第01話いつから俺はこんなに
「おまえいい加減にしろよ!この前も同じこと言ったよな!やる気あんのか?いつまで大学生気分なんだ?もう5年目だぞ!」
大声がオフィスに響きわたる
「また怒られてるわ高木さん、私たちよりも先輩なのにねえ」
「入社した時は期待されてたのに今ではこのざまだ」
ひそひそと罵られる。いつものことだ
「すみません!次からは気を付けます。」
これもいつものように思いもしない言葉をかえす。そして自分への突き刺さるような視線を抜けて自分の席に戻る。そしてため息をついた。
〈居酒屋にて〉
「なんであんな些細なことで毎回毎回怒られなきゃいけないんだ!こんな安月給で働いてやってるだけでもありがたいと思えよ!」
「大体俺は、、、
そう愚痴を垂らしていると横から 同僚が呆れながらいう
「お前ぐちぐちと口ばっかでなんも行動しないヘタレだよ。大学の時のお前はどこいったんだよ!俺はあの時のお前といるのが最高に好きだった!輝いてたよ!同僚は場所も気にせず持っていたジョッキをテーブルにたたきつけた
俺は何も言い返せない
「俺、この会社辞めて店始めるんだ。大学の頃からコーヒー好きだっただろ?みんなと1日中店まわってそのあとに飲むコーヒーが好きだったんだ。」
俺は驚いた。何も言えない。いう資格もない。俺にはこんな覚悟はない
「じゃあな。このヘタレ野郎」
投げ捨てるように言葉を吐いて店を出て行った同僚
やはり俺は何も言えない
家につきまたビールを開けた。500mlを一気飲みする
「なんだよあいつ大体大学の頃から無口でTHE安定みたいな性格してるくせに店やるだと!そんな度胸、、あったんだな。」
顔を横にやると一枚の写真が目についた
「あの頃はたのしかったなあ、」
その写真には大学生の頃の同僚と俺と同じ学部の友達が写っていた。俺と同僚はロン毛で俺は黒髪で野暮ったく、同僚は銀髪で髪を結わってサイドだけおろしていた
「この時の俺似合ってなさすぎだろ。あんときはイケてるっておもってたのになあ、」
俺は苦笑いした。胸が締め付けられた感覚と同時に頬に何かが垂れた。俺は鏡を見た。
「ああ、もどりてえ。戻りてえよ。こんなはずじゃなかったのに。チクショウ。」
鏡に映ったのは写真の見る影もない短髪で汚いひげをした哀れな泣きっ面だった。
その場にうずくまった。しばらくして顔を上げると部屋の角にあるクローゼットを見つけた。
「そいえばスーツばっかで休日はほぼダル着だったから切れてなかったな。久しぶりに来てみるか。」
丁寧にたたんであるデニムをパン!と広げて着てみる。
「さすがいいデニム生地はちがうな!なんていうかスーツより動きずらいはずなのに今すぐ出かけたくなるな!」
舞い上がって鏡の前でポーズをとっていると一着のアウターに目が行った。
「確かこれは結構前に行った古着屋で買ったやつだ。何年のどんなやつかわかんなかったけど妙に雰囲気があって買ったアウター。着てみるか!」
袖を通すと妙にぴったりときた
「お!ぴったりじゃん!ん?ぽっけになんかはいてるぞ。なんだこれ?」
ごそごそとポケットから取り出すと小さな石が入っていた。何か文字が書いてあるがよく見えない
「なんだこれ?日本語?じゃなさそうだな?」
こすってみた次の瞬間急に石が青く光り輝き、あたりが真白になった。
「ありがとう。本当にありがとう。」
微かに聞こえたその声はどんどん遠くなっていく。は!目を開くとそこは先ほどまでいた部屋ではないどこかだった。
まるで現代とは思えない服装、景色、人々。ここは一体どこなのだろう。まるでそう異世界のような。いや待て、まるでではない。まさに
「異世界い!!!!」