あらすじ(修正)
俺の名前は高浜正志28歳独身、彼女はいない。家族は両親と弟、妹がいる。趣味は読書で歴史が好きだ。今日は一つ下の弟が結婚するから故郷の山形県米沢市に帰ってきた。久しぶりの実家。結婚式場まではバスで移動と父からの説明を受け、酒を飲む前にいつも飲んでいるウ○ンを買いたかったから両親、妹を残し一足先に家を出てコンビニによることにした。コンビニに行く途中、横断歩道を渡っている時だ、前方不注意の右折してきた車に引かれてしまった。
俺自身、車に気付かなかったわけではない。止まってくれると思っていた。気付いた時には車に吹き飛ばされ頭を俺は強く打った。周りがよく見えない。何かが俺の中から流れ出る感覚を覚える。
このまま、俺死ぬのかな…。死にたくない。まだ、やり残したことがある。結婚もしたかった。子供も欲しかった。やりたいことがいっぱいあった。誰か…。僕を助けてくれ!!
『助けて…』
そこで、俺は意識をなくした。
「・・・・・様」
「・・丸様」
誰かが呼びかけている。痛い…。右目が痛い。俺は、助かったのか…。
俺は混濁する意識の中、ゆっくりと眼を開けてみた。すると目の前に俺の顔を覗く綺麗な女性と、中年の男、若い男がいる。意識がはっきりしない。ずっと、三人の事を見ているとあることに気付いた。男達の髪型が丁髷だった。丁髷を見つめていると少しずつ意識が回復してくる。
『おいおいなんで、そんな髪型なんだ?』
『ここは、病院じゃないのか?』
俺が声を出す事を躊躇していると綺麗な女性が話しかけてきた。
「良かった。梵天丸様、私達がわかりますか?」
女性から梵天丸と名前を呼ばれる。おいおい、俺は高浜正志だ。梵天丸という名前ではない。
なんだ…。どういうことだ。
この人、俺の名前を「梵天丸」と言ったぞ…。『梵天丸??』俺はこの時、少しずつであるが俺自身、梵天丸についてのことを思い出していた。
なぜか、梵天丸の記憶が俺の中にある。俺そう梵天丸は昨日の夜、俺が劣等感を持っていた疱瘡で飛びした右目を俺の守役でもある片倉小十郎に切開させたのだ。酷く痛みに襲われた俺は傷つけられた痛みで気を失ったようだ。
障子から入る明かりから今は昼間のようで…。周りに居るのはおそらく医者の中年の男性であろう。次に乳母の喜多、小十郎が居ることが梵天丸の記憶が俺の中にあるために分かる。俺が喜多の問に答えないため、喜多が綺麗な顔を歪め泣きながら声をかけてくる。
「梵天丸様、なんてことをしたのですか。喜多は、もしものことがあったらと。心配で心配で…。良かった」
喜多が布団から出た俺の右手を両手で包み込んできたので、俺自身も自らの手で喜多の両手を握り返す。
「すまない。喜多、心配をかけた。それから小十郎、俺の願いよく叶えてくれた。俺の右目はどうなった?」
小十郎が俺に声をかけようとすると、目の前に座っていた中年の男が小十郎よりも先に俺の問にこたえる。
「梵天丸様、綺麗な右目になられております。飛び出した眼球が綺麗になっておりますぞ。痛みと傷の回復に効くこの煎じた薬をお飲みください。」
そう言って。中年の男が薬を俺に飲ませる。スゲーまずい。現実の俺は、多分死んだのだろう。死んで生き返った。伊達政宗として…。梵天丸の記憶によると今の俺の年齢は7歳であるようだ。
俺は静かに目を閉じて考える。俺は歴史が好きだし伊達政宗が好きだ。
そうだ!!
伊達政宗はあと数年早く生まれていれば天下を狙えたとよく言われる。俺が歴史を逆行して目覚めたのも何かのお導きに違いない。そして俺は決心する。
史実では天下をとることができなかった政宗に天下をとらせてやろう。俺の現代の知識があれば、これから伊達家を変えていけるだろう。まってろ!!豊臣秀吉!!まってろ徳川家康!!この俺、伊達政宗が天下をとってやる。