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VRMMOでものづくり始めました  作者: SAK


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73/90

リビングアーマーを造ってみた

「むーっ!」


 アテナさんのムーちゃんが目を輝かせて興奮している。というのも、アトラスさんがリビングアーマーに似せた武具を造ったからだ。

 もちろん、リビングアーマー同様に地属性が付与されているため、ムーちゃんがスキルで操ることが可能なはず。


「ムーちゃん、試しに動かしてみてくれる?」

「むー!」


 ムーちゃんがリビングアーマーの武具一式をスキルで動かす。

 すると、リビングアーマー同様にふわふわと武具が浮き始める。

 そして、大剣を大きく一振り……したところで、ガシャーンと音を立てて地面に散乱してしまう。


「あー……これはもしかしてMP切れか?」

「アトラスさんの言う通り、実はまだレベル1でして……さすがに全部を動かすにはMPが全然足りないようですね」

「大剣だけならモンスターを1、2匹倒せるぐらい動かせそうですかね? それならレベルを上げていきながら、徐々に動かすものを増やすのがよさそうです」

「そういえば、盾はともかく、鎧や兜って必要なのか?」

「もし、モンスターがムーちゃんが操っているのを知らない場合、リビングアーマーという攻撃のターゲットが1つ増えることになるわけで、敵の攻撃を分散させることはできそうですね」

「なるほど、剣だけだったら操っているって思われそうだな」


 ……まあ(シールド)のモンスターであるルシードがいるので、大剣のモンスターもいそうではあるけど。

 人の形をしているなら、そういうモンスターがいると錯覚させることが大幅にやりやすくなる。


「さて、それでは俺の杖やローブ、帽子ですね。ステータスに多少の差はありますが、すべてにMP上昇効果が付与できました。これでリビングアーマーの稼働時間が増えるはずです」

「ありがとうございます、コウさん。……ふふふ、そしてコウさんにも服作りの楽しさが分かってもらえて嬉しいです」

「最初はうまくいきませんでしたね……小学校か中学校の家庭科の時間以来でしたよ、針と糸を使って服を作るのなんて。でも、ムーちゃんが喜んでくれるかなと思うと、不思議と楽しくなってきたんですよね」


 ものづくりって、自分のためということもあるけど、基本的には誰かに使ってもらうためにすることだから、喜んでもらえると嬉しいんだよね。

 今まで作ってきた遊具たちもそうだけど、実際に使って楽しんでくれているところを見られるのがこのゲームのいいところだと思う。


「それではムーちゃんを着替えさせてきますね」

「どれだけリビングアーマーの稼働時間が長くなるか楽しみです」

「確認したらレベル上げに行くか? レベル1だから近くのダンジョンあたりがよさそうだが」

「そうですね、俺はペットモンスターをヴァノリモ大森林でレベル上げしてた時期もありましたけど、ビーやドリアードの知り合いが増えてからはなかなか行きづらくなりましたね……」

「あー、確かに分かる。キングウルフが知り合いになってからは、他の群れとは分かっていてもグラティス草原のウルフを倒すのが忍びなくなったな……」


 ……ある意味、仲良くなったことによる弊害ではあるのかな……。

 ペットモンスターをどんどん増やしていくと、そっちでも同じようなことになりそうではある。

 ただ、いまだにペットモンスターにする方法が確立されていないモンスターの方が多いんだけどね。

 ボアも上位種がいるのが分かってるので、ペットモンスターにできれば進化もすぐだろうし、いい戦力になると思うんだけどなあ。


「あ、お着替え終わりましたよー」

「どれどれ……ほう、コウが作ったローブや帽子、いい感じじゃねえか。とんがり帽子にローブって人間の魔法使いっぽいしさ」

「ふふふ、コウさんもどんどん沼にハマりましょうねえ……逃がしませんよ……あなただけは……」


 ラストダンジョンでセーブしてしまったけど引き返せなくて詰みそうなセリフやめて頂けます!?

 ……まあ、実際に楽しかったからいいんだけどね。以前は作ってもリボンとかの小物ばかりだったけど、これからはライアたちの服も作っていきたいし、どんどん沼っていくんだろうな……。

 ただ、デザイン自体は難しすぎるので、そこは手伝ってもらおう。


「そ、それでは、試運転をした後にレベル上げにいきましょうか」

「あ、逃げたな」

「そんな事を言ってると、アトラスさんも巻き込みますよ」

「……よし、前言撤回だ。悪かったな」

「えっ? アトラスさんも服の沼に!?」


 ……などと、ワイワイしながらもムーちゃんのリビングアーマー試運転をこなしていくのだった。




**********




「むーっ♪」

「やるじゃねえか……まさかレベルが20も違うモンスターまで倒せるなんてさ」


 その後、MPの上限を増やすためにムーちゃんのレベルを10ほど上げてから、推奨レベルが30~のダンジョンに入りレベル上げを始めたのだが、ムーちゃんの操るリビングアーマー(剣と盾のみ)がレベル30のボアを一撃で撃破した。

 まさか、レベル差がここまであるモンスターも一撃なんて思ってもみなかったので、俺もアトラスさんもアテナさんも驚きを隠せない。


「アテナさん、ムーちゃんの力ってほぼ=レベルでしたよね?」

「はい、初期ステータスがほんとに極振りでして……HPとMPと魔力と魔防以外は全部1でしたしね……成長してもそれは変わってないです」

「となると、力ではなくて魔力が大剣の威力に加算されてるってことか? ダメージ計算式がややこしくなってそうだ」

「大剣の攻撃力+ムーちゃんの魔力=総攻撃力 みたいな感じですかね。そうでないとレベル30のボアを一撃なんてあり得ませんし……」


 MP補強のために杖や帽子やローブを作ったけど、それらで魔力を底上げすることで更に威力が上がっていることになるんだよな……ノームって、かなりの強モンスターなんじゃ……。


「ただ、燃費はとてつもなく悪いですね……今の一戦でMPが三分の一ほど飛んでいきましたよ」

「マジックポーションやマジェネ効果を付与するポーションオブフォレストは欠かせないと言うことか。ここぞという時に入れ替えて戦わせないと、かなり消耗が激しいな」

「さすがにマジックポーションを常飲するのはお財布に大打撃ですね……ただ、MPが増えれば増えるほど強くなるので、大器晩成型と言えるでしょうね」


 確かに、レベルが上がってもリビングアーマーを操る消費MPが変わらないなら、継戦能力はどんどん高くなっていくな。

 それに、ステータスが極振りされているから、他のモンスターよりも攻撃力が高くなるわけで……これは人気モンスターになりそうだ。


「それでは、その辺のメリットデメリットを解説した動画を作ってもいいかもしれませんね」

「そうですね……ムーちゃんのかわいさも知ってもらえますし、レベル上げついでに撮っちゃいましょう!」

「その後はペットモンスターにする方法の撮影だな。……で、誰がアップするんだ?」

「俺としてはアテナさんとアトラスさんで1本ずつでいいと思いますよ。俺はキングウルフさんのおかげでメイン動画の方もかなり再生されてますし……」

「よし、それなら遠慮なくもらっておくぜ。このゲーム、お金はいくらあっても足りないぐらいだからな」

「ノームがペットモンスターになる方法とリビングアーマーの強さが分かれば、地属性鉱石の相場も上がりそうですしね」


 そう、ノームが無機物を動かすには地属性が必要なわけで。

 そして地属性を付与するには地属性の魔玉……の元になる地属性鉱石が必要で……。


「あー……確かにそりゃ争奪戦になりそうだな……」

「他のモンスターでも同じように無機物操作のスキルを持ってる子もいるんですかね? そうしたら同じようにその属性鉱石が高くなりそうです」

「今のところはそういった話は聞きませんね……」


 ……ん?

 そういえば、シルフィーさんがハンモックを動かしていたのって、もしかして……。

 いや、ハンモックは無機物ではないし、風属性でもないからな……。でも、もし風属性付与みたいなスキルでハンモックを風属性にしたら……?

 ……うーん、考えていても埒が明かないか。今度シルフィーさんに聞いてみようかな。


「そういえばちょっと気になったんだけどさ、無機物操作って他の人や敵の、地属性が付与されている無機物にも使えるのか?」

「あ、それは試してなかったですね。アトラスさん、地属性の武具ってありますか?」

「ああ、この剣が地属性だ」


 アトラスさんはアイテムボックスから剣を取り出してそれを握りしめる。


「ムーちゃん、アトラスさんの剣は動かせる?」

「むー……」


 ムーちゃんはアトラスさんの剣を動かそうとするけど、剣は微動だにしない。

 もしかして、所有者が違うと動かせないのだろうか。まあ、他の人のまで動かせたらそれはチート過ぎるんだけど。


「ありがとうムーちゃん、もう大丈夫よ」

「さすがに無理みたいですね。所有権が自分にないとダメみたいな感じでしょうか?」

「ただ、リビングアーマーの武具一式はアテナが所有者だろ? ペットモンスターという関係性だから動かせるってことか?」

「その辺はまだいろいろ試せそうですね。あと、リビングアーマーの盾に俺たちが乗ったら飛べそうですよね」

「お、それいいな。ダンジョンで近道できそうなところもあるだろうし、応用が利きそうだ」


 その後も俺たちはいろいろなことを試しながら、ムーちゃんのレベル上げをしていくのだった。




**********




「……おい、コウ。さっきアップしたばっかりなんだが、すげー勢いで再生数が伸びていくぞ……」

「私のもです……これ、数時間で報酬上限の再生回数になるんじゃ……」


 動画を撮影した翌日、抜け漏れがないか確認をしたうえで、俺たちは動画をアップした。

 一日置くのは、冷静になって見られるから。作ってすぐだとテンションが上がってるから割と抜け漏れが出やすいためだ。

 ……まあ、どんなに注意しても抜け漏れ、誤字脱字はやらかすんですけどね!

 アップした直後に気付いたりするのもしばしば……この現象に名前を付けてやりたいぐらいだ。


 さておき、ノームをペットにする動画、ノームの活用方法の動画、どちらとも好評のようだ。

 今まで人形使いは人気がなかったみたいだけど、これで見直されるといいな。

 ……まあ、人形使いは人形の装備に、ノームは地属性の武具にそれぞれお金がかかりすぎるんだけど……。


 また、ノームをペットにする動画は攻略班にも人気らしく、多くの投げ銭をしてくれた。

 あのリビングアーマーは相当な強敵らしく、アイテムの消耗が激しくて2層以降の攻略に支障をきたしていたとのことだ。

 それがなくなることで、2層以降の攻略が格段に楽になるようだ。


 ……ちなみに、ノームの可愛さにやられて、男の子のノームをペットモンスターにしようとする人が続出したらしい。

 そういえば、人型のモンスターは今まで女の子ばっかりだったもんな。ドリアード、アルラウネ、シルフ、バンシー……そりゃ人気も出るか。


 その後、ノームをかわいく着飾らせることを目的としたサークルが爆誕したとかなんとか。


 ……相当待ち望まれてたんだなあ、と思いながら俺はものづくりに励むのだった。

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― 新着の感想 ―
 ラストダンジョンでセーブしてしまったけど引き返せなくて詰みそうな感じとか、もっすごくわかります!
(ムー)確かあの小せっぐは、……… (チーン)
ノームのむーちゃん? 鳴き声が「むーっ!」だって? スキルは違うけど、某「テイマー」物にもいた・・・うわナニヲスルンダw
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