表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/729

幸せになってみせます

 目が覚めたら、見知らぬ天井だった。いや、私はこの天井…部屋を知っている。おかしいのはこの部屋ではなく私自身。


 縮んだ両手はありえないほど白く、黒かったはずの髪は輝く青銀になっている。周囲は乙女チックなレースとフリルで飾られた乙女空間である。なんとかベッドを下りて鏡台の鏡を覗き込むと…


 子猫みたいに釣り上がった瞳は紫水晶のよう。長い睫毛にゆるくカールした青銀の腰に届くほど長い髪。縦ロールでこそないが…天使のごとき美少女。私に囁く記憶が、私が死ぬ間際までやっていた乙女ゲームのやたら死ぬ悪役令嬢であることを告げていた。


「あうとー」



 思わず呟いた私は多分悪くない。詰んだ、いや詰んでいる。

 多分私が死んだであろうこともショックだが、目覚めて悲惨な死に方しかしない悪役令嬢として目覚めた現在の方が果てしなくショックだ。あのゲームは私…ロザリア=ローゼンベルグに恨みでもあるのかと思うぐらい私が死亡することが多かった。


 どうしよう。


 とりあえず私の脳内はその一言に支配された。


 何もいい考えが浮かばず、部屋でぼんやりしてるとノックと共に年配の女性が入って来た。女性はきつめの美人で我が家のメイド長、マーサである。


「おはようございます、お嬢様」


 マーサは優雅に一礼すると私の世話係のメイドに指示を出し着替えさせた。そして私は食堂に連れていかれた。


 食堂には私だけ。ぼっちである。朝食はパンとスクランブルエッグ、サラダにスープ。普通のメニューだと思いきや、パンが固く苦心して食べた。ちぎるのも噛み切るのも大変だった。


 確実に顎が丈夫になりそうな食事をしつつ、私は考えた。

健康なこの体。以前と違い、走ることだってできる。お金も地位もある。不安要素は死亡フラグのみ。私は決意した。


 私は私として、幸せに生きようと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ