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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・ウルファネア殴り…訪問編
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女性とはたくましいもの

 さて、帰還しようという話になりました。魔物は無事殲滅しましたし、獲物を持ち帰ればミッション終了です。


「さて、ヴァルキリーを指輪に戻すかな…」


「それはやめたほうがいいかも」


「え?」


「うむ。主は聖女だ。もみくちゃにされるやもしれん。ウルファネアの民は荒っぽいからな。その…ばる…に乗ったままがいいと思うぞ」


「聖女じゃないわ!目立ちたくないんだけどなぁ…」


「あのぉ…ロザリンドちゃん、多分絶対後悔するからぁ、乗っててぇ」


「うう…」


「ロッザリンドォォ!」


「やかましい!」


 どことなく嬉しそうなヴァルキリーにツッコミを入れた。


「ロ…ザリンドォ…」


 明らかにシュンとした。うっ、皆が責める眼差し…いや、カーティスは爆笑してるな。


「…ロザリンド以外言えないの?」


「イエ、シャベレマス」


「最初から言え!というか何故私の名前なのよ!!」


「スイマセン、カンジョウガタカブルトハンシャデ…」


 新発見。ヴァルキリーはしゃべれました。反射でロッザリンドォォ…言いにくいと思います。






 さて、肉を多量に持ちながら凱旋しました。門に人だかり…なんか様子が変だ!私はとっさに肉を下ろし、ハクとディルクをヴァルキリーの肩に避難させた。


「肉ぅぅぅ!」


「肉よこせぇぇ!!」


「肉肉肉肉肉!!」


「のわぁぁぁぁ!?」


 憐れな騎士がやられた。犯人は…犯人は……



 OBATYAAAN☆

 獣人のおばちゃん達である。




 恐らくは我が子に肉を食わす為、おばちゃんが暴徒と化したのだ。疲労していたウルファネアの騎士は肉を奪われていく。うおお、強いなおばちゃん達!


「ロザリンド!止めないの!?」


「私は女性に危害を加えたくないし、怖い。あの気迫に勝てる気がしないです」


「……ロザリンドちゃん、いい知恵なぁいぃ?」


「んー?よし。思いついた。ハルー、拡声よろしく」


「おーよ!」


「皆様、お集まりいただきありがとうございます。我々はこれから大量の肉を運びます。腐らせてはもったいないので加工してくださるおばさまを雇いたいと思います。加工肉の2割は差し上げます。それを報酬といたします。いかがでしょうか」


 おばさま達はこぞって肉を加工し始めた。盗人になりたいわけじゃないもんね。え?ここでスモークしないでよ。ワイルドだなぁ…


「あの量だし、ちょうどよかったね。サクサク運ぼう。全部はさばけないだろうから、残りは王都や近隣の村に配って肉祭だよ!」


「おおおおお!」


「聖女様万歳!」


「肉祭万歳!」


「肉!肉!肉!」


 騒ぐウルファネア騎士達。ついていけないクリスティア騎士と冒険者達。

 ウルファネア騎士達よ。英雄忘れてる。むしろ聖女も忘れてくださいよ、頼むからさぁ!肉だけでいいよ!肉を崇めなよ!


 ひたすら肉を運搬しました。うちの魔獣、精霊、付き合いのいいクリスタルドラゴンにヴァルキリー…なんというか、改めて見るとすごいな。ありえない光景だよね…


 しかし、栄養を考えたら野菜も欲しい。私は通信魔具を取り出し、連絡した


「こちらロザリンド。困った事になりました」


「こちらアルフィージ…城門で何してるの?」


「おばちゃん達が腹ぺこの子供達を満たす為に母という名のアマゾネスと化しまして、ウルファネアの騎士が襲われました」


「ウルファネアはどうなってるんだい!?」


「私もそう思います」


「す、すまない…食料難が続いたせいだろう…」


 本当に申し訳なさそうなジェス。


「このままではおばちゃん達が暴徒化する(いやしてた)ので、機転をきかせておばちゃん達に肉を加工していただき、対価として肉を分けるということになっています。肉は加工して保存され、民にも肉が支給される。いいことずくめですよ!」


「……ロザリンドの頭はどうなっているんだい?それ公爵令嬢が出来る発想じゃないと思うよ?」


「えー?そうですか?それでですね、せっかくなら野菜も欲しいんです。兄様居ません?兄様と野菜の大量生産しようかと」


「何するの?」


 兄は近くに居たらしく、通話をかわったようです。


「私が嫌いな野菜を大量に作ります。ハクいわく、この土地は向いてるらしいです」


「なるほど」


「迎えにコウを行かせます。ユグドラシルで待ってますから」



「了解」






 さて、ユグドラシルさんのとこに来ました。ここが1番マナが濃いから、魔法を使うにも適しています。


「じゃ、やりますか」


「いくよ、ヴァルキリー」


「ロッザリンドォォ!!」


 だからやめれ。テンション下がる。しかし魔力は増幅され、兄がまいた種から次々に野菜が出来ていく。さらに野菜を種にして次々と増やしていく。


「このぐらいでいいかなー」


 見渡す限りのお野菜。やり過ぎ?ま、まぁいいか!


「ワタシタベゴロ」


「オイシイヨ」


 野菜は口々に食べてと言う。兄特製の動いてしゃべるお野菜シリーズである。

 自力で動くから運搬不要。自分で世話して育つから、ずぼらでも大丈夫!しかも収穫時も自分から教えてくれるスグレモノです。


 ただ、食べてと言われても食べられない私。実験でプチトマトさんを育てて食べました。でも、あんなに手塩にかけて育てたプチトマトさんを、私は食べ…おいしかったけど悲しかった!!もう絶対食べないと心に誓ったよ!


 ちなみにローゼンベルク邸で調理すると、たまにこのお野菜達が紛れててビビります。ダンがこっそり調理して仕込んでるんじゃ…とは怖くて聞けません。

 兄や父、獣人が気にしないのが信じられない…!


 そんな風に私に忌み嫌われるお野菜さん達ですが、城門に来たら大人気。おばちゃん達は加工した肉とお野菜さんを持って去りました。今夜はご馳走ですね。

 さて、今度こそようやく帰還ですよ!


「皆さん、今日は肉祭です!肉汁したたらせますよ!!」


「にーく!にーく!」


「肉ぅぅぅ!」


「お肉肉肉、お肉肉!合わせて肉肉、お肉肉!!」


「…ウルファネアは大丈夫なのか?」


「さあ…」

 相変わらずテンション高いウルファネア騎士(肉フィーバー中)と、ついていけないクリスティア騎士&冒険者の温度差が印象的でした。



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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
― 新着の感想 ―
[一言] 最後のお肉の歌某バレーのアニメで聞いたことがあるなぁ…
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