わかった。許可しよう」


「おっしゃあ!騎士の皆様、責任者の許可は貰いました!中庭で肉祭ですよ!カマドを作れ!鉄板用意!シェフの手配だ!肉を焼けぇぇ!」


「はい!ただちに!」


「ついでに町からも料理人連れてきて!町の人にも肉を配るよ!」


「承知!!」


「皆様、今宵は肉祭!肉汁したたらせますよ!肉食い放題だぁぁ!!」


「肉ぅぅぅ!」


「肉が俺達を待っている!」


「生きててよかった!肉が食える!!」


「肉が食える肉が食える肉が食えるぞ!!」

「食える食える食えるぞ!肉が食えるぞぉぉぉ~!!」


「肉肉肉肉肉肉肉肉肉!!」


「にーくにく!にーくにく!」


 マジでウルファネアの騎士さん達は飢えていた。クリスティア騎士&冒険者は完全にドン引きしている…いや、私とかジェスもドン引きなう。たんとお食べ。

 そしてついでに聖女は忘れなさい。むしろ忘れてください。お願いします。







 そして、あっという間に準備は進んだ。鉄板焼きに、蒸し焼き、カマド焼き…

様々な肉料理が並んでいる。私達がつくった野菜もあるね。町から来た料理人さんも、城のシェフさんも頑張って調理してます。客が多いから、時間がかかる煮込みではなく焼き物メインですね。この騒ぎに便乗して、商魂たくましい露店商も参入し本当にお祭りになってます。


 聖女のお守りとか売って…オイコラ!やめさせました。ちなみにご利益は肉がお腹いっぱい食える…食料難はここにも影響してました。

 聖女まんじゅう…関係ないわ!しかも食料難だったからか無駄に高い!むぅ…肉まんだった!うまし!あ、肉祭つながりか…納得。

 聖女の木彫り…い、いつの間に!?しかもわりと似てるのが怖い!!

 あ、ヴァルキリーのフィギュア的人形!…買っちゃいました。

 ああもう、キリがないぃぃ!!


 そんな私は今、焼きとり…多分とり?をひたすら焼いている。何故だ。焼いても焼いても焼いても終わらない。そして何故長蛇の列ができた。終わらない焼きとり。これなんて嫌がらせ?


 どうしてこうなったかというと数時間前…私も肉を食べていたのですが、塩味に飽きた。

 ウルファネアはそのおおざっぱ過ぎる国民性と嗅覚の良さからスパイスは好まずアッサリ塩味である。焼肉も蒸し焼きもなんでも塩。飽きるよ!塩分過多だよ!高血圧だよ!


「…ロザリンドのごはんが食べたい」


 なんということだ!愛しいマイダーリンの尻尾がへにゃりとしてしまいました。塩味に飽きたんだね!私はディルクにおいしいご飯を食べさせる為だけに日夜料理修業をしているのです!ここで使わずいつ使う!そして私も塩味はしばらくいいや。ついでに自分のも作ろう。


「ディルク、私がおいしいご飯を作るよ!」


 そして、ディルクにご飯を作ったら、物欲しげなウルファネア騎士さん&町や城の皆様。

 私は負けました。だってだって、食べたそうにお耳を伏せた子供とか…


「たんとお食べ!」


 そう言って自分の分まであげてしまいましたよ!あれを無視できるのは鬼畜か冷血の称号を持つ輩だけです!


 そして、自分達も食べたいと他の人達に言われ…現在エンドレス焼きとり…多分とり?なう。


「う、うめぇぇ!」


「聖女様、すげぇうめぇっす!」


「甘辛いタレがたまんねぇ!!」


「聖女様、最高!!」


 私は串を手裏剣がわりに投げつけました。


「聖女じゃない。黙って食え」


「「は、はいぃ!」」


 余談ですが、あまりにも肉や塩味以外の食事に飢えていたウルファネアの騎士にクリスティアの騎士や冒険者達が焼きとりや保存食を譲ってあげたりしたらしく、クリスティアの人はいい人!というイメージが定着しちゃったらしいです。


 まぁ、そんなこともありましたが、肉祭りは夜更けまで続きました。

 うう…乙女なのに焼きとりの臭いがなかなか取れなかったです(泣)

 というわけで、肉祭でした。ウルファネアの騎士さんも町の方々も、お腹いっぱいお肉と野菜を食べました。よかったね。

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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
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