第03話 作戦決行!
驚いた。本当にどうにかなってしまったのか俺は
「いいえ私だけではありませんよ、しかし人間としゃべるのは初めてです。それよりあなた、私の願いを聞いてもらえませんか?」
と俺はリングに頼み事をされた。何とも不思議な気分である。
「私はもともとある女性がつけていたものなのです。しかしこの悪党に盗まれそのまま私もこの薄暗い部屋に閉じ込められてしまいもう何十年もこのままなのです。何とか元の持ち主のところまで私を送り届けていただけないでしょうか。」
「そのある女性っていったいだれなんだ?それに助けてやりたいのはやまやまだが見ての通り俺もここから出れない。悪いが力になれそうもない。」
俺はガシャガシャと塀を揺らしながら答えた
「マーガレットという女性です。私はある方からマーガレットに送られました。それは大事に使っていただきました。だから私は帰らなくてはなりません!それに策ならあります!耳を貸してください。」
と言葉の通り耳を近ずけ作戦を聞いているがのち気が付いた
「いや、俺しか聞こえないなら耳近ずける意味なくないか?」
「た、確かに。この作戦で行きたいと思うのですがいかがですか?」
俺は少し考えこんで口を開く
「俺のリスク高すぎだろ!第一、捕まったらしばかれるの俺だけじゃないですか!」
「大丈夫です!その時は私も一緒に!」
「ものでも痛さとかの感覚ってあるんですか?」
俺は失礼かもしれないが気になったことを聞いてしまった。
「私たちにはそのような感覚はありません。しかし感情はあります。投げ捨てられれば悲しいですし、使えないと言われれば怒ります。」
じゃあ結局痛いのは俺だけじゃないかと思ったが言わないことにした。
「一晩だけ考える時間をくれ、」
うつむいながら言うとリングは「はい。」とだけ言って静かになった。
せんべいよりも薄い布団で横になり俺は考えた。考えたが答えは出なかった。まだ酒が少し残っているのかそのまま寝てしまった。
「おい1この服渋くね!」
俺が同僚に興奮しながら両手でスウェットを見せつける
「いや穴開いてんじゃんか!確かに渋いがこれじゃあ着れねえよ。」
穴の部分をすりすりと触りながら同僚は答えた
「それがいいんだよ!味ってやつだ!それにこいつはまだ着れるって雰囲気出してるだろ!え?5万!たっか!」
俺は目を覚ました。懐かしい夢を見た俺はこんなにもはしゃいでいたのかと恥ずかしくなったが同時にいつか、どこかに置いてきてしまった重要なことを思い出した。
バキバキの体を背伸びをしてたたき起こし、豪快に立ち上がる。こんなに体は鉛のように重たいのに心は雲のように軽く真っ白だった。
「よし!リングさん!おれやるよ!もう前みたいにはならない、俺は俺の人生を進んで見せる!」
作戦決行だ。まずは監視をこちらに呼ばなければならない。俺は狂ったふりをした。
「もうだめだー!俺が悪かった!助けてくれー!」
見事にこちらに監視がこちらに来て出口を開ける
「おい!静かにしろ!後で食いもん持ってきてやるからよ!」
監視が背を向けたその瞬間、出口から脱出し閉じ込めることに成功した。
「お、おまえ!だせ!だしやがれ!ただで済むと思うなよ!」
俺はそんな声を気にせずに門まで突っ走る
「やりましたね!リングさんが言った通り間抜けな監視が一人だけでした!後は隠し通路まで行ければ俺たちの勝ちですね!」
勝機が見えてきた。俺でもやれる。そう思った。失われた勇気が体に戻ってきた感覚があった。
おい!いたぞ!見つかってしまったが問題ないここの角を曲がれば、
「な、隠し通路がない、、なんで」
傭兵の一人が答える
「隠し通路?あったなそんなもん。確か20年以上前に建て直されて亡くなったんじゃなかったか。しかしなぜおまえがしっている!こい!」
俺は首根っこをつかまれた。結局こうだ。気合が空回りして失敗するいつもいつもいつも」
俺はまた王室に連れていかれた。王様は見るからに怒り散らかしている。もうただでは済みそうもない。
「またお前なのか、もうよい!こやつを打ち首にしろ!」
俺は覚悟を決めた。もういいのだ最後に勇気を出せた、それだけで、
「まだです!私の言うことをそのまま口にしてください!」
リングが俺に言い放った。俺は言う通りに言われたことを口に出した
「マーガレットはどこ?」
王様のの先ほどまでの怒りに満ちた表情は消え真顔になった。
「い、今何と言った!」
「あなたはいつもマーガレットにやさしくした。彼女は体が弱く幼いころからベットで寝たきりだった。そんな彼女にあなたはたくさんの外の世界の話をした。そしてある贈り物をした。それがこれだ!」
俺は指からリングを外し王様のほうに向けた
「なんだそのボロボロのリングは!そのような汚いものを王様が送るわけがないだろ!嘘をつくな!」
傭兵がリングを叩き落とそうとすると
「まて!それをよく見せろ!」
王は突然立ち上がり急いでこちらに近づいてきた。そしてリングを手に取り裏を見た
「Dear,MARGARET そうだ私が彼女に送ったものだ。ずっと探していた。彼女との大事な大事な思い出の品だ。おまえ、これを一体どこで見つけた!」
王様は俺の肩をグイとつかみ顔を近づけてきた。その目は少しうるんでいた。
「地下の牢屋にいた泥棒が持っていたんだ。ずいぶん高級そうなもんだなって思って。」
「そうかそんな近くに、そんな暗い場所で、私は何十年も探し回った。しかし見つからなかった。私はこれ以外何もいらないと思うくらいこのリングを見つけたかったのだ。」
王様は倒れこみながらリングを大事そうに握りしめた。リングは一体どんな気持ちなのだろうか。俺にはもう声が聞こえなくなっていた。
「いつまで私の恩人を縛り付けているのだ!早くはなさぬか!」
急いで手錠を外され俺は自由になった。
「なんとお礼を申し上げればよいか、何か私にできることがあればなんでもする!何か私に礼をさせてはくれぬか!」
俺の手を力ずよく握ってきた。その手にはリングを持っていた
「マーガレットは今どこにいるのかきいて!」
突然またリングの声が聞こえてきた
「あの王様!マーガレットさんは今どちらに、、」
王様は顔を下げながら答えた
「ここではなんですから別のお部屋でお話しさせていたいただきます。ささやかですがお料理も用意させていただきます。」