表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・日常と騒動編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/729

願いと獣性

 さて、夜になりました。昨夜の事があるんでちょっとソワソワドキドキしながら自室の扉を開けたら、ディルクが隅っこで毛布にくるまり丸まってました。


 なんでだ。


「ディルク?」


 ピクリと耳はこちらに向く。寝ているわけではないらしい。


「ディルク?」


 しかし返事はない。尻尾からして怒った様子でもない。あと少しで触れる、というところでディルクが反応した。怯えているように見えた。


「またロザリンドを襲ったらやだから、ここで寝る!触ったらダメ!」


「なるほど。ならば私はディルクを全力で誘惑しますよ?」


「なんで!?」


「だってだって、せっかくイチャイチャできると思って楽しみにしてたのに!昨日あんなに濃厚な夜だったのに、今日はダメとかあんまりです!」


「それ思い出しちゃうとアウトだから隅っこに居るんだって!ロザリンドが可愛くて大好きで、絶対傷つけたくないんだ!確かに治癒魔法で傷は癒えるかもしれないけど、何か後遺症が残ったら?ロザリンドの心はともかく身体はまだ子供なんだよ?自分の欲望のままにふるまうのは簡単だよ。でも、本気で一生大事にしたい女の子にそんなことする奴は、最低だ!」


「ディルク…」


 キュンときた。彼は私をそこまで想ってくれていたんだね。なのに、なんて身勝手な私。ディルクの背中にトン、と頭をつけた。ビクリと震えるけど、拒否はない。たくさん我慢させてごめんなさい。ありがとう。大好き。感情が入り混じって上手く言葉が出てこない。考えて出した結果は我ながら酷かった。







「…手か口の性的ご奉仕ならあり?」


 ゴンと壁に頭を強打したディルク。血が出てるよ!頭はすぐに治癒魔法で治しました。


「なんでそうなったの!?」


「ディルクの配慮は分かったけど、イチャイチャしたいしディルクに我慢させたくないし、恥ずかしがりながら私に身体を弄られるディルクが見たい!ディルクばっかり私を弄ぶのは狡い!」


「ずる…い、かな…いやいやいや、ロザリンドにそんなことされたら、理性完全崩壊するから!昨日はギリギリでなんとか我にかえったけど、次も出来るか微妙だから!ロザリンドは俺を信用し過ぎ!!余計な知恵を与えたレオニードさんが憎い!!」


「えー、ダメ?」


「どうしてもなら自分で処理するから!」


「え、見たい!」


 固まったディルク。しばらくして再起動しました。顔は真っ赤で涙目です。


「……………え」


「見たい」


「無理無理無理!ダメ!恥ずかしい!」


 毛布に潜ってしまいました。尻尾だけが出ています。イタズラ心で尻尾を撫でる。


「あ…!?」


「尻尾は性感帯なんだよね?」


「ちょ…あ…だめ…」


「気持ち良ーくしてあげる」


「ふぅ…ダメ…きもちいい…」


「ディルク、ベッドに行こうか」


 私に誘導されてディルクはフニャフニャになりながらもベッドに倒れ、私に好き放題されました。普段の姿でここまで触りまくるのは初めてかもしれない。


「…………もうダメ!」


 ディルクはとんでもないスピードでどこかに行き、しばらくして帰還しました。


「…ロザリンド、添い寝はするから魔法で眠らせて。確かに触られるのは気持ちいいけど、危ないから駄目。どうしても寝る前にイチャイチャするなら、魔法で眠くさせて」


「えー」


「それ以外だと、もう切り落とすしか「魔法使います!」」


 予想外にディルクは思い詰めてました!超真顔でした。切り落とすとか、何をか聞きたくない!魔法で眠くさせるとディルクの方からキスしてくれて、ギュッとしてくれて…ディルクはそのまま眠りました。


…早く大人になりたい。ディルクに我慢させたくない。そんな風に思いながら、私も世界一安心な腕の中、あっという間に眠りに落ちました。多分それがいけなかった。










「うわぁぁぁ!?」


「ふにゃ?」


 朝、ディルクの叫びで目が覚めました。服がキツイ。特に胸が。なんで?起き上がると、たゆんと大きな膨らみが…


「…え?」


 持ち上げる。落とす。柔らかい。たゆんたゆんと揺れるけしからん胸。夢叶った!


「ディルク、胸が大きくなりました!見てください!」


「まずそこ!?間違いなくロザリンドなのはわかっ…見せないで隠してそれしまって!!嬉しいのはわかっ…胸で腕を挟まないでぇぇ!!マーサさん!マーサさぁぁぁん!!」


 喜びを分かち合いたくてサービスしたのに、ディルクは必死に叫んでいます。


「残念。防音結界」


「解いて!今すぐ!」


「えー」


 鏡にうつる私は、165cmぐらい。髪は腰あたりまでで、緩くウエーブがかかり黒が混じった青銀の髪。深い紫の瞳。けしからんお胸は夢のDかEカップぐらい。ボタンが弾けたので谷間がまる見え。そして、寝巻きが短くて下着がギリギリ見えるし下着も食い込んでいるため、ディルクは直視できないようです。


「なんでもいいからとにかく服を着てぇぇ!!」


 必死に叫ぶディルクは完全獣化してしまい、部屋の隅に丸まってしまったので仕方なくマーサを呼びました。

 母のお下がりがピッタリで、母とマーサに着せ替え人形にされることしばし。


「どうですか?」


「か、可愛い…いや、綺麗だよ」


 母の服はフリルやレースをふんだんに使った清楚可憐系。ディルク好みと思われる白いレースのワンピースをチョイス。髪も結われています。あ、下着は母の予備がピッタリでした。


「ありがとうございます」


 褒めてもらえると嬉しい。ディルクに笑いかけた。


「でも、なんで急に成長したんだろう」


「なんでですかね。賢者辺りなら分かりますかね」


 心当たりといえば、昨日私自身が大人になりたいと願ったこと。まさかなぁ、とは思う。







 ディルクはわざわざお休みを取ってくれて私に付き添い、賢者のお部屋…いや汚部屋に一緒に来てくれました。


「魔力が不安定だからだね。何か願っただろう?」


 賢者は私の魔力の流れを見て、そう告げました。


「さっさと戻りたいと願いなよ。その状態は決して良くない」


「えええ、せっかく胸が大きくなったのにぃぃ!」


「「………」」


 賢者とディルクが呆れた様子でした。




 ディルクと私は我が家の自室に戻りました。ディルクは私をベッドに座らせ、自分は跪ずいて私の手を取り真っすぐに私を見つめます。


「ロザリンド、俺のせい?大人になりたいと願ったのは」


「…違う。私のためだよ。胸が早く育てって」


「ロザリンド」


 駄目だ。私のくだらない嘘は見抜かれている。泣くつもりなんてなかったのに、ぽろぽろ涙が零れてきた。


「だって…」


「うん」


「だって、できたらディルクと同い年になりたかった!そしたらディルクも我慢しなくていいし、もっと関係も…結婚だってできるし…大人になりたいと願っても仕方ないじゃない!」


「うん」

 ディルクは私の隣に座り、私を宥めるように優しく撫でてくれた。


「俺ね、今のロザリンドが好きだよ。確かに我慢は多いけど、好きになったのは小さなロザリンドだから。少しずつ成長してよ。出会う前はわからないけど、これからロザリンドが成長する所を全部そばで見ていたい。急に大人にならないで。一緒に成長していこうよ」


「うー」


 涙が止まらない。こんな駄々っ子みたいなの嫌なのに。


「可愛い俺のお嫁さん。いつもの君に会いたいな」


 優しいディルク。撫でる手も、視線も、何もかもが優しい。


「戻り、たい」


 大人になりたい気持ちは変わらないけど、こんな風に身体だけ大人になったって意味はない。ディルクに余計な心配させたくない。この年齢差は仕方ないんだから。早く戻って、ディルクによかったって笑って欲しい。


 魔力が私の願いに呼応し、姿が戻った。あれ?ディルクは笑ってくれると思ったのに、なんで真っ赤?

 すごい勢いでディルクは着てた上着を私に巻き付けました。私の服、肩が出るタイプだったんで脱げていた模様です。


「マーサさん呼んで来る!」


 ディルクはダッシュでマーサを呼んでくれて、私は着替えをしました。







 ディルクとテラスで紅茶を飲みつつ、私は考えていた。ディルクが何故完全獣化してしまうのか。


「ディルクって、獣性抑え過ぎてないかな」


「…え?」


「今まで、獣性は悪いものって抑え続けてたよね。私がそんなことないって教え続けて封印を解いた結果、タガがゆるくなって獣化しちゃうようになったっていうのはない?」


「…………あるかも」


「なら、獣性を満足させたら魔力も安定するかなぁ」


「な、何する気?」


「やらしいことはしませんが、楽しいことはします」


 私はニンマリと笑ってディルクと庭のユグドラシルさんの所に来ました。


「で、何するの?」


「猫…いえ、黒豹として力の限り遊んでいただきます!」


「ええ?」


「ディルク、完全獣化」


「うん」


 私はユグドラシルさんが以前マリーと遊ぶ為に作ってくれた猫じゃらしもどきを手に取りました。

 それをディルクの目の前で揺らす。


「こんなので俺、遊ばないよ?」


 と言いつつ、ディルクの目は猫じゃらしもどきにくぎ付けです。右に左に動く猫じゃらしもどき。ふふふ、昔近所のつれないにゃんこをことごとく夢中にさせた私の技術を見るがいい!





 数分後





「にゃあ!にゃん!」


「ディルクおいでおいでー。ああ残念!」


 ディルクが猫じゃらしもどきを捕らえる直前で猫じゃらしもどきを回避させる私。


「にゃあ!にゃ!」


 ディルクはすっかり本気で猫じゃらしもどきを追いかけています。猫じゃらしもどきで全力をもって遊ぶ私とディルク。普通のにゃんこと違い、動きが速いので難易度が高いです。


「…何してるの?」


 黒豹と猫じゃらしもどきで力の限り遊ぶのはシュールな光景だと思います。兄が呆れた様子で話しかけました。


「ディルクの魔力と獣性を安定させるためにしてます」


「…そう」


「にゃ!にゃあ!」


「ディルクがもはや猫…豹語?になってるけど、大丈夫なの?」


「問題ありません!」


 兄はツッコミを諦めたのか、まぁほどほどにねと告げて庭で作業し始めました。


 ボールやら私の手作り猫おもちゃで私達は日没まで全力で遊びました。途中子供達…特にマリーも加わり…疲れて動けなくなるまで遊びました。


 その日はお互い爆睡して、翌朝。


「…衝動が消えてる」


「魔力も安定してますね」


「ロザリンドの仮説が正しかったってこと?」


「一応数日様子見ますかね」


 そして考察した結果、ディルクは週1ぐらい猫遊びをすると魔力と獣性が安定することが分かりました。

 更に、魔力と獣性が安定した結果、ディルクは部分獣化が可能になりました。これは魔力操作より力とスピード両面が強化されます。おまけに魔力消費も少ない。今まで魔法を使えば五分五分だった勝率が下がりました。ジェラルディンさんにも勝てるようになり、ディルクが明らかに強くなりました。実力的に騎士団最強なんじゃないかしら…


 負けたくないので私も頑張ります!少しずつリンとロザリアが混じり、今では意識しないとどちらか分からない感じになりつつあります。お互い鍛練とディルクと読書が大好きです。

 同化は確実に進行しているのに、どうして私の魔力は安定しないんでしょうか。不思議です。


 まぁ、とりあえずディルクは安定したのでよかったと思いました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
― 新着の感想 ―
私も猫もとい完全獣化の豹型ディルク様と猫じゃらしで遊びたい…(^∇^)もふりたい…。すべすべ毛皮に顔を埋めて豹吸いしたい…。 果たしてロザリンドちゃんが許してくれるでしょうか?微妙なところだと思ってる…
切ったらジュニアが!(ダブルミーニング
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ