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母よさらば

伊達軍が南部家に負け、政宗が家臣達に米沢城にて当主の宣言をしていた頃、佐竹義重、居城太田城では、義重と一門筆頭である佐竹義久が伊達輝宗死去の報を聞き戦略を練っていた。


「義久、輝宗が死んだそうだ。次に伊達家の当主となるのは、息子の政宗らしいがどう思う」


義久は、義重に聞かれ自分が知り得る情報について、考えをめぐらした。


「義重様、政宗は昨年、安東家を攻め滅ぼしていますが、それは家臣に優秀な者が居たことや、攻める数も安東家の倍の数で攻めております。そこを考えれば、戦に対する能力は高くないかと推測されますな」


義久の言葉を聞き、義重は頷く。義久と同じ考えだったのだ。


「わしの妻は、晴宗殿の娘じゃ。政宗は甥にあたるが…。わしは、伊達が嫌いじゃ。ことは、岩城を傘下に入れたことが発端。その次は、芦名の戦のおり援軍に出た真壁が捕らわれ、宇都宮城まで伊達家に取られてしまった。それから、北条と同盟し下野、上野に領土を得たが上杉の乱のおりには、わしらは領土すら得ることができなんだわ」


義重は、伊達家によって佐竹家が、いいように使われていると感じていたのだ。


「伊達家は、輝宗が亡くなり南部相手に大敗を喫している。攻めるのであれば今を狙わない手はない。しかし、今、動けば周りの大名達からの評判が悪くなる。攻めるとしても、葬儀の後じゃな。南部と同盟して、北と南から攻めれば、伊達家を倒す事もできよう」


「まさに、そうでございますな。これは、確かな話かは分かりませぬが、最上へ政宗は母である義姫を送り返すとか。最上と伊達の同盟が無くなると考えれば、最上、南部、佐竹で一挙に攻め寄せれば、政宗も戦の対応は不得手と思いますれば、勝つこともかないましょう」


義重も義久も政宗の能力は、殆どないと思っていた。実績がないこともあるが、政宗が数え年14歳であるという若さもあった。14歳の若造に、家中が一つになるとはないと、考えていたのだ。


「それでは、輝宗の葬儀がある時にでも、最上に話をつけてくれないか。あと、南部にも同盟を求め、今年の7月か8月にでも共に、伊達領への出兵を考えないかとな。南部は、先ほどの戦で伊達家に勝っておるから、嫌とは言うまい」


「それでは、それがしが南部と最上との交渉を進めましょう」


「頼んだぞ。我が家は、数年戦らしい戦はしておらぬから、鉄砲も仕入れられた、兵馬の鍛錬も進めた。北条の抑えを残したとしても、3万は出陣できよう。戦まで時があるから、伊達家で切り崩せそうな、者がおるか調べておくとしよう。しかし、伊達家には二男の喝食丸がおる、攻める前に返してもらえるように、交渉しなければなるまい」


政宗が知らない場所で事は、進んでいくのであった。



時は変わって、1580年4月末、大内の一族を小浜城で打ち首にするために、鬼庭綱元、田村氏顕が大内一族全員を捕らえ刑の執行の準備が出来たと、政宗の元に報告があった。政宗は、当主として刑の執行時に立ち会わければならない。また、刑の執行前に、大内の一族に会わなければならなかったため、刑の執行前日、小浜城を訪れた。


元宗は、政宗と供に小浜城を訪れていた。政宗を心配して小浜城へと来ていたのである。政宗にとって、初めての計の執行、見届けである。元宗が、小浜城を訪れた理由は、大内の一族と面会した後、政宗は刑の執行を躊躇する気持ちに、なるかもしれないと考えたからだ。


一族には、年若い娘や幼い子供が居たからである。実際に、大内の一族と面会した際、現代人である政宗は、幼い子供達を助けるか迷った。面会の際、政宗の横に座っていた元宗が、政宗を呼び別室へと促した。


「政宗様、まさかとは思いますが。大内の子供や娘を、助けようかと考えていませんか」


元宗に確信をつかれ。政宗は戸惑った。


「すまぬ。会うと、余計にな…」


「政宗様、ここは許してはなりませぬ」


「なぜだ」


「ここで、許せば他に示しがつきません。裏切っても、家族が助かるとしれば、内応をしても家族は許されると勘違いし、裏切りを軽く見る者達も出てくるかもしれません。ここは、厳しくすることが大事かと…。それに今回、死んだ家臣達の家族は、大内の一族を恨んでいるでしょう。恨みを無くすためにも、これは必要なことかと」


それを聞き、政宗は暫く考え込んだ。大内の一族を、見せしめにすることはいいことなのか…。迷いが生じる。しかし、決断しなければならない。政宗は、伊達家の当主なのだ。


「わかった。大内の一族全員は、打ち首とする」


その日、鬼庭、田村によって大内一族は打ち首となった。政宗は、打ち首となった大内一族の慰霊塔を建てるように、近くの寺に依頼することにした。彼らも被害者なのだ。定綱の裏切りのために、殺された者達だ。定綱に恨みはあるが、政宗はその子供達に罪はないと内心は思っていた。





大内一族の打ち首から、2日後。輝宗の葬儀が執り行われた。政宗は喪主として立ち会い、葬儀には伊達家一門、家臣、同盟国の代表などが訪れ、焼香を行った。


北条家からは、北条幻庵と北条氏規。武田家からは、真田昌幸、仁科盛信。佐竹家からは、大塚政成、佐竹義久。最上家からは、最上義光、氏家守棟。津軽家からは、沼田祐光が訪れた。


政宗が順番に彼らに挨拶をすると、それぞれが政宗に悔みの言葉をかけ焼香をする。その後は、政宗に用意された部屋で1日泊まり、翌日には自領へと帰ることとなる。葬儀が終わった夜、政宗は元宗を伴いある武将の元を訪ねていた。その武将は、母である義姫の兄最上義光であった。


最上義光は、実元より輝宗の遺言を聞き、葬儀が終われば自らが義姫を連れて帰るために米沢を訪れていた。また、義光は政宗と会ってみたかったのである。義光の部屋へ入ると政宗が先に挨拶をした。


「初めて御意を得ます。伊達藤次郎政宗でございます」


挨拶をした政宗を、義光はじっと見つめた。政宗は、どちらかといえば母である義姫に似ており、顔は整い片方しか目はないが、その目は何か深い場所を見据えているような目をしていた。


義光は、政宗の顔を確認すると。義光が政宗に声をかけた。


「初めて、会うことになるな政宗殿、最上二郎太義光である。今回は、家臣に任せても良かったのであるが、政宗殿と一度、会って見たかったのでな。わし、自らが米沢を訪れることとしたのじゃ」


義光は、気さくに政宗に声をかけるが、目は政宗をずっと見つめ続けている。


「それで、母のことですが明日、最上殿が帰る折に連れて帰られるのですね」


「おお、そうじゃ。あの気が強い義姫であるからな。わしが連れ帰った方が、家臣も安心するじゃろうて…。のう守棟」


義光がそう言って、守棟を見て笑うと守棟も笑って義光にこたえた。


「作用でございますな。義光様が居れば安心です」


「母の事ですが、義光殿に月々母の生活費を、お渡ししたいのですがどうでしょうか」


政宗は、いくら義姫に疎まれようとも。母の今後を心配していたのだ。


「分かり申した。それは快く、いただいておきましょう。政宗殿に確認したかったのですが、良いですかな」


義光が何を言ってくるのか、政宗は気になった。


「なんで、ございましょう」


「義姫が最上に帰って来たとしても、伊達家と最上家の同盟は続くと考えてよろしいかな」


政宗は、母を返すことが同盟破棄になるとは、そこまで考えていなかった。しかし、母を最上に返すということは、義光に同盟破棄と取られてもおかしくないと思い。言葉を継いだ。


「もちろんでございます。最上家と伊達家の同盟は、母が最上家に帰ろうとも続きまする」


「それが聞けて良かった。それが一番心配だったのじゃ」


義光は、伊達家と同盟が破棄になれば最上は、伊達に負けると思っていた。兵の数もあるが、義光は隣国であるため伊達がどのような戦で、勝っているのか知っていたのである。佐竹は、黒脛巾組によって情報の隠ぺいが行われているので、伊達家の戦の情報を掴んではいなかったのだ。


政宗と義光はその日、交友を深めることが出来た。元宗と義光の部屋の前で別れ、政宗が自室へと戻る途中、母への挨拶が終わり自室へと戻る途中の小次郎に会った。


「兄上、今日はお疲れ様でした。母上に挨拶なさいましたか」


政宗は、義姫には会う気はなかった。会えばまた、喧嘩してしまうかもしれない。最後まで、お互いに嫌な気持ちで別れたくないと思っていたのである。


「いや、母上には会っておらん。明日の朝、母に会って挨拶をと思っておった」


小次郎と話をしていると、義姫の侍女が政宗を見つけ声をかけてきた。


「政宗様、ここに居られましたか。義姫様が部屋でお待ちです。最後に政宗様に会いたいと…」


まさか、母がそのような事を言うとは考えていなかった。政宗は、明日の朝会おうと思っていたが、母に急に会いたくなったのである。


「わかりました。母上の所に、行きましょう」


政宗は、侍女に案内され義姫の所を訪れた。部屋に入ると、義姫がおり義姫に促され、義姫の前に座った。義姫の前に座ると、政宗の前に料理が並べられた。


「政宗殿、この料理は母がそなたのために作った手料理です。どうぞ、お腹いっぱい食べなさい」


政宗は、感動していた。今まで、母が自分のために、料理など作って貰ったことがない。初めて母の料理を食べるのである。今までのわだかまりが、自分の中で無くなっていく。まず、並べられている料理の中の煮しめを食べようと、政宗が手を延ばすと、侍女の様子が何かおかしいことに気付いた。


何かあるのか…。政宗は、不気味な気持ちになる。その時、ある記憶がよみがえった。史実で、政宗が弟の小次郎に手にかけた理由。母に毒を盛られ、母を殺すことが出来ないために、小次郎に手をかけたことをこの時思い出したのである。


「そこの侍女、すまぬが。食事の毒見をしてくれまいか」


政宗が侍女に話しかけると、義姫が金切声をあげた。


「政宗殿、わらわの作った料理に不都合がある訳がなかろう」


母の様子がおかしい事も、政宗は気付いた。


「不都合がないのであれば、侍女が食べても大丈夫でしょう。そこな侍女、この料理を食べてみよ」


政宗は、もう一度侍女に毒見を促した。しかし、侍女は震えて動かない。やはり…。政宗は、確信した。次の瞬間、家臣を大声で呼んだ。


「小次郎、綱元、忠康はおるか!!」


政宗の声が響くと、別の部屋に居た3人が急いで政宗のところに来た。


「「「殿どうなさいました」」」


三人を確認すると、政宗は指示をだした。


「そこの侍女に、この食事を食べさせよ。もしかしたら、毒が入っているのかもしれん」


三人は驚きながらも、侍女に食事をさせようとすると、侍女は逃げ出した。しかし、男の3人に捕まり食事を口に無理やり入れられようとした時、義姫が泣きながら声をかけた。


「もうよい。それには毒が入っておる」


それを聞いた政宗の体が震えだした。怒りで、我を忘れたのである。


「母上!!これが、最初で最後に食させる物ですか」


最後は、涙で言葉にならない。小十郎も綱元も忠康も動けなかった。小十郎が意を決して、政宗に声をかける。


「義姫様をどうなさいますか」


政宗は、小十郎の質問に声を振り絞った。


「もうよい。明日は、最上に帰るのじゃ」


そう言って、この件をうやむやにしようとする。この時、騒ぎを聞きつけた。小次郎が義姫の部屋へとやって来た。何が起こったのか、綱元に聞くと、義姫に詰め寄る。


「母上、なぜこのようなことを!!」


小次郎も涙がとまらない。涙を流す義姫に、政宗はその場を立ち上がり、部屋を出ていく時、最後に義姫を見て声をかけた。


「さらばでございます」


そう言って、政宗は部屋を出た。政宗と義姫は、最後まで心を通わせることはなかった。



政宗が、義姫の部屋を出たころ。最上義光の部屋に、佐竹義久が訪れていた。伊達包囲網を最上義光に提案するためである。義久は、義光が輝宗の葬儀に来ていることを、とても喜んでいた。会って、山形城に行く手間が省けたからである。


「最上様、それがしは佐竹義重が家臣、佐竹義久と申します」


「最上義光である。それで、何の話か教えていただこう」


義光は、回りくどい質問はせず率直に質問した。


「伊達家は、南部家に先日負け10000もの兵を失いました。さらには、当主である輝宗殿も亡くなり、当主には14歳の政宗殿が継ぐこととなったのです。今が、伊達家に攻め入る絶好の機会かと思ったのでございます。すでに、南部殿とも連携する話になっております」


これを聞いて、義光は驚いた。佐竹と伊達は同盟国だと思っていたからだ。義久が言葉を継ぐ。


「北から、南部殿19000、南から佐竹30000、西から最上殿10000で攻め入れば、戦経験の無い政宗を破る事も可能かと。どうでござろうか」


義光は、この話に心が引かれた。合計6万で伊達家に向かえば、勝てない訳ではない。しかし、伊達家の手筒包や花火の攻撃をどう防ごうと考えているのであろうか。もしかしたら、彼らは伊達家の武器を知らないのではないかと義光は考えた。


手筒包の攻撃は防げるかもしれないが、花火の攻撃は難しい。陣の幅を広げれば、あるいは攻撃を受けないように防げるかもしれないが、陣が伸びれば戦の際には不都合だ。陣の間を突かれれば、各戸撃破で負ける可能性は増える。


義光は、義久が伊達家の武器の事を知っているのか、質問してみようと思った。


「義久殿、伊達家の武器を侮られておりませぬか」


それを聞いた。義久は、何をそんなに心配しているのかと思った。


「最上殿、伊達の鉄砲は確かに数を、沢山もっているかもしれませんが、佐竹家も3000丁の鉄砲を持っております。何を恐れることがありましょう」


義光は、これを聞いて伊達家が情報操作を行っていると気付いた。佐竹に教えても良かったが、今は様子を見ようと考えたのである。この同盟に加わって負ければ、最上家は潰れてしまうだろう。それだけは、避けたかったのだ。


「この話は、ことが、ことだけに、暫く考えさせていただけないだろうか」


義光の返事を聞くと義久は頷き。


「分かりました。良い返事をお待ちしております」

と言って部屋を後にした。



翌日、家臣達には義姫が政宗に毒を持ったことが伝わっていたが、政宗は義姫を罰することはしなかった。父が亡くなり、母まで亡くなれば弟や、妹が悲しむだろうと思ったからである。同盟国にこのことは、知られることは無かった。政宗が箝口令を敷いたためであった。義姫は、兄である義光に連れられ、最上へと帰って行った。





輝宗の葬儀が終わり6月中頃になってから政宗の、家督相続の式典が行われた。これには、葬儀と同じように伊達家一門、家臣、同盟国の代表が訪れていた。この時、佐竹家より祝いと、人質になっている佐竹家二男の喝食丸を、返してもらえるように交渉が政宗にあった。


政宗は佐竹との同盟も重要であると考えていたので、政宗当主就任の恩赦として二男の喝食丸を佐竹に返す事にした。


今回の祝いの品の中で、特に祝いの品が多かったのが、北条家と武田家であった。

政宗に子供が生まれれば、それは北条と武田の血を引く者である。北条も武田もこの時は、敵対関係にあることを忘れ、式典後は同盟国や伊達家家臣達に食事と酒が提供され、伊達の城下は祝い一色となった。




家督相続が終わり、6月末になって驚く情報が政宗に伝えられた。伊達の家臣に内応の使者を佐竹が出してきたと、元宗から報告があったのである。宇都宮城の近くに城を構える、壬生に佐竹から内応の話があったと、小梁川に知らせられ。小梁川は、元宗に連絡しその後、政宗に情報が伝わった。


政宗は、佐竹がまさか伊達領に攻めてくるとは考えていなかったが、証拠となる書状を見たことによって確信へと変わったのである。すぐさま、元宗を米沢城へと呼び佐竹への対応をどうするか、話し合うこととなった。


政宗の執務室にはこの日、元宗、実元、政景、晴氏、小次郎、遠藤、小十郎、綱元、忠康が集っていた。まず、政宗が皆に話しかけた。


「此度、佐竹が壬生殿に内応の書状をおくって参った。その書状がこれじゃ」


元宗以外の者達が書状に目を通す。書状を見た実元が声を発した。


「確かに、この書状には佐竹の印があります。佐竹は、我らと敵対することは無いかと思っておりましたが、そうでも無かったのでございますな」


佐竹が伊達家を狙った理由を、元宗が説明しだした。


「恐らくでありますが、岩城殿が伊達の家臣になり、芦名との戦において宇都宮城を伊達家は得ました。もともと、宇都宮家は佐竹義重の娘婿でございますれば、それも佐竹を刺激したのかもしれません。下野と上野を佐竹が得るように北条、佐竹同盟を働きかけたのも伊達家でした。上杉領の内乱も、伊達家が仲介に入り、武田家と佐竹を同盟にしております。義重殿はそれが面白くなかったのかもしれません」


それを政宗は聞き、頷いた。元宗は政宗を見た後、話を続ける。


「一番、大きな理由は、輝宗様の死去かと。また、伊達家は10000を超える痛手を受けました。今は、政宗様が家督を継がれたばかり、我ら家臣達も浮き足立っておると考えたのでしょう。それに、来年になれば兵を補充しておりますから、攻めづらいはずです」


それを聞いた、実元が元宗に対して声をかける。


「これで、南部、最上、佐竹が同盟して攻めれば伊達家にとっては、窮地に落ちますな」


全員が実元の意見を聞いて、深刻な顔になった。


「南部、最上、佐竹に攻められれば、誰をどこに置くかが問題になります」


実元の意見を受けて晴氏が答えた。


「佐竹、二男の喝食丸を返してしまった。これでは、佐竹は好きな時に攻め込めることになる」


政宗はこの時、早まったと考えた。すると、綱元が興奮して、話し出した。


「佐竹など気にせずに、こちらから南部を攻め寄せればいいのではないか。佐竹とはまだ、同盟関係が続いている。南部さえ滅ぼせば、佐竹など恐れるに足りん」


「綱元殿、南部とまた戦を開始する場合、豊沢川を越えねばならん。南部によって、橋は壊されておる。攻め入れば伊達の兵もかなりの損失を受けると思うが…」


忠康が元綱を諌めた。小次郎が何かを思いついたのか、政宗に話しかけた。


「兄上、最上には母がおりまする。母に、最上が南部と佐竹との共同戦線に参加しないようにお願いしてはどうでしょうか」


「母は某を嫌っておる。無理であろう。しかし、最上の叔父上は同盟を続けたいと、申しておったから。敵方に回る可能性は低いと思うが…」


しかし、この時代約束が守られることは少ない。状況次第によっては、敵に回る可能性もある。晴氏はここで、本題を切り出そうと思った。最悪の場合を考えて、三家が攻めて来た時、誰がどこと対峙するかであった。これが決まっていれば、慌てることは無い。


「佐竹は戦上手でございます。もし、戦えば伊達の戦力もそがれましょう。最上、南部、佐竹が攻めてくれば部隊を先に決め。戦にいつでも出られるようにする必要がありまする。政宗様のご意見を伺いたい」


晴氏が発言すると、政宗に全員の視線が集まる。


「南部家に対する者を発表する。先方、戸沢盛安騎馬隊2500、雑賀重朝鉄砲隊2000、第二陣鬼庭綱元2000、第三陣黒川晴氏2000、大将留守政景3500、右先鋒南条隆信2000、右後陣南部信直2000、左先鋒田村氏顕2000、左後陣四釜隆秀後2000、後詰杉目直宗2000、合計22000で対応する」


「最上家、先鋒相馬義胤2000、鉄砲隊1000、第二陣前野忠康2000、大将伊達実元3000左陣小西行長1500、右陣石母田景頼1500、後詰伊達成実1000、合計12000とする」


「佐竹家、先鋒前田慶次3000、孫一2500、第二陣片倉景綱2500、第三陣亘理元宗3000、大将は政宗4500、右先鋒原田宗政2500、右後陣石川昭光2500、左先鋒後藤信康2500、左後陣二階堂盛隆2500、後詰浜田景隆2500、合計28000とする」


これを聞いた。元宗が意見を述べる。


「それならば対応できまするな。全部隊に、いつでも動けるように指示を与えておけえばいいかと…」


政宗は、元宗に認められ。頷き、家臣達に指示を与えた。

これより半月後、最悪の事態が政宗を襲うのである。


書き終えることが出来れば、本日も続きを載せます。

すいません。本日、忙しく書き終えることができそうにありません。

更新は週末になりそうです。申し訳ありません。

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