本能と男らしさと
今日は学校に直接騎士団に向かうと連絡して騎士団へ。朝も一緒に出勤とか…幸せです。とりとめのない会話を手を繋ぎながら…なんかいい!通勤デートですね!騎士団まで楽しくてあっという間でした。
「ディルク、おは…!?お前ディルクか!?」
「馬鹿、隣!ロザリンドちゃん効果だよ」
「あ、なるほど」
顔見知りの騎士さんに納得された。え?何?私効果ってなんだ?わけがわからない私に、ディルクはニコニコしながら話かけた。
「ロザリンド、ドーベルさんと団長のとこ行くんだよね?楽しみに待ってるから」
「うん!私も楽しみ!待っててね、ダーリン」
ディルクの手を引き、チュッとほっぺたにキスをした。
「うわ!?」
完全獣化したディルクさん。もふもふー。
「ディルク!?」
「ロザリンドちゃん、なんか呪い?」
「いえ、魔力が不安定で動揺したり興奮し過ぎると完全獣化しちゃうんです。戻れる?」
「大丈夫」
すぐ普段の姿に戻るディルク。ふむ、落ち着いていれば問題ないみたい。ディルクの手をとり魔力を探る。かなり安定してるなぁ。昨日は動揺してたからもあるかな?
「別に私いなくても……いや!心配だからルドルフさんとドーベルさんにかけあってくるよ!今すぐに!!」
別に私ついてなくてもよくない?と言いかけたら、ディルクに泣きそうな表情をされて即座に意見を変える私。ディルクを悲しませてはいけない!私は走り、ドーベルさんとルドルフさんに許可をいただいてディルクの班に派遣されました。
騎士の班は3人が基本です。1人に何かあっても他がフォローするためです。ディルクの班はカーティス・アデイル・ヒューが近衛になったのでメンバーが変わり、フィズと何故かレオニードさんがメンバーです。人手不足なのか、何やら意図があるのか…よくわからないチームです。
「久しぶりだな、ロザリ「ロザリンド、一緒に組めて嬉しいよ」」
「え?うん。私も嬉しいよ。あの、挨拶したいんですが…いえ、ナンデモナイヨ」
ニッコリ笑いながら尻尾がお怒りです!床をタシタシ叩いてます。えええ、何故!?
びっくりする私に、フィズが呆れながら解説してくれた。
「嫉妬だ」
「しっと?」
「フィズ!」
「あ」
またしても黒豹になったディルク。動揺したんだね。
「ヤキモチですか?私はディルクだけが好きなのに?」
「だ、だって…レオニードさんは男らしくてカッコイイし…」
「え?」
「俺みたく女々しくも暗くもないし…」
「…んん?」
「しかもロザリンドが好みみたいだし…だからロザリンドを取られたくなくて…」
「うん?とりあえず私の意見言っていい?」
「うん」
大人しく聞く姿勢のディルク。
「とりあえず、レオニードさんみたいなガッチリ筋肉質好みじゃない。あと、わりとへたれだと思う。男らしいのは見た目だけ。ある意味ジェラルディンさんのが男らしいよ。あれも全く好みじゃないけど」
「おい!」
ほら、今レオニードさん若干涙目だし。男らしい人なら笑い飛ばすよ、多分。
「あと、疑問なんだけどディルクって女々しくて暗いの?私はディルクって凛々しくて笑顔が可愛くて優しいと思ってます。訓練してる時の真面目な表情とかカッコイイです」
「ほ、本当?」
「うん。というか、何度も言ってるけど、ディルクは私の好みにどストライクなんだよ。外見も内面も」
「本当に?」
「うん、本当に。ところで、レオニードさんはなんで騎士のチームに?獣人部隊でしたよね?」
「人手不足で騎士に格上げされた」
「なるほど」
たまーに獣人部隊から能力が突出してたりすると騎士に格上げされる者がいる。今回は騎士団事件で色々あって、巡回メンバーも足りないから特例でレオニードさん以外にも格上げされた人がいるらしい。
「ところで気になるんだが」
「ん?」
「何をしたらそんなに匂いが濃厚につくんだ?」
「「………」」
笑顔で固まる私。
真っ赤になって固まるディルク。
何故か青ざめるフィズ。
「ディルク、まさか…」
「さ、最後まではしてない!」
「えーと、私が誘惑しちゃいまして、ディルクの理性を崩壊させました」
「…何をした?」
呆れた様子のレオニードさん。
「ベッドで下着姿を見せました」
「ロザリンド!?」
「お前、それで最後までしないって、不能か?」
「違います!危なかったけど、大人びていたって彼女はまだ7歳ですよ!?最後までしたら傷つくのは彼女です!」
「…ディルクは色々我慢し過ぎじゃない?痛いぐらい我慢するよ?」
「どんなにロザリンドが可愛くて魅力的でいい匂いで最近は色気もあって最後までしたくても誘惑されても、俺は年上なんだから!ロザリンドを護って、大事にしなきゃダメなんだ!ロザリンドが結婚できる年齢になるまではしない!」
「…男らしいでしょ?レオニードさん」
「確かに」
苦笑するレオニードさん。対してフィズは苦い顔だ。
「当然だな。彼女は幼い。しかし、この年齢でここまで惚れこませ誘惑までしているとは、君は恐ろしいな」
「え?私?」
「「…確かに」」
獣人2人にまで納得されました。なぜだ。
「まぁ、お前の心意気は解った。だが獣性もあるから適度に性欲発散しとけ?暴発するぞ。なんならロザリンドに手伝っ「ダメダメダメ!無理!余計なこと言わないでください!ロザリンドがやる気になったらどうするんですか!?ただでさえしばらく魔力が安定するまで同居なんですよ!?」」
「レオニードさん、性的なご奉仕すればいいんですか?」
「だからしなくていいったらぁぁ!!」
「あ」
完全獣化しました。もふもふディルクをもふる私。ふかふかー。
「…この変化は何かきっかけがあるのか?」
「興奮したり激しく動揺するとああなります」
「「なるほど」」
「あうううう…」
納得されました。ディルクがなんか落ち込んでいるからよしよししてあげました。
「で、発散って…」
「話を戻さない!!」
叱られました。仕方ないので後で聞いておこうと思います。
「とりあえず、巡回しますか」
「そうだな」
というわけで巡回開始です。カーティスが面白そうだとついてきました。今日は真っ黒様が好きにしていいと言ったらしいです。たまにそういう日があるんだとか。カーティスのガス抜きのつもりなのかな?後日聞いてみたら、野放しにするとたまにすごい獲物(情報)を持って来るからと、やはりガス抜きらしいです。上手くやれてるみたいですね。
「何と言うか…愛されてるな」
「はい」
「え?」
「尻尾」
私は腕に絡んだディルクの尻尾を撫でた。ものすごい速さで尻尾を取り返すディルク。
「ごごごごめん!」
「無意識?いつもじゃん。ロザリンド愛されてんなぁ」
「えへへ」
「……ああああ、俺の本能死ねぇぇ!!」
「あ」
完全獣化しました。そしてさりげなく肉球フニフニする私。素晴らしいフニフニ。
「ロザリンドは喜んでるしいいんじゃね?」
「ううう…」
「今も私にじゃれてますし。私愛されてるぅ」
尻尾は私にスリスリしています。ちょっとくすぐったい。
「俺しばらくロザリンドに近寄らない」
「からかうの自重するから許してください。近寄らないとか泣きますよ。号泣します」
「真顔だな」
「ロザリンドは本気で泣くぞ。演技力を発揮した嘘泣きで」
「つがいから離れるなんて無理だろう。しかもこんな溺愛してるつがいだ」
皆好き放題いってますね。ディルクは私にスリスリしました。
「…許してあげる。確かにどうせ近寄らないとか無理だし」
「ディルク、大好き!」
抱きつく私を軽々受け止めるディルク。
「…ロザリンドが笑ってるならいいか」
困ったように笑うディルクは、やっぱり私より年上なんだなと思います。
「…男らしいでしょ?私のためなら恥ずかしくても我慢していてくれるなんて」
「え?」
「「「確かに」」」
当惑するディルクに、納得した3人。本人は無自覚ですが、基本的にディルクは男らしいと私は思います。
長くなったので切ります。次は真面目にお仕事しますよ…多分。