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平凡な俺の異世界転生  作者: 陽気なおじさん
2/2

第2話 ステータスオープン

脳裏の奥深く、底の底の方から小さな声がした。


一度選べば、引き返すことは出来ない。

覚悟して選べ。


俺にはそう聞こえた気がした。

今度はハッキリ大きな声で言おう。

目が覚めたらそうしようと決めていたのだ。

もちろん俺はそう唱えた。


「ステータスオープン!!」




やっと念願のステータス画面を視る事が出来た。

ステータス画面はいくつかの項目に分かれている。

まずは一番上の〈氏名(ネーム)〉だ。


氏名(ネーム)

■アレン=ロスリック[16才]


俺はどうやらアレンという16才の少年らしい。

かなり若返ったのは嬉しいが、0才からのスタートを期待していたので、少し落ち着いた。

ロスリックというのは恐らく名字だろう。

異世界っぽい名前に興奮する。


次の項目へ目をやると〈称号(タイトル)〉と書いてある。

これこれ!こういうのでいいんだよ。

俺は薄ら笑いを浮かべた。


称号(タイトル)

転生者(デッドマン)


何の捻りもなく、ただ単に転生者と書いてある。

ただ、デッドマンというのは気になる。

俺はやはり死んでここへ来たのか・・・。


俺以外にもこの世界に転生者はいるのだろうか。


三つ目の項目は〈種族(レイス)〉だ。


種族(レイス)

人間族(ヒューマン)


これには思い当たる節がある。


【人間のままでいろ】


やはり選択肢に沿ってステータスが決められている。

だからあの時にステータス画面が視えなかったのだとも思った。

項目を進めるうちにどんどん興奮しているのか分かる。


遂に〈職業(ジョブ)〉の項目である。

薄々気づいてはいたがやはり・・・。


職業(ジョブ)

愚者(デッドマン)[Lv.1]固有技能(ユニークスキル)


「やっぱそうだよなぁ」

どう見ても異世界転生でオススメの職業では無い。

だが、どうやらレベルの概念があるらしいという事が分かった。

そして固有技能(ユニークスキル)というのも気になる。

固有という言葉は心躍る。

レアリティは高そうなので、一先ず安心する事にした。


次の項目は〈身体能力(ポテンシャル)〉である。

個人的にはここが一番大事だと思っている。

俺のような不遇職でもステータスが高くて無双する物語は沢山読んできた。


身体能力(ポテンシャル)

総合力(TP)(トータルポテンシャル):200

生命力(HP)(ヒットポイント):100

魔力(MP)(マナ):10

持久力(STA)(スタミナ):10

精神力(MNT)(メンタル):10

筋力(STR)(ストレングス):10

敏捷(AGI)(アジリティ):10

技量(TEC)(テクニック):10

知力(INT)(インテリジェンス):10

魅力(CHA)(カリスマ):10

感覚(SEN)(センス):10

幸運(LUC)(ラック):10


一通り目を通して、俺ことアレンは肩を落とした。


「まぁ生命力は低くなさそうだし、魔力もあるし。」

深いため息がこぼれる。動揺などしていない。

分かってはいたが・・・。


「俺のステータス絶対低いよな」


どうやら次の項目が最後のようだ。

身体能力(ポテンシャル)〉が一番大事だと思う様な輩は二流、いや三流である。不遇職でステータスが低くてもチートする物語は沢山読んできた。


最後の項目は〈技能(スキル)


異世界転生において〈技能(スキル)〉こそ至高であり、〈技能(スキル)〉こそ全てだ。

終わりよければ全てよし。

という言葉を俺は知っている。


半分期待し、半分諦めながら読んだ。


〈技能〉

愚者の道(デッドマンロード)[Lv.1]固有技能(ユニークスキル)

愚者の仮面(デッドマンマスク)[Lv.1]固有技能(ユニークスキル)

愚者の指輪(デッドマンリング)[Lv.1]固有技能(ユニークスキル)


「っしゃあ!」

喜びのあまり、大きな声が出た。

スキルについて詳細な事は書かれてはいないが、俺は3つもスキルを持っている。

しかも、3つともユニークスキルである。


ただのスキルではない、ユニークスキルなのだ。

これほど嬉しい事は今後無いだろうとまで思った。

夢にまで見た固有技能(ユニークスキル)が手に入ったのだ。


男の子なら誰しも憧れただろう。

いや女の子だってそうさ。


そんな憧れの固有技能(ユニークスキル)を俺は手に入れたんだ。

嬉しさのあまり、何度もステータスを見返す。


愚者の道(デッドマンロード)[Lv.1]

愚者の仮面(デッドマンマスク)[Lv.1]

愚者の指輪(デッドマンリング)[Lv.1]


デッドマンという引っかかるワードはこの際どうでもいい。

このスキルが何を表していて、このスキルで何が出来るのかを俺は知る事が出来ない。

でもそんなのは関係ない。

固有技能が手に入ったんだという実感が俺を優しく、そして激しく包んでくれた。

しばらくそんな時間を過ごしていると、ある事を思い出す。


「腹減った・・・」

選択の連続の間も腹は減っていたが、まさかその状態を引き継いで転生してきていたとは思わなかった。


そこでようやく冷静になった俺は辺りを見渡す。


ここはどうやら森らしい。

時間帯は恐らく早朝、木漏れ日が身に染みる。

空気は澄んでいてとても気持ちいい。


迂闊に動くと危険な事は承知だが、ここに留まっておく理由もない。


一刻も早く腹に何かを入れないと・・・


俺はとにかく森を進んだ。

小さな水溜りを見つけた。


そこに映る自分を、俺は初めて見た。


「え・・・これが俺・・・。」


なんとそこには黒髪で華奢な少年の姿が映っていた。

前世で同じ顔の奴がいたら、何の仕事をしても上手くいっただろうな。

俺は途端に胸の不安が晴れた気がした。

心なしか木漏れ日も明るくなり、微かに聞こえる動物の声も自分を祝福しているかの様に感じた。


そんな幸せな瞬間は束の間の出来事だった。


微かに聞こえた動物の声と思っていた音は、みるみる近づいてくるのを感じる。


次の瞬間、俺の視界には巨大な猪が入ってきた。

その猪は恐らく俺が知っている猪ではない。


一瞬の判断だが、俺は知っていた。


「ユニークスキル発動!愚者の道(デッドマンロード)!」

大声を張り上げた。


何も起こらない。

猪は俺目掛けて突撃してきたが間一髪躱す(かわ)ことが出来た。


俺はすぐ様振り返り、猪に向かってこう叫んだ。

「ユニークスキル発動!愚者の仮面(デッドマンマスク)!」


なにも起こらない。


俺のユニークスキルは、この危機的状況で何の役にも立たない代物だった。


「えー・・・」


だが猪は大木に突っ込み、運良く猪の角が大木にめり込み動けない様子だ。


俺は一目散に逃げ出した。

全速力の敗走である。

道中、走馬灯の様なものが掛け巡る。


サッカーボール。


初めてのゴール。


母親の顔・・・。


そして、獰猛な猪の姿。


どう考えてもあれは魔獣だ。

絶対に普通の動物じゃない。

体長はどれぐらいあったんだろう。

やはり本当に異世界に来たのだと実感した。


情けないが俺は敗走に成功した。

命からがら逃げ延びたのだ。


「いや、情けなくはないな」

むしろ自分を褒めてやりたくなった。




愚かな人間の君へ

聞こえているか?




声が聞こえた。

聞き馴染みのある声だ。


「聞こえてるよ!」

「ここどこ?!」

「あれ何?!」

「何時?!」

「誰?!」


久々に安心したからだろうか、質問が湧いて出た。




最も険しい道を行く愚かな人間の君には、私の力が必要だ。




そう声が聞こえた途端、背後に気配を感じた。


俺はゆっくり振り返った。


そこには1羽のスズメの様な小鳥がいた。


「アレン様、私が見えませんか?」

確かに小鳥が喋っている。


「スズメ?」

「申し訳ありませんが、スズメが何かはわかりません。」


この小鳥が喋っているのは確かなようだ。


「君の名前は?」

「名前はまだありません。」


こういう状況にも段々慣れてきた。

「じゃあ君は何者?」

「私はアレン様の愚者の道(デッドマンロード)です。」

「アレン?」

「そう、アレン。貴方様のお名前です。」


そうだ。俺はアレン=ロスリック[16才]だ。

自分の名前にはまだ慣れない・・・。


「ステータスはご覧になりましたか?」

「あ!見たよ。言われた通りにステータスオープン!したんだよ」

「言われた通りとは分かりかねますが、愚者の道(デッドマンロード)の事をご存じなようで安心しました。」


何か違和感のある喋り方だし内容だしツッコミどころは満載だが、そんなのは後でいいだろう。


愚者の道(デッドマンロード)って小鳥が出てくるスキルなんだね」

内心ガッカリはしたが、小鳥への気遣いもしておこう。一応な。


「厳密に言うと違います。愚者の道(デッドマンロード)とは、アレン様の選択肢を明確にするスキルです。そして私は、それをサポートする為の存在です。私自身も愚者の道(デッドマンロード)の一部です。」

「・・・はぁ。」


どうやらこの小鳥が俺のスキルである事は間違いないらしい。

スキルの内容についてはよく分からないが、まぁそんなもんだろう。

違和感はあるけど、喋れる小鳥とのスローライフも悪くは無いか。


「それじゃあなんで小鳥なの?」

「アレン様が私をお呼びくださった時に、アレン様の近くをこの姿の小鳥が飛んでおりましたので容姿をトレースしました。」


おいおいマジかよ。

容姿をトレースって・・・。

さっきのユニークスキル発動!ってちゃんと聞こえてたのね。

発動するまで時間にラグがあるのが愚者(デッドマン)らしいな。


「じゃあ人間の姿にもトレース出来るの?」

期待に胸が高鳴り、心臓の鼓動は早くなる。


「申し訳ありませんが、今は出来ません。」

「そっかぁ・・。」

この気持ちは来るべき日が来るまで胸にしまっておこう。


「アレン様、もしよければ私に名前をくださいませんか?」

「そうだなぁ」


ー愚者の道を発動しますー


無機質な声が聞こえた。


ー小鳥は貴方のこれからを支える相棒となってくれる事でしょうー

ー貴方の進む道のりを示す道標を選んでくださいー


火の小鳥(サラマンダー)

水の小鳥(ウンディーネ)

風の小鳥(シルフ)

土の小鳥(ノーム)

光の小鳥(ウィル オ ウィスプ)

闇の小鳥(シェイド)

無の小鳥(トロイ)


俺の知識が正しければ、これは精霊の名前だ。

愚者の道は精霊の力を扱えるのか?

であればどうしよう・・・。

四大属性が無難だよなぁ。火の魔法とか使ってみたいし。

でも光とか闇とか何だか心が疼くよなぁ。

無は何だろう。でもコイツの名前としてしっくり来るのはこれだよなぁ。


「君の名前は今日からトロイだ!」


無の小鳥(トロイ)をインストールしていますー

ーしばらくお待ちくださいー


この無機質な声の正体は分からないが、トロイの姿が変わっていく。


ーインストールが完了しましたー


トロイは元の姿よりもさらに小さくなった。

大きさはテニスボールくらいか。


「ありがとうございます、アレン様。」

トロイは小さな羽を精一杯はためかせ、喜びを表現している。

何とも可愛らしい。


アレンとトロイ

1人と1匹の旅は、人知れず森の中で始まる事となった。

身体情報ステータス

氏名ネーム

アレン=ロスリック[16才]


称号タイトル

転生者デッドマン


種族レイス

人間族ヒューマン


職業ジョブ

愚者デッドマン[Lv.1]固有技能


身体能力(ポテンシャル)

総合力(TP)(トータルポテンシャル):200

生命力(HP)(ヒットポイント):100

魔力(MP)(マナ):10

持久力(STA)(スタミナ):10

精神力(MNT)(メンタル):10

筋力(STR)(ストレングス):10

敏捷(AGI)(アジリティ):10

技量(TEC)(テクニック):10

知力(INT)(インテリジェンス):10

魅力(CHA)(カリスマ):10

感覚(SEN)(センス):10

幸運(LUC)(ラック):10


技能スキル

愚者の道(デッドマンロード)[Lv.1]固有技能(ユニークスキル)

愚者の仮面(デッドマンマスク)[Lv.1]固有技能(ユニークスキル)

愚者の指輪(デッドマンリング)[Lv.1]固有技能(ユニークスキル)

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