イベント報酬
【INFO:特殊ダンジョンの攻略者が一定数に達したため、下記のイベント報酬を配布いたします】
・新規プレイヤー素体:ドワーフ
・各種属性鉱石:10個
・ハイマジックポーション:10個
【INFO:ダンジョン内のマッピング、モンスターの調査に関しては引き続き行っています。まだ発見されていないモンスターもいますので、引き続きお楽しみください】
「へえ、ドワーフになれるようになったのか……力と生命力が高いのと、鍛冶が少し得意になるのか。アトラスさんは今は人間だけど、ドワーフに変更したりするのかな」
ちなみに素体は今のところ、人間、獣人、エルフが存在していた。
人間はオールラウンダー、獣人は物理アタッカー、エルフは魔法アタッカー、ドワーフは物理アタッカー寄りの装備造りサポート、という住み分けだ。
もちろん、獣人で魔法を使っている人もいるし、エルフで物理アタッカーの人もいる。
あくまでそういうステータス傾向なだけで、レベルアップボーナスを自由に割り振ることで、好きな見た目で好きな役割でプレイできるのも、ワールドクリエイターズのいいところだ。素体変更は課金要素だけど。
「それにしてもちょっとここが気になるな……」
そう、アナウンスされた中にある『まだ発見されていないモンスターもいます』という部分だ。
もしかしたら、ペットモンスターにできる可能性もあるわけだし……。それに、ケット・シーやクー・シー、デュラハンなどなど、あのダンジョンに棲むモンスターは魅力的なキャラが多い。
ケット・シーをペットモンスターにする方法、アテナさんが知りたがってたから、今度アトラスさんも誘ってまた潜ってみようかな。
「……そういえばスコールをキングウルフさんに預けて今日で3日か。様子を見に行ってみるかな」
俺はキングウルフさんのいる村に向かうことにした。
**********
「おお、コウか。スコールの件か?」
「そうです、様子を見にきました」
「ちょうどいい所にきたな。無事に習得できたぞ」
「がう!」
スコールは得意げにトランプの札をふわふわ浮かせて俺に見せてくる。
どうやら、完全にマスターしたようだ。
「ただ、MPを消費するのでトランプで遊ぶ時に使えるのは3回ぐらいだな。MPの上限を引き上げることができれば、もう少し長く使えるだろう。それと、同じスキルを使い続ければ、効率よく動かせる方法が分かり、より少ないMPでスキルを使うことも可能だ」
「分かりました、ありがとうございます。お礼はクイーンビーのハチミツを3つ追加しておきますね」
「うむ……ククク、これでしばらくは舐め放題だな……」
最後の方は小声だったけど、聞こえてますよ……欲望を抑えきれてない……。尻尾もブンブンしてるし。
でも、これでやることは決まったかな。スコールのレベル上げ、マジックポーションの生産、マジェネ効果のあるポーションオブフォレストの生産……これでスコールも一緒にポーカーなどで遊べるぞ。
……あと、的当ての最終調整もしないとね。しばらく属性装備などにかかりっきりだったし。
「そういえばコウ、向こうで作業をしていたがまた何か新しいイベントをするのか?」
「ええ、的当てのイベントをしようと思いまして……」
「……称号は?」
「俺たちから上の者に運営を移管する時にはおそらく追加されると思います」
「なるほど、いいことを聞いたぞ」
……キングウルフさん、いつの間にやら称号マニアになってないか……?
いや、確かに称号を集めるのは楽しいから気持ちは分かるけどさ。
それにしても、ペットモンスターでないモンスターでも称号って取得できるんだなと改めて思う。キングウルフさんが上位種という特殊な個体だからかもしれないけど。
「それではスコールへのご指導ありがとうございました。俺はこれから的当ての調整に行ってきます」
「うむ、楽しみにしているぞ」
「あ、コウさん。最終調整の準備はできてますよ」
「ありがとうございますレックスさん。しばらく来られなくてすみませんでした」
「いえいえ、コウさんのおかげでブラウニーやノームがペットモンスターにできるようになりましたし、属性素材の造り方も判明したので、お礼を言わないとと思ってたところですよ」
「そう言って頂けるとありがたいですね。ところで、少し相談があるのですが……」
「はい、なんでしょうか?」
俺は属性素材を使った的を使えば、一部の的の耐久力を上げられるのではと説明した。
例えば地属性のペットモンスターを連れて参加する人の場合、シードバレットでペットモンスターが的を攻撃したら、使用回数の減り方が抑えられるのでは、ということだ。
「なるほど、的を造るにも素材が必要ですもんね。運営に移管した後ならまだしも、自分たちで運営している時には的の製造費もバカになりませんし……」
「なので、属性素材を使えば費用も抑えられるかなと……一部の人たちには、属性素材の無駄遣いと思われるかもしれませんが」
「まあ、確かに贅沢な使い方ではありますね。でも、属性素材を造る練習にもなりますし、僕もやってみますね。水属性の素材ができたら、ウンディーネのウィンも喜んでくれるかなと思ってましたし」
確かに、それぞれのペットモンスターに合わせた属性素材で造ったものなら、喜んでくれるかも。
俺もみんなの属性に合ったアクセサリーを造ったら喜んでもらえたし。
……あ、せっかくだから知り合いの地属性の人たち……クイーンドリアードさんやバンシーさんたちにも造ろうかな? 俺にとっては練習にもなるし。
「それでは俺も調整に参加しますね。ついでに地属性の的を造って耐久力テストもしましょう」
「分かりました、よろしくお願いします」
こうして、俺は的当ての調整を始めるのだった。
属性付きの的に関しても調査してみたが、やはり地属性の的は地属性の攻撃だと使用回数の減りが抑えられることが判明した。
更に、地属性の補正値が高いほど使用回数の減りが抑えられるようで、こちらも有益な情報かな。
イベント後はすぐに運営に移管する予定だから属性付きの的を大量に造る意味は薄いのだが、今後もイベントを考えていくうえではこの情報は大事になってくるだろう。
**********
「──よし、こんな感じかな」
的当てイベントの最終調整を終えてホームに戻ると、俺はブローチを造っていた。
まずはお試しとして付き合いの長いクイーンドリアードさんとアドヴィス森林のバンシーに贈る予定だ。
……喜んでくれるといいんだけど。
もし好評なようなら、バンシーさんやクイーンビー、アルラウネさんやエルダートレントさんのも造ってみようと思っている。
ちなみに先ほど言ったように、ライア、レイ、ブラウンのブローチはアルテミスさんに造った後に既に作製済みだ。
……ブローチを手に入れたアルテミスさんが喜んでいるのをライアたちに見られてたからなんだけど。
スコールのも造る予定ではあるんだけど、風属性の素材を造るには、まずは風属性の装備を造らないと。
「それじゃみんな、出かけようか」
「きゅー!」
俺はクイーンドリアードさんたちにブローチを渡すためにホームから出発した。
「ほう、これはこれは……」
「いかがでしょうか?」
「うむ、良いと思うぞ。ただ……」
「ただ?」
「ワシの胸はもう少し大きいぞ。ちゃんと実物を見せてやるから次はもう少し大きくじゃな……」
「わ、分かりましたから脱がないでください!」
「きゅー!」
……まったく、クイーンドリアードさんときたら。
確かに初めて会った時は裸だったけど、今はもう服を着てる方が見慣れているんだから、見せられたらこっちの方が恥ずかしくなる。
ライアが後ろから手で俺の目を隠してくるので、そもそも見えないんだけども。
「ふぇー!」
……と、そんな会話をしていると、今日は1人でバンシーが遊びに来たようだ。
ちょうどいいタイミングだと思い、俺はバンシーにブローチを渡そうと、アイテムポーチからブローチを取り出す。
「ふぇ!」
どうやらバンシーも自分を模したブローチと分かったようで、目を輝かせながらこちらを見ている。
「いつもお世話になってるからね。はい、どうぞ」
「ふぇー!」
ブローチを手に取ったバンシーは、大喜びで両手で掲げてくるくる回っている。
喜んでもらえてよかったな。
そして、ひとしきり喜んだ後に俺の方を見ると……。
【INFO:バンシーがペットにして欲しいようです。どうしますか?】
……え?
今までまったくそんな素振りを見せなかったバンシーが……?
俺はあっけにとられて反応が遅れてしまう。
「……いいの?」
「ふぇ!」
どうやら、バンシーの意志は固いようだ。
それなら。
「それじゃあ……君の名前はニアでどう?」
「ふぇー!」
バンシーは両手を上げて喜ぶ。どうやら気にいってくれたようだ。
ちなみに名前の由来はバンシーの別名のベン・ニーアから。もしペットモンスターになったらと以前から考えていたものだ。
「ほーう……また幼女を手籠めにしておるのう」
「クイーンドリアードさん、誤解を招く言い方は止めてください……」
「ワシは事実を言ったまでじゃが~?」
うう……まさかこのタイミングでペットモンスターになるなんて。絶対に弄られるの確定じゃないか。確かにライアもレイも幼いけどさあ。
……それにしても、どうして今ペットモンスターに……?
もしかして、『仲良くなったうえで、地属性のプレゼントをあげる』のが条件なのか……?
これはバンシーと仲が良い人たちに協力してもらって確かめないと。
……でも、まずは。
「それじゃあ、アテナさんに服を作ってもらいにいく?」
「ふぇ!」
今までも服は作ってもらっていたけど、ペットモンスターなら戦闘にも参加するし、できるだけいいものを着せてあげたい。
もちろん、杖やアクセサリーは俺が準備して、万全の状態でレベル上げをしたいところだ。
それにしても、プレゼントが条件かもしれないのかあ。
プレゼントをあげることで、敵意がないことを示すとかそんな感じなんだろうか?
もしかしたら、まだ条件が判明していない他のモンスターたちも、同じような条件でペットモンスターにできる可能性が……?
俺は可能性に期待に胸を膨らませながら、まずはアテナさんに連絡を入れるのだった。




