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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・日常と騒動編

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親友とお願い。

 今日はなんとなんと!ミルフィと初めてのデートです!

 私、友達居なかったから親友とお出かけなんて初めてです!か、悲しくなんかないんだから!ラビーシャちゃんは私の専属メイドだから、お仕事と兼任なんでノーカウントです。


 お友達と楽しくショッピングしたり…と私はウキウキしていました。しかし、現実は甘くないものです。


「お嬢様はこのような安物はご覧になりません」


 女の子向けの雑貨屋に入ろうとしたら、ミルフィの護衛に言われました。名前はジルバ。なかなか美形なお兄さんです。性格は悪そうだけど。アイスブルーの髪と瞳は見るからに冷たそう。


「あのね、よろしくて?貴方は護衛。私は公爵令嬢。余計なことをおっしゃるなら、帰らせるわよ?」


 しかもミルフィが見たがっていたから目的地は別だが入ろうとしたのに。ミルフィはオロオロしている。


「私はミルフィリア様の護衛です。貴女に私を下がらせる権限はありません」


「そうね。でも貴方は護衛ですわ。貴方の態度や行いがミルフィリア様への評価に繋がりますの。私は彼女と同じ公爵令嬢。高位貴族ですわ。喧嘩を売る相手はきちんと選びなさい。次はなくてよ」


 小娘に説教されてイラッとした様子のジルバ。つーか、当たり前だろう。


「非礼をお詫び申し上げますわ…」


 ミルフィが謝罪してきた。コソッとミルフィに話しかける。


「アレ、大丈夫なの?」


「…あまり大丈夫ではないのです。悪気がありませんし、なかなか通じなくて…護衛として腕は確かなのですが…」


「ふむ。とりあえず、雑貨屋さんは行こう」


「ええ、わかりましたわ」


 ミルフィと雑貨屋さんを堪能していると、あれこれ言ってくるジルバ。


「あ、これ可愛いですわ」


「お揃いで買わない?」


「お嬢様にはこのような安物は不似合いです。自分だけになさったらいかがですか」


「「…………」」


 ミルフィが涙目です。空気読めよ。なんで護衛が会話に参加するんだよ。うちの護衛を見習いなさいよ!空気になり過ぎてて気配読みにくいよ!


「ミルフィ、私は警告したよね。シメていいよね」


「お手柔らかにお願いします」


 私は店の迷惑になると困るので、ミルフィと店を出た。追いかけて店を出てきたジルバ。そのジルバを一瞬で縛り上げたジャッシュ。

 あ、あれ?ジャッシュさん…激おこ?気のせいか?いや、違う。すごい殺気だ!


「オルド、ちょっと遊んであげなさい!」


「おう」


「は?ぎゃあああああ!!」


 ジャッシュがジルバをぶん投げた。それを本日のもう1人の護衛・オルドがキャッチ。縛られた状態だし、あれは怖い!


「オルドー、殺さない程度に遊んであげてね!殺したらダメだからね!」


 オルドが私に手を振った。任せとけってことだね。うん。任せた!


「お嬢様に無礼を働いた不心得者は私が調きょ…再教育しておきます。お嬢様達はこころゆくまでショッピングをお楽しみください。護衛は念のためラビーシャをつけます。しばしこちらでお待ちくださいませ」


「「は、はい…」」


 ジャッシュ、へたれはどこ行った?さすがは銀狼ですね!普段ジェラルディンさん叱る姿しか見てなかったけど、上下関係厳しいので有名なのは伊達じゃない!


「…来たようです。私はオルドが殺…やり過ぎないか確認してまいります。ミルフィリア様もお困りのご様子ですし、公爵令嬢の護衛としての心得を少しばかり彼に教育してもよろしいでしょうか」


「…は、はい。お手柔らかに…」


「ジャッシュ、目が怖い。殺気でミルフィが怯えてる」


「…すいません。お嬢様に対するふるまいが許せず…」


「気に入らないなら私は自分で手を下すから、教育はほどほどにして」


「かしこまりました」


 ジャッシュは音もなく消えた。うちの使用人になるには忍者にジョブチェンジする必要があるんだろうか。いや、ダンとトムじいさんは普通だ。あとゲータも。


「…ショッピング、楽しみますか」


「…そうですわね」


「ラビーシャちゃんもおいで」


「え、私?」


「そうですわね。貴女は色々と詳しいでしょうし」


 女子3人でめっちゃショッピングを楽しみました。


「あ、これ可愛い」


「お揃いにいたしますか」


「お任せください、値切ります!」


「じゃあ3人でお揃いにしようか」


 3人でお揃いの髪留めを買いました。ラビーシャちゃんの値切りスキルによりお値段は2人分。私が支払いしました。財布をもってた護衛がさらわれたからです。ごめんなさい。

 私がやりたかったのはこれなんですよ!楽しい!






 そして、目的地に到着。ラビーシャちゃんは仕事があるそうで屋敷に戻りました。


「可愛らしいお店ですわね」


「あ、ミルフィ。このお店の店主さん、変わってるけどいい人だから気にしないで」


「え…はい」


「いやぁん、お嬢様!お待ちしてたわぁ!!」


 扉を開けたら、厚い胸板に熱烈なる歓迎をうけました。鼻ぶつけた。痛い。


「あたた…ミス・バタフライ。今日はよろしくお願いします」


「いやぁん、そちらがお嬢様がお話してたお友だ「ちぇすとぅ!?」」


 素晴らしいハイキックを披露したフーク君は、何事も無かったかのように応対した。いや、確かにミルフィ怯えてたけど、もう少し店主を労ろうよ。


「こんにちは、フーク君。ミス・バタフライ、大丈夫?」


「いらっしゃいませ。本当に友達連れてきたんだな。ドン引きしてるけど。ジジイは頑丈だから大丈夫。着替える?先に厨房?」


「ミルフィが何を着てみたいかによるから、着替えを先に。汚したらまずい系統なら、調理が先」


「了解。こちらへどうぞ、お嬢様」


 私はミルフィの手を取り迷いなく進む。


「まぁ…!」


「ここから着たい服を選ぶんだよ。本来なら調理はメイド服なんかのオプションなんだけど、無理言ってドレス系統もOKしてもらったよ。何がいい?」


「お互いにお互いが選んではいかが?」


「賛成!」


 私がミルフィに選んだのは、レースとフリルと苺の飾りが縫い付けられた白・赤・ピンクのロリータ風ミニスカワンピ。

 ミルフィが私に選んだのは、清楚なアオザイ風ドレス。白を基調に桔梗の青い花が刺繍され、スカートはふんわりとして…前にディルクが選んだが着なかった奴だ。


「これは、お互い先に調理だね。今日はクッキーとプリンを作ろうか。そんなに難しくないよ」




 というわけで厨房へ。基本のクッキーとプリンだから、カラメルソースを焦がさないように注意するぐらいかな。ミルフィに教えながら、スイーツ完成。着替えて楽しくお茶会です。


「ミルフィ、可愛い!」


「ありがとう。貴女も似合ってましてよ。こういうのもたまにはよいですわね。それでロザリィ、本題は?」


「へ?」


 紅茶をふぅふぅする美少女…可愛い。ではなく!え?


「スイーツ作りを教えるだけならローゼンベルク公爵家でもよかったはずですわ。わざわざこのお店に来たのは内緒の話があったのでしょう?普段不要な護衛に掃除をさせてまでしたい話が」


 流石はミルフィ。なかなかに慧眼です。お見通しとは。


「…今度の旅行でウルファネアに行くのですが、今ウルファネアとクリスティアは微妙な状態です。私が敵なら先ず貴女を狙います。私は強い。アルディン様にも腕利きの護衛が居る。ミルフィの今日連れていた護衛程度では守れないでしょう。だから、この子を一緒に居させてほしい」


 机の上に現れた、虹色に輝くサボさん。


「………………派手ですわね」


 ミルフィはそれだけ呟いた。


「ジミニモナレルゾ」


「しゃべった!?」


 サボさんは手の平サイズのミニサボテンになった。こ、これは…


「「可愛い…」」


 首を傾げるサボさん。いや、マジ可愛い。


「このサボさんはSSSランクモンスターです。きっと何が来てもミルフィを守ってくれます」


「…分かりましたわ。ただし条件がありますの。全て語れとは申しません。貴女は何を知って、何と戦い、守ろうとしているのですか?私に出来る事はありませんの?」


「…詳しくは話せないけど、ミルフィには知る権利があるね」


 私は大まかに状況を説明した。ジャッシュの事は伏せ、ここしばらくの事件がウルファネアからであること。ユグドラシルのこと。


「抱えすぎですわ!私も手伝いますからね!」


「魔法院では協力を期待します。ウルファネアは向こうの様子見を兼ねてますから、こちらからは何もしません。ミルフィには普段通りにしていただきたいです」


「…ならよろしくてよ。私もクリスティアのため…わ、私の親友のためでしゅもの」


 噛んだ。可愛すぎるなぁ、ミルフィ。


「ありがとう、ミルフィ大好き!」


 ミルフィをギュッと抱きしめる私。


「きゃあ!わ、私だって!今後はちゃんと相談してくださいまし!」


 ミルフィもギュッと抱きしめ返してくれました。最近のミルフィはデレ期ですね!ツンデレ最高!


「はーい」


 ミルフィは天使です!サボさんもうんうん頷きました。サボさん、ミルフィを…私の親友をよろしくね。






 ミス・バタフライのお店を出たら、なんかやたらボロボロになったジルバとうちの護衛2人が居ました。


「ジルバ、大丈夫?」


「大丈夫であります!先程は申し訳ありませんでした、お嬢様!」


 ジルバはきっかり90度のお辞儀を披露した。うぉぉい!調教し過ぎだろ!!もはやジルバが面影ないわ!

 よく見たらオルドが微妙に怯えてる…ジャッシュ!お前か!?


「彼はお気になさらず。軽く調きょ…指導しておきましたので」


 その笑顔が怖いんだけど!下に厳しいんですね。覚えておくよ!


「ロザリンド、ジャッシュは敵にまわしたらいかん。えぐい」


「……オルドがここまで怯えるとか、何をしたの?」


「…格の違いを何度も何度も何度も何度も見せ付けて心を折りました。獣人がよく言うことを聞かない相手にやる躾方法ですね」


「つまり心折れるまでボコボコにした、と。バイオレンスだね」


「平たく言えばそうですね」


「ごめんなさい、ミルフィ…」


「いいえ、他の貴族に咎められて不敬罪で縛り首よりマシですわ」


「確かに」


 プライベートだったから不問だったけど、私以外に同じことやらかしたら、可能性は無いとはいえない。


 とりあえず、今日は帰ることになりました。







 3日後。


「ロザリィ、私サボさんに不思議な石をいただいたのですが…」


「ミルフィも仲間だね!」


 なんとミルフィは3日でサボテンの心をゲット!説明したら引き攣った顔してたけど、やはりミルフィは天使で、それがサボさんに伝わったんだと思いました。

 サボさんとはかなり仲良くしてるみたいです。お家にはサボさん用のプランターがあるらしい。よかったね、サボさん!


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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
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