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ミリアーナドラグーン王国へ行く*男じゃないよおんなです・・・・・・

「うわー、なにこれー!?」


 宿が準備した付き添いの女性は私そう変わらない年頃の少女です。


 少女に案内されたのは、円形の屋根が特徴的な建物。


 左右に同じような建築物が並び、案内された棟と反対側に兄上が案内されました。


 兄上は随行の従者や騎士までまとめて入るつもりなのか、追従の男性人を引き連れて“おんせん”に向かって行きました。


 扉の両脇を武装した女性従業員が固めている為、女性以外の立ち入りが出来ない造り。


「お客様こちらでございます」


「あっ、すまない」


 扉を開けると着替えをするためなのだろうか、鍵のついたクローゼットが壁を覆うようにびっしりと並べられており、クローゼットごとに鏡台や椅子、宿で準備しているだろう化粧品がならべられています。


「こちらがお客様のクローゼットとなります、大変申し訳ありませんが鍵はこちらのひとつしか御座いません、無くさないようにご本人様に管理を御願いしておりますのでご了承下さい」


 綺麗な彫刻のほど凝らせた鍵は金の鎖が付けられており、首から下げられるようになっているもよう。


「開けてみても構いませんか?」


「どうぞ、私どもは空いているクローゼットにのみ掃除の時だけ触ることを許されておりますので」


 クローゼットの中は人が三人は入れる広さがあり、下段はチェストのようになっています。


 部屋から運んできた着替えようの一式と脱いだ服をクローゼットに仕舞い鍵をかける。


 防犯面から考えても良くできていますね。これなら開けられるのは鍵を持っている利用者のみ。


「こちらが浴室となります」


 浴衣と呼ばれる衣服を着せられて浴室に入ると、もうもうと湯気が上がり熱気が身体にまとわりついた。


 浴室の中央部には並々とお湯が張られ、溢れたお湯が石畳を流れてどこかへ消えていきます。


 レイナス王国では大量に湯を張った物には入れないのよ。


 膨大な費用と手間が掛かるため、婚礼に臨む花嫁か産湯のみしか入ることは難しい。


 代わりに高温に熱した石に水を掛けて汗を流し、身体を洗った後は水で清める方法が一般的。


「きゃー!男性が!!」


「えっ!?そんなはずは!?」


 えっ!?男!?どこに、ってきょろきょろ周りに視線を走らせると、何とも言えない顔で見上げる付き添いの少女の視線とぶつかる。


「もしかして私?」


「はい、大変申し訳ありませんが恐らく」


 やっぱりですか、男性でも髪の長い方が多数を占める昨今、女性の平均的な身長よりも頭ひとつ分背が高く、凹凸も少ないから。


 レイナスではドレスより騎士服に近い物を着ているが、流石に浴室で男と間違われるのはいかがなものだろう。


「少々お待ち頂いても宜しいでしょうか?」


 顔を青くして、頭を下げると、走って先に浴室を使っていた女性客に説明に向かっていってしまいました。


「えっ!?ギャー!」


 余程焦っていたのだろう、滑る床に足をとられガシャンと大きな音を立てて転んだ。あれは痛いぞ。


 先程まで私を見ていた女性客の目が、転んだ付き添いの少女に奪われて突然の事態に言葉を失って固まってしまっています。


「騒がせてすまなかった。私はこれでもあなた方と同じ女性なので安心してほしい」


 近付くとのぼせてしまったのだろうか、私を見上げて顔を真っ赤にして小さく「いいえ・・・・・・」と言うと顔を伏せてしまいました。


 すっかり眼を回してしまったのか動かない少女の傍に座り込むと首もと膝の裏に腕を入れてゆっくりと持ち上げた。


 うん、筋肉が付いてないと軽い軽い。


 呆然としているご令嬢方に見送られ少女を抱いたまま脱衣に戻ると、年配の従業員が走りよってきた。


「なにかございましたか!?」


「浴室で転んでしまったんです。頭を打っているかも知れないので、一応医師に見てもらってください、請求は私の方にお願いします」

 

 そう言うと女性は助け三人ほど呼びに行った後、少女を担架に乗せて運んでいってしまった。


 何度も頭を下げられ代わりの付き添いを願い出られたが断り、手早く入浴を済ませました。


 大量の湯に浸かるという行為のなんと贅沢なことでしょう。


 暫しまったりした頃に、少女の代わりとして先程の年配の従業員に着付けを手伝ってもらいました。


 上機嫌で兄上に合流し、登城ように用意された豪奢な箱馬車に乗り込んだのでした。




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