表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOでものづくり始めました  作者: SAK


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/90

属性装備の造り方

「ポータル、めちゃくちゃ混んでたなあ……」


 俺はポータルでルァイド……ドワーフの村に転移したのだが、新規発見の村だけあって、訪れるプレイヤーの多いこと多いこと。

 ただ、条件を満たせないのか、村に入れずに引き返す人も多いのだが……。


「あっ、ダンジョン初踏破者のコウさんじゃないですか! これからルァイドに行くんですか?」

「はい、ドワーフの技術で新しいものづくりができないかと思いまして」

「いつも楽しんで動画見てます! これからもがんばってください!」

「ありがとうございます、新しい技術が身についたら動画で共有しますね」


 ……特殊ダンジョンを初踏破してしまったものだから、いつの間にやら有名人である。

 タイガさんやタケルみたいなランカーギルドではないから、余計に話題になってしまったのだろう。

 俺は多くの人の注目を浴びながら、ルァイドに入っていくのだった。



「きゅー……♪」

「るー! るー!」


 初めて見る街並みだからか、ライアもレイも興味津々である。

 ブラウンはダンジョンにいた時にここにも来たことがあるのか、落ち着いている様子だな。

 ちなみにここは村の中だからか、ダンジョンとは違ってペットモンスターが出られるようだ。


「あら、かわいい子たちね。そちらの彼氏さん、うちで造ったアクセサリーはいかがかしら?」


 みんなで歩いていると、露店をしている人から呼び止められる。

 彼氏ではないんだけど……まあ、否定するのも面倒なのでスルーしておこう。下手に否定するとライアたちの機嫌を損ねそうだし。


「ライア、レイ、ブラウン、欲しいものはある?」

「きゅ!」

「る!」

「らー……らー!」


 ライアはリボン、レイはヘアピン、ブラウンは竜が剣に巻き付いたキーホルダー……って、なんでこの世界にもこれがあるんだよ?!


 ……とりあえず全部買ったけど、ドワーフ製だからなのかそこそこお高い。

 まあ、みんな喜んでるからいい買い物だったかな。ちなみにアクセサリーのステータス補正はなかなかのものだった。



 そんなこんなでちょっと寄り道はあったけど、俺は杖を造っているドワーフの工房にお邪魔する。


「おやおや、かわいい子連れの方だねえ」

「すみません、杖を拝見したくてお邪魔したのですが……よろしいでしょうか?」

「ええ、もちろんですよ。こちらにありますのでごゆっくりどうぞ」


 俺は老齢のドワーフの女性に紹介された杖のステータスをじっくりと見ていく。

 全ての杖に地属性の高い補正がついていて、俺が作った杖よりもステータスが全体的に高い……これがドワーフの技術力なのか……。


「ほっほっほ、いかがだったかしら?」

「凄いの一言に尽きますね……地属性が+60もされる杖なんて初めて見ました」

「実はそれを造るのにはコツがあってねえ……そうだ。まずは、あなたが造った杖を見せて頂けるかしら?」

「分かりました。それではこれをどうぞ」


 俺はアイテムボックスからトレントの杖を取り出し、ドワーフの女性に手渡す。

 女性はトレントの杖をじっくりと観察し、俺の方を見る。


「ふふ、いい仕事をしているわね。教え甲斐があるわあ」

「ええと……そういうのは秘伝とかではないのですか?」

「いいえ、わたしたちにとっては当たり前の技術なのよ。秘伝とかではないわ」

「そ、それではご教授いただければ幸いです」

「ええ、それではまずは……」


 俺は地属性補正……というか、属性全般の補正の付け方を教えてもらうことに。

 今までは属性鉱石や、風草などの属性補正が乗る素材を使うことで、属性装備を造っていたのだが……。


「実はね、素材に魔力を送ることで、素材に属性を持たせることが可能なの」

「魔力を送ることで……?」

「ええ、わたしたちドワーフは地属性の魔力を持っているの。だから、素材に魔力を送ることで、素材に地属性を付与することができるのね」

「なるほど……でも、俺たち人間は属性を持たないので……」

「あら、そんなことはないわよ?」

「えっ……?」


 でも、今まで属性を持った人間なんて見たことないんだけど……?

 ライアが椅子に魔力を送ったらドリアードの椅子が完成したことはあるけど、これはライアが地属性持ちだからだし……。


「装備をしたら、属性の補正が付くでしょう?」

「あっ……ああっ!」


 そういえばそうだ。

 ということは、素材に魔力を送る時に、属性装備で固めたら……。


「ただ、魔力を送る際は本当に繊細な調整が求められるの。慣れるまでにはかなりの時間が必要よ」

「いえ、そこは回数をこなして身に付けます! ありがとうございました!」

「どういたしまして。もし、杖ができたら見せに来て欲しいわね」

「分かりました、いの一番に来させて頂きます。……あ、情報のお礼をしたいのですが……こちらはいかがでしょうか……?」


 俺はトレントの枝を10本、切り分けたエルダートレントの枝を1本、ドワーフの女性に見せる。

 エルダートレントの枝は、キングウルフさんの歯で切り分けることができたものだ。歯が風属性だったので、地属性のエルダートレントの枝はサクサクいけた。


「これは……! エルダートレントの枝じゃないかい! まさかこの目で見られる日がくるなんてねえ……」

「そんなに貴重なのですか?」

「ええ、この村全員が今まで造った杖の中でも、エルダートレントの枝を使ったものは10に満たないぐらいね」


 ええ……エルダートレントさん、気楽にボキボキ折ってくれたんだけど……。

 これだと、クイーンドリアードさんの枝を見せたら何て言われるのか……。


「その枝は大きな枝を切り分けたものですので、よろしければ追加で提供も可能ですが……」

「それだとこちらがもらい過ぎになっちゃうからねえ……」

「それなら、こちらが枝を提供しますので、それで造った杖を割引価格で購入することは可能ですか?」

「ふむ……わたしたちとしては貴重な素材で杖が造れ、あなたは割安で杖を買えるわけね。……分かりました、こちらとしてもぜひお願いします」

「ありがとうございます。それでは追加の枝になります」


 俺は追加で枝を5つ渡し、工房を後にする。

 エルダートレントの枝、ランクがB+でもそこまで貴重なんだな……。



 その後、村をみんなで散策してから帰宅するのだった。

 なお、帰り道でも他のプレイヤーから注目の的になってしまったのは言うまでもない……。



**********




「……よし、さっそく属性杖を造ってみよう!」


 俺はエインズの町で木材を50本ほど買い、杖に加工できるようにチェンジプラントで切り分けていく。

 こういうことができるのもチェンジプラントのいいところなんだよね。


 合計200本ほどの木材に切り分け、10本を残して他は全部アイテムボックスに入れておく。

 さあ、果たして何本目で成功するかな……。


 まずは地属性の装備で固めて地属性補正をあげないとね。

 バンシーの杖で+30、防具の方は……今のところないので、今度アテナさんに依頼しよう。

 ポーションオブノームを飲めば5分間地属性が+50されるが、まずは地属性の魔力を帯びた木材を造るのに慣れないと。

 ……今思えば、ルァイドの杖の店で地属性補正が高い杖を買ってくればよかったな……でも、属性の補正値が高いほど難易度も高くなると聞いたので、まずは+30の補正で造ってみよう。


「ええと……こうかな」


 俺は試しに木材に触れて少し魔力を送ってみる。すると……。


「あー……失敗か……」


【属性が不安定な木材(地):ランクE、属性を付与しようとしたものの、失敗してしまった木材。何かを造る際に使用すると、地属性の-補正が付いてしまう。でも、もしかしたら使い道があるかも……? と思って、いくら倉庫の肥やしにしたか知れないよ】


 分かる。

 マイナス効果を持つアイテムでも何か使い道はあるだろ! って思って持っておくんだけど、結局最後まで使わないやつ。

 でも、本当に稀に使い道があるから困る。ポーション(失敗作)も弱体化はされたものの、まだ使用する余地はあるし……。


「さて、気を取り直して……」



 その後も、マジックポーションでMPを回復させながらトライ&エラーを繰り返していく。

 しかし、努力もむなしく、属性が不安定な木材(地)の数は50を超えることに。


「繊細な調整とは言われたけど、まさかこれほどとは……」


 俺は気持ちを落ち着かせるために、作業場の外へと散歩に出かける。


「きゅー!」


 すると、ライアが飛びついてくる。もしかして、作業が終わったから遊べると思ったのかな?


「きゅー」

「ら、ライア?」


 ライアが急に俺の頭を優しく撫でる。

 ……もしかして、失敗続きで気が滅入ってたのが表情に出てたのだろうか……?


「あ、ありがとう……ちょっと木材に地属性を付与するのに失敗してて……」

「きゅ!」


 ライアが自分の胸をトンと軽く叩く。

 もしかして、任せて欲しいと言っているのだろうか?


 その後、ライアに引っ張られて俺は作業場に戻ってくる。


「それじゃあ……」


 俺は木材を机の上に用意すると、ライアの方を見る。

 すると、ライアが俺の手を握ってくるので、びっくりして軽く握り返してしまった。


「きゅっ」


 ライアはそれに動じず、握った手をもう片方の手で指差す。

 ……あれ? なんだか、握られた手が暖かいような……。


「……もしかして、魔力を流してるの?」

「きゅー」


 ライアがコクンと頷く。

 もしかして、この量がちょうどいい魔力の量なのか……?


「それじゃ、俺も少しずつ流してみるよ。ライアと同じ量になったら言ってね」

「きゅ!」


 俺は少しずつ流す魔力を増やしていく…………。


「…………きゅ!」

「今のでいいの?」

「きゅー!」


 なるほど、今の感覚を覚えておこう。

 ライアに感謝しつつ、それでは本番だ……。



 俺は、先ほどの魔力量を思い出しつつ、木材に魔力を送る。

 ライアは傍でじっと見てくれている。……何だか、安心感があるな。


 そして、ここだと思ったところで魔力を止めると……。



【地属性の木材:ランクC、何かを造る際に使用すると、地属性の補正が付く特殊な木材。属性鉱石と併用することで更に補正値を上げることができるが、そのぶん-補正も大きくなるので注意が必要】


「や……やった……!」


 ようやく……ようやく地属性補正が付く木材を造り出すことができた。

 まさか+30という低補正ですらこんなに難しいなんて……。

 最初から+60とかでやらなくて良かったと改めて思う。


「ありがとうライア、ライアのおかげでようやく造れたよ」

「きゅー!」


 ライアがえっへんと胸を張る。ほんと、神様仏様ライア様である。

 よし、今の感覚を忘れないうちにどんどん造っておかないと!



 その後、更に50本ノックをした結果、41本成功、9本失敗とかなり高確率で属性補正が乗る木材を造ることができた。


 こうして、地属性の木材の量産が始まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ブラウンはダンジョンにいた時にここにも来たことがあるのか、落ち着いている様子だな  ちなみにここは村の中だからか、ダンジョンとは違ってペットモンスターが出られるようだ。 このダンジョン人間(プレイヤー…
まずは地属性の木材という素材の成功、おめでとうございます。次はその木材を使ったものつくりですね。 木で作ったアクセサリーとかも良いかも? 本年は面白いお話をたくさん拝読させていただき、ありがとうござ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ