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VRMMOでものづくり始めました  作者: SAK


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VS鉱石喰らい

「なんだか凄いことになってるな……」


 翌朝、朝食を食べて掲示板を見ていると、小さい鉱石喰らいについてのスレッドが目に入り、それを読み進めている。既にスレッドのレス数上限である1000を超えたものが複数あり、とりあえずは最新のPART12を読むことにした。

 どうやら、俺が寝た後に鉱石喰らいがパワーアップしたらしく、最大3匹の小さい鉱石喰らいがお供として出現するようになったのだ。


 『最大』というのは、パーティー編成によって出現数が変わるためだ。

 1人で鉱石喰らいに挑めば小さいのは1匹、2人なら2匹、3~4人なら3匹となっている。

 鉱石喰らい側も最大4匹ということは、パーティーでの対決を意識しているんだろうか?


 しかし、鉱石喰らいが1匹で出現することもあるようで、その辺りは今現在検証を進めているところらしい。

 もしかすると、累計ダメージによって鉱石喰らいの戦闘内容が変わるのでは、と予想されているようだ。

 深夜に起きていたプレイヤーはイベントガチ勢が多いため小さい鉱石喰らい付きが相手で、俺みたいに今起きたイベントライト勢は鉱石喰らい1匹が相手なのかな。


「とりあえず、アトラスさんを誘って様子見してみるかなあ」


 一応、ボス部屋からは撤退できるようになっていて、俺たちが掘った穴が共通の通路としてマップに固定されているのだ。

 ちょっと様子見をして撤退すれば被害はない……んだけど、そこから地上まで戻らないといけない。

 そのため、どうせなら鉱石喰らいと戦闘をして、全滅するまでダメージ稼ぎをする人が多いのだとか。


 ただしこのゲーム、デスペナルティが重めなので俺は撤退するかなあ……ダンジョンを逆走すればフロアボスもスルーできるし。ついでに隠し部屋のアイテムも回収できるので若干お得感はある。

 ……ということで、俺はアトラスさんにメッセージを入れるのだった。




**********




「おれたちもまだ鉱石喰らい1匹だけだったな」

「ですね、予想通り累計ダメージで変化する感じでしょうか」


 俺たちは即座に撤退し、隠し部屋の宝箱を回収しながら話をする。

 ……あ、蘇り草だ。ラッキー。


「パーティー内での累計ダメージ合計か、パーティー内で最も高い累計ダメージ参照が濃厚だろうな」

「なるほど、累計ダメージが高い人が低い人を3人連れていって調整したら、累計ダメージ稼ぎができますもんね」

「累計ダメージランキングがあるから、そういうズル……ってほどズルではないが、仕様の隙を突いたことはできなくなってそうだ。お、こっちも蘇り草だ」

「……ということは」

「うん?」

「……あとで、バイスさんの所に行ってみましょう」

「あー……そういうことか」




「おう、コウとアトラスじゃねえか。ちょうどよかった、困ったことになっててよお……」

「小さい鉱石喰らいのことですか?」

「……お前、人の頭の中が読めるのか?」

「いえ、他の冒険者も同じことで困ってまして……」


 どうやらバイスさんも累計ダメージが多くて、小さい鉱石喰らいが出現するようになったようだ。

 しかも、なぜか1匹ではなく3匹も。1対4ではさすがに人造ゴーレム試作一号機といえども苦戦するようで……。


「コウ、アトラス、悪いがお前らの力を貸してくれねえか?」

「おれたちよりも強い冒険者はたくさんいるぜ?」

「いや、お前らがいいんだ。オレにアイテムを提供してくれる冒険者は多いが、お前らみたいに親身にはなってくれなくてよ」


 あー……イベントだからアイテムだけ渡して、はいさようならする人が多いのか。

 確かに効率を考えたらそうなんだろうけど……。


「分かりました、足を引っ張るかもしれませんが、俺たちでよろしければ力になります」

「そうか、そりゃあ助かるぜ。……あ、ついでに人造ゴーレム試作一号機の装備を新調したくてよ……特に、小さい鉱石喰らいが厄介だから、でっかい盾が欲しいんだよな。できれば丈夫なやつがいいんだが……」

「属性は地属性ですか? 鉱石喰らいからのダメージを軽減するのが目的ですよね?」

「ああ、いい素材があったら教えてくれ」

「……コウ、アレはどうだ?」

「……ああ、そういえば!」


 そういえば最近、うってつけの素材をもらったんだった。

 何を造ろうか悩んでたけど、バイスさんの悩みを解決するにはこれが一番だろう。


「お、何かいいものがあるのか?」

「はい、これです!」


 俺はアイテムボックスから、エルダートレントさんにもらった枝を5本全部取り出す。

 すると、バイスさんは驚いて腰を抜かしてしまった。


「オイオイオイ、エルダートレントの枝だあ……? しかも5本も……?」

「ゴーレム……もとい人造ゴーレム試作一号機が使う大きさなら、これぐらい必要だと思いまして」

「……はー、マジかよ……コウ、お前らどんだけ凄い人脈持ってるんだ」


 誰かの悩みを解決してたらいつの間にかできておりました。

 偶然に偶然が重なったとはいえ、俺もマジかよと思っているのは確かだ。


「これを加工して盾を造ることはできますか?」

「ああ、もちろんだ。……つっても、流石に時間はかかるが……そうだな、夕方ぐらいにまた来てくれ。それまでには仕上げておくからよ」

「分かりました。それではアトラスさん、アテナさんにも連絡しておきましょう」

「おう、おれも鉱石喰らいの準備をしなきゃな。おれたちは小さいやつがメインだから、補助アイテムを多く作っておきたいな。あとは、夕方までに掲示板の最新情報をチェックしておくか」

「俺はマジックポーションをメインに作っておきます。おそらく多用することになりそうなので」


 こうして、俺たちは夕方に向けて準備を始めた。




**********




「おう、準備はできてるぜ」

「こちらも準備完了です。盾の方はどうでしたか?」

「ああ、もちろん最高のものが造れたぜ。これだ」


【エルダートレントの盾:ランクA、地属性+60、風属性-60、MP+45、生命力+225、魔防+41、装備条件『力200以上』、複数のエルダートレントの枝から造られた巨大な盾。巨大なので力がないと装備することができない。というか、普通の人では持てても大きすぎて移動が困難になるので、使わない方が無難。やるなよ、絶対にやるなよ!】


 ……もうツッコまないからな!


「……コウさん、そういえばこのゲーム、防御力じゃなくて生命力なんですよね。ちょっと不思議です」

「攻撃にどれだけ耐えられるか=生命力って感じなんでしょうね。生命力が上がるとHPもあわせて上がるので、便利といえば便利です」

「おれとしては、ビキニみたいな鎧なのに全身鎧(フルプレート)より防御力があるのが不思議だったなあ」

「あ、それ分かります」


 ……と、俺たちが脱線している間にバイスさんは人造ゴーレム試作一号機の装備を準備していく。

 クレセントアックスとエルダートレントの盾で武装した人造ゴーレム試作一号機は、さながらスーパーロボットのようだ。


「これで鉱石喰らいに致命的なダメージを与えてやるぜ!」


 人造ゴーレム試作一号機はクレセントアックスを天に掲げる。

 バイスさん、ノリノリだなあ。


「……ってことで、コウたちもいけるか?」

「ええ、充分な準備時間は頂きましたし」

「私はアラクネネットを多めに持ってきました。いつか自分で使うだろうと思ってた分も確保してましたので、3人に2個ずつ配っておきますね」

「お、ありがてえな。できればでっかい方の鉱石喰らいに使いたいが……」

「小さい方は俺に任せてください。対策は考えてきてますので」


 鉱石喰らい+小さい鉱石喰らいのパーティーを相手取るために、スキルとアイテムを見直してきたからね。

 思い通りにいけば小さい方は俺が封じ込められるはず。


「ほーう。それじゃコウ、頼りにしてるぜ!」

「ええ、バイスさんは大きい鉱石喰らいをお願いします」

「任せときな! よし、それじゃポータルで突入だ!」




**********




『お、新しいパーティーが来たみたいだぞ』

『ええと……コウ、アトラス、アテナ……ってことはたらしさんパーティーか』

『珍しいな、今回は後方支援やってたイメージだったんだが……っておい! ゴーレムまでいるじゃねえか!?』

『このゴーレム、どこかで見たような気がするが……』

『あ、人造ゴーレム試作一号機じゃないか? ルァイドに入る前に戦ったから見た覚えがある』

『ってことは乗ってるのはバイスなのか? バイスってイベントで単騎で戦ってるかと思ってたんだが』

『NPCまでたらしこむとは……さて、どんな戦いになるか楽しみだな』

『見せてもらおうか……バイスの人造ゴーレム試作一号機の性能とやらを!』



 ……などとウォッチされているとは露知らず。俺たちは鉱石喰らいとの戦闘に入るのだった。

 構成はバイスさんが単騎の時と同じく、鉱石喰らいと小さい鉱石喰らいの4匹パーティーだ。

 鉱石喰らいたちは俺たちに気付くと、小さい鉱石喰らいがアテナさん(後方支援職)めがけて攻め寄ってくる。


「それではいきますよ……─────ッ!」


 俺は鉱石喰らいが範囲内に入るのを確認すると、スキルを発動する。


『ギ……ギィィィィッ!?』


 すると、3匹の小さい鉱石喰らいのうち2匹が反転し、大きい鉱石喰らいに向かって突進を始める。


『ギッ!?』


 突然の仲間の反乱に取り残された1匹の足が止まる。

 俺はその隙を見逃さず、残りの1匹にポーション(失敗作)を投擲する。


『ギ……ギィィィ……』

「よし!」


 俺は残った1匹が状態異常で行動不能になったのを確認すると、スキルをニアからライアに付け替え、更にポーションオブフォレストを飲んでMPの自動回復を発動させる。

 さっき俺が放ったスキルはニアの『金切り声』。50%の確率で範囲内の敵を混乱させるスキルだ。

 小さい鉱石喰らいに状態異常が通るのは先ほど掲示板で確認していたため、有用だろうと判断した。


 50%なら複数回使えば複数匹が混乱するはずなので、残った敵にポーション(失敗作)を投げるか、ライアの『バインド』を使うかすれば全員が行動不能になると思ったのだが……初手で2匹が混乱したのは運が良かったな。


「バイスさん、俺たちが援護しますので鉱石喰らいをお願いします」

「……よし、スピードアップ!」

「おお、身体が軽いぜ! ……よっしゃあ!」


 アトラスさんの速度バフを受けたバイスさんは、小さい鉱石喰らいを追い抜きながら鉱石喰らいに向かって突撃していく。

 鉱石喰らいは大きな腕を前にして防御を態勢を取った。


「バインド!」

『ギッ!?』


 しかし、俺はバイスさんが斧を振り抜く方の腕をバインドで引き離す。

 地属性のモンスター相手なので、さすがに一瞬でバインドの効果は切れてしまうのだが……。


「喰らえ!!!」


 その隙をバイスさんが見逃すはずがなく、斧の一撃がクリーンヒットして鉱石喰らいがダウンする。

 そこに混乱した小さな鉱石喰らいたちが追い打ちをかけていく。


『ギィィィ!』


 鉱石喰らいは小さい鉱石喰らいたちを吹き飛ばし、態勢を立て直す。

 そして、大きな腕でバイスさんに反撃するが……。


「……ふん、そんなものか」


 鉱石喰らいの腕は、エルダートレントの盾で完全にシャットアウトされる。


「これで!」


 鉱石喰らいの注意がバイスさんに向いている隙に、俺たちは鉱石喰らいの背後に回り込む。

 そして、アテナさんの無機物操作で地属性の籠手を動かし、籠手に持たせた風属性の大剣で鉱石喰らいの背後から斬りかかる。


『ギャッ!?』


 アテナさんの不意打ちに鉱石喰らいはよろめき、そこに更にバイスさんの追撃が入る。




『……おいおい、たらしさんたちめっちゃ優勢じゃないか』

『これは今後の戦闘の参考にさせてもらおう……』

『しかし、バインドはともかく金切り声って誰のスキルだ?』

『ログからスキル所有者を見てみるわ…………バンシー?』

『……ほぼたらしさん限定の戦術だな……うちのパーティーに一時的に参加してくれないかな』

『うう、俺もバンシーをペットにしたい……かわい過ぎるだろ……』

『お巡りさんこの人です』

『うわなにをするやめr』



 ……などと掲示板が賑わっている間にも俺たちの戦いは続き、徐々にアイテムが消耗していく。

 そして、とうとうアイテムとMPが尽きる時がやってきた。


「バイスさん、次でアイテムがラストです。渾身の一撃をお願いしますね」

「おお! 任せとけ!」

「いきます! アラクネネット!」


 俺は鉱石喰らいにアラクネネットを投げつけると、アラクネネットが鉱石喰らいの動きを封じる。


「うおおおおお! 喰らいやがれええええ!!!」


 バイスさんはエルダートレントの盾を投げ捨て、クレセントアックスを両手で持って助走をつけて鉱石喰らいに突進する。

 そして、直前でジャンプし、鉱石喰らいの脳天に斧を振り下ろす!


『ギャアアアアアアア!!!!』


 バイスさんの渾身の一撃が決まり、鉱石喰らいが叫び声をあげる。

 そして、同時にバイスさんのクレセントアックスが砕け散る。どうやら使用回数がちょうど切れてしまったようだ。


「よし、引き上げるぞ!」

「はい!」


 俺たちは通路に引き返すが、バイスさんはゴーレムに乗ったままどうやって帰るんだろうと見ていると、ポータルから帰還していた。

 えっ、NPCってポータル使えるの……? 俺たちは制限されてるのに……?


 ……などと考えていると、鉱石喰らいがダメージから立ち直ってこちらを探し始めたので、俺たちはおとなしく通路から帰還するのだった。

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― 新着の感想 ―
ポリスメンに通報しないと駄目そうな人が視聴者に居ますねw。
え?NPCはポータルを使えるの?って、使えなきゃバイスが危険か。 クレセントアックスが壊れちゃったから、作ってあげないとですね。プレイヤーに恩恵は十分にあるんだし。 そして失敗作のポーションの威力が……
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